2001年2月11日日曜日

エマニュエル・パユ/J・S・バッハ

  1. ブランデンブルグ協奏曲 第5番 BWV1050

  2. トリオ・ソナタ BWV1038

  3. 無伴奏フルートのためのパルティータ BWV1013

  4. 管弦楽組曲 第2番 BWV1067

  5. フルート・ソナタ ニ長調 作品3の6
  • エマニュエル・パユ(fl) ベルリン・バロック・ゾリスデン
  • 2000 EMI
昨年(2000年)6月、やはりというべきか、ベルリン・フィルを辞めてソリストになった。もったいないと思うか、歓迎すべきと思うかは人それぞれだろう。私はベルリン・フィルどころかパユの生演奏も聴いたことがないので、いい加減なことしか書けないが、彼ほどのスター性がある奏者が、ひとつの強力な団体に留まり続けるのはもはや難しいのではないかと思っていた。 ベルリン・フィルであるから、パユだけに限らずどのパートであってもソリスト級の名人が揃っているのだろうが、その中でもパユはあまりに話題性がありすぎた。23歳でのベルリン就任、89年の神戸国際フルートコンクールで1位、幾たびも日本でコンサートを開いているため、日本のファンも多いと思う。 抜群のテクニックと名声、そしてジャケットのような端正な顔立ち。私が女でなくても、「かっこいい」と思ってしまう。(上の写真は「必殺仕事人」みたいだが・・・) 日本でのコンサートの模様を、以前どこかのBBSで読んだが、感想はばらけていたと記憶している。想像していたように良かった派と、テクニックは凄いが訴えるものがない派に分かれていた。 今回のバッハの演奏、パユにとっては初めてのバッハ録音だ。ベーム式の現代フルートを駆使して奏でるバッハは、想像していたよりもずっと心地よく暖かい。産毛の立ったビロードで包まれるかのような、温度を感じる演奏だと感じた。 パユを聴くなら、無伴奏パルティータから始めるのが良いかもしれない。眼を閉じて聴いていると永遠の時の流れとを感じ、果てしなき高みに持ち上げられるかのようだ。 バッハの音楽には、いたずらな昂ぶりはない、感情を抑えた端麗なる演奏に静かな拍手を送りたい。 ブランデンブルグ協奏曲 第5番は、全6曲中最も有名な曲だ。通俗名曲のごとく聞きなれた冒頭から、水が流れるかのごとく緩やかに滑らかに演奏している。パユのソロ部分とベルリン・バロック・ゾリスデンのアンサンブルは絶妙である。しかし、この5番はやはり1楽章のチェンバロ(*)の65小節にもわたるカデンツアが聴き所だ。2楽章の憂鬱な雰囲気、3楽章の軽快なフーガもいい。彼らの演奏に、改めてこの曲のすばらしさを思い知らされた。
(*)ライナーには  Christine Schornsheim/harpsichord Cornelis Bom Schoonhoven 1997 Pitch:441Hz とある。古楽器ではないようだ。(輸入版のCDなんで、解説も大まかにしか分からん)

管弦楽組曲は「バッハ・ライプツィヒ・コレギウム・ムジカム」の演奏会のために書かれたもので、祝典的な雰囲気の曲である。この曲は「フルート協奏曲」と称しても良いくらいに、フルートが活躍するため、フルーティストには好まれている曲だ。POLONAISEのパユの言い知れぬ深みのある音色に酔わされる。

最後のBADINERIEは「戯れ」を意味する「あらかじめ用意されたアンコール」であるが、まさに技巧を駆使したパユの音楽性を満喫できる。余りにも見事で、ここだけ何度も何度も聴いてしまった。私が女で、コンサート行って聴いていたら、やっぱりファンになるかも知れない・・・・