2002年7月10日水曜日

経営者の若返りということ

日経ビジネス(2002.7.1)を立ち読みしていたら、「業績で分かった! 40代が社長の限界」とう記事が目にとまった。上場企業の成長度合いと社長の年齢を調査したところ、伸びている企業と停滞している企業では社長の年齢に歴然とした差があるというのだ。いくつかのデータと事例を示しながら、世代交替を求めるような論調になっていた。京セラの稲盛名誉会長も、いつまでも年寄りが重役として仕切っているようではだめだ(企業も政治も)とインタビューの中で述べている。

社長が若いから成長産業(企業)なのか、あるいは成長産業は得てして企業の成立そのものも若く、結果として社長も若いのか、そこのところは言及されていないので、わからない。

自分の属する組織を考えても老害というものは明らかに存在する。社長とまで行かなくとも、支社長や重要な管理職ポストは30代後半から40歳代前半のものが担うべきであるとは、常々感じている。

企業に60歳定年(場合によっては57歳での役職定年)というものが存在することを前提に考えると、50歳を過ぎて経営的に重要なポストについても、攻撃的にはなりにくい。つい退職金や再就職先を考え、あとの数年間をつつがなく、ミスをしないように過ごすという守りの姿勢が、どうしたって出てしまう。これは先の稲盛会長も「50代で志に殉じるのは困難」と指摘しているとおりだ。特に企業の人事評価や風土が加算主義ではなく減点主義であればなおさらだ。持点を増やさなくとも、減らさない限りはパージされないとしたら、成長は止まっているも同然である。誰だってリスクをおかしてまで自分の経歴に傷は付けたくないものだ。

成長することを目標とした企業経営を目指すとしたら、パワーと、ときに無謀さと大胆さが要求されるような気がする。その裏には、確たる理念と綿密なプランが必要なことは言うまでもない。若手は経験が少ない、という意見もよく聞く。経験不足を指摘するのは、、主には意思決定の場においてだろう。ただ、意思決定の本質は年齢とは関係なく、本人の資質で決まるという論もある。それでも、誤った判断をしないような情報整理=基盤整備が不可欠であろう。誰であっても、質と精度の高い情報(情報の量だけが重要なのではない)がなくてはよりベターな判断などできるわけがない。

成長を求める企業であるならば、企業や教育機関は、若く有能な経営者を育てるという努力が求められる。実務畑の人間が明日から経営者にはなり得ない。世代交替へ向けてランディングしてゆくためには、組織内の様々な意識・制度面での改革が必要なことはもちろんだが、意思決定システムの改革や、基盤整備などなど、手がけなければならないことは多いと思うのであった。

翻って、自分の組織を眺めるに・・・暗澹。


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