2001年1月22日月曜日

【チャイコフスキーの交響曲を聴く】 交響曲第2番/スヴェトラーノフ ロシア国立交響楽団

  • 指揮:スヴェトラーノフ
  • 演奏:ロシア国立交響楽団
  • 録音:9,10 Jun.1993
  • CANYON Classics PCCL-00511

今回は、交響曲第二番を同じくスヴェトラーノフの93年の全集から聴いてみた。

この交響曲は「小ロシア」あるいは「ウクライナ」という愛称で親しまれており、曲名があらわすとおり、ロシア民謡からの引用がふんだんに使われていると解説にある。もっとも、ロシア民謡の旋律を特定することは解説を読まない限りできないし、またその原曲の歌詞も分からないのだが、それでも聴き終わってみると、ロシア的というかスラブ的なにおいが感じられる曲だと思う。

ハ短調という調性ではあるものの、全体に明るく力強い、雄大なロシアの大地を思わせる。歌のつなぎ合わせと繰り返しの妙、チャイコフスキー独特のオーケストレーションの面白さを満喫してみたい。

1楽章、ホルンの寂しいテーマをオーボエが受け、次第に展開してゆく。ロシア民謡からの引用らしい。それが一転、クラリネットと弦の刻みで躍動的な部分に突入する。スヴェトラーノフ率いるオケの重戦車のような低弦の鳴りはすざまじい。再び序奏の主題が現れる部分では、ロシアの大地の広がりのような迫力と詩情を感じる。

2楽章、テンパニと木管によるかわいらしい行進曲風の曲で始まる。全体に易しい風が吹く感じで、この演奏からは豊きな大地を刈入れしている農民の姿が思い浮かぶ。中間部からはメランコリーと多少のユーモラスさをたたえた、これまた詩情豊かな部分であり、ふわりと眠気を誘われるような、そんな快感がある。こんな部分でも、スヴェトラーノフは豊かな音を聴かせてくれている。

3楽章、スケルツォ楽章。非常にチャイコフスキー的だと感じる。躍動感と生命力にあふれた楽章で、そのままバレエが踊れそうである。森の中で小さな妖精たちと自然の精たちが戯れ踊るような・・・そんな印象を受ける。弦の刻みは力強く(多少下品という人もいようが)、木管はきっちりと自己を主張する音で心地よい。

4楽章、華やかで壮大雰囲気で始まり、その後にバイオリンがテーマを提示する。リズミカルな口ずさみたくなるようなテーマ、これがひたすらひたすら、展開される。だからと言って退屈な楽章ではない。収穫祭の後に、村中で踊りを踊っているような、そんな喜びに満ちた楽章であり、聴いているうちに体の内から躍動感が沸いてきて、自然とリズムをとってしまうような、曲に身をまかせることの心地よさを感じさせてくれる。途中でバイオリンが歌う旋律は対比的に優雅で美しい。最後は、重戦車爆裂てな感じで締めくくられる快感!(オケを鳴らせばいいってもんでもないけど・・・・)

このように聴いてみると、非常に民族色にあふれた曲であり、ロシア国民学派5人組みを喜ばせたのもむべなるかなと思わせる曲だと思う。

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