2001年2月1日木曜日

【チャイコフスキーの交響曲を聴く】 交響曲第3番 「ポーランド」/スヴェトラーノフ ロシア国立響

交響曲 第3番 ニ長調 作品29 「ポーランド」
指揮:スヴェトラーノフ
演奏:ロシア国立交響楽団
録音:11,12 Jun.1993
CANYON Classics PCCL-00512

この第3番交響曲のみ、5楽章形式で構成されている。

1楽章は静かな暗い序奏で始まる。フルートほの暗い中にアクセントを与える。解説によると「葬送行進曲のテンポで」と指示されているらしい。

しかし、この葬送のテーマ(約4分)のあと、Allegro に入り一気に盛り上がりを見せる。まるで躁鬱質の鬱から躁に変わったかのよう。弦楽器の強い響きとオーボエやフルートなどの木管の絡みがすごい。この部分もよく聴くと、なんだか輪になって民族舞踊を舞っているように思えないでもない、あるいは躍動感と流麗感の対比によるバレエのような・・・。最初の葬送のテーマはどこにやらと言った印象で、音楽は進行する。

非常に多くの要素を詰め込んだ楽章である。まるでこの楽章で完結せんばかりの勢いで、演奏会場でこの演奏を聴いていたら、楽章の終わりには「つられ拍手」をしてしまいそうである。スヴェトラーノフもここぞとばかりにオケをドライブさせ楽章を終えている。思わず含み笑いがこぼれてしまう。

��楽章も舞曲である。ミステリアスな異国風の踊りが踊られるよう。非常に浮いた感じのとらえどころのない、センチメンタリックな、ときにとぼけたような味があり、そこがまたチャイコフスキー的な楽章である。ガンガン鳴らす楽章も良いけれど、こういう楽章の組立てはチャイコフスキーはうまいと思う。

��楽章も少し暗めで始まったあとに、弦による非常にゆったりとしたロマンチックな旋律が奏でられる。例えが適切かはさておき、マーラー5番の4楽章のような雰囲気(あくまでも、雰囲気ね。あんなに切なく甘美じゃないし、目指しているものも全然ちがうから)。

��楽章はスケルツオが挿入されている。細かな動きが繊細さを感じさせる感情を抑え目の楽章。何かを予感させるような印象を与え短く終わる。

��楽章は前楽章とは対照的に、ふっきったかのような断定的なリズムで堂々と開始される。序奏から始まるテーマが終わったあとに、民謡風なテーマもあらわれるが、楽章を統一するのは最初で提示されたテーマ。これが発展(そんなに発展はしないんだが)しつつ繰り返される。
テーマのそのまんまの再現と繰り返しみたいなのは、チャイコフスキーの初期の交響曲に共通のように感じる。(厳密に音楽的にどうか、ということは詳しい方の解説を期待したい)

中間部にフーガ調の部分があるが、第1番交響曲でも使われた手法かな。後半に向かってはまた、例のごとく壮大に盛り上がってゆくのだが、ロシア国立管もそれに答えるように、金管は吼えるし弦は切れんとばかりにに鳴き、ティンパニはもう叩くたたく。

ラストへ向けて徐々に徐々に盛り上がってゆくところは、非常にカタルシスが発散できる部分だ。その到達した先の、トランペットのテーマの部分ではもう、頭がどっかに吹っ飛んでしまうかのよう。ここらへんからは、手を抜かずにいくぞいくぞ、みたいなエネルギーを感じる。

ただし、チャイコフスキーの第1、2番交響曲と比べてみると、叙情性みたいなものは一番少ないかなとも思う。

しかし、チャイコの交響曲って・・・・・・いい意味でも悪いいみでもチャイコフスキーにしか書けなかった世界だなと思うね。その特異性という点からも、もっと評価されてもいいかなと思う。

 

 カップリングはスラヴ行進曲。この曲は、何も考えずに、許される限りの音量で(近隣や家族から苦情のこない、ウォークマンなら電車の中で変な奴と思われない範囲で)聴くのが正しいかなと(^^) スヴェトラーノフ、ここではかなり速いテンポで一気に駆け抜けている。あんまりオケを鳴かせるような演奏ではなく、さらりと驀進する。これはこれで、ブラボーかなと。