2003年3月25日火曜日

日本の立場=小泉首相の米国の軍事行使の支持表明

小泉首相が米国のイラクへの軍事攻撃を支持すると明言した。政府関係者もそこまで「踏み込んだ」発言に及ぶとは考えていなかったとTVニュースは報じていた。

そうは言っても、小泉首相の結論は日本の保守派の考え方を代弁しているのだろう。「北朝鮮の脅威がある以上、日米同盟に頼るしか日本に選択の余地はない、従って米国を支持するしか方法がない」と言ったものだ。

これを逆手に取って「だから日本は日米同盟を見直し、積極的に自国防衛ができるようにすべきだ」と論ずる改憲論者(にわかを含め)の声が(与野党を問わず)聞こえてこないでもない。どちらにも明るいパラダイムは感じられない。

日米安保は昔からあった。自民党保守派にしてみたら「今更何を言っているのか、米国を支持しないなどということがあろうか」と息を巻く。一方で保守派の中でも比較的穏健な方々からは「日米同盟というのは本来、対等な立場であるべきだ。日本も基地を提供している。対等な立場で日本の意見を言うべきだ(戦争を止めることなど)」と、なんだか大甘な発言を耳にする。

「日本とアメリカが対等」などという幻想的外交センスを抱いている政府関係者がいることには耳を疑うのだが、やはり私はここにきて、戦後のアメリカを含めた外交の歪みが一気に吹き出てきたように思えてならない。つまりは自国の安全保障や他国間との外交戦略というものが実は戦後50年間皆無であったということが自明になってしまったわけだ。

北朝鮮の脅威は事実だろう。しかし日米同盟において米国が日本を守ってくれるという保障が本当にあるのだろうか。日本をそれほど重要な同盟国とアメリカは位置付けているのだろうか。

冷戦時代は日本は共産圏防御のための重要な拠点だった。沖縄基地も台湾防御のための重要な任務を負っていた。冷戦終結後、日本の拠点としての重要性は変質してはいないだろうか。アメリカはソ連なき後、一時期、中国を仮想敵国と定めた時期もあったという。しかし、その政策も微妙に変化している。日本の役割はどうなっているだろう。

北朝鮮の脅威から日本を守らなければ同盟違反だと言うかもしれない。北朝鮮有事の際は日本は何を負担し犠牲を払わなくてはならないのだろう。私にはここのところも全く思い描けない。

金正日は地下室でCNNにかじりつきという報道を週刊誌が報じていた。でも、本当にイラクの次は北朝鮮なのだろうか。北朝鮮がイラク以上にはるかに危険な国であることは認めよう。しかし、アメリカが直ぐに北朝鮮に迫るとは、私には思えない。北朝鮮を攻撃してアメリカにどういうメリットがあるのかを考えた場合、むしろ北朝鮮の緊張を利用して、韓国、日本、中国を牽制していた方がアメリカには好都合だという考えの方が妥当のように思える。アメリカは北朝鮮問題に関して、日本や韓国にかなりの自助努力を求めてくるように思える。

いずれにせよ、今回の米国支持は今の政権与党にとってこれを是として進めてゆく以上、非常に重い十字架をしょってしまったのではなかろうかと思わざるを得ない。そのときになって慌てないように、今から考えておかねばならないと思うのだが・・・

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