2003年4月13日日曜日

田中宇のジャーナリズム





田中宇(さかい)と言う名前を聞いたことがあるだろうか。「田中宇の国際ニュース解説」というサイトを運営し、自らのサイトそしてメールマガジンで国際社会のニュースの裏側を解説してくれている。サイトは何を隠そう私も欠かさず読んでおり、多くのことを教えてもらっている。この本を見た家内は「TVで良く名前を見るよ」とも言っていた。かなりユーメー人のようである。 
右の書では「ネットジャーナリズムを確立した男」と紹介されている。田中氏は1961年生まれ。大学を卒業後、繊維メーカー勤務を経て共同通信社に入社。その後、マイクロソフト社に入社し日本発のコラムサイト「MSNジャーナル」を立ち上げる。1999年独立しジャーナリストとして現在の活動を続ける、という経歴だ。

彼のコラムを何気なく読むが、その分析力と情報収集力の多岐に渡る点はいつも感嘆する。インタビューによれば、彼はインターネットを駆使し毎日30ほどの記事にざっと目を通し記事を書いているという。ひとつの記事には平均30時間ほどかかるのだとか。それだもの記事がおもしろいわけだ。
右に紹介した本は、これらのネットで公開されたものの中から文庫本として編集したものだ。最新の彼の記事はネットで読めるので、わざわざこの本を買わなくてもよいかもしれない。また、この2冊を読んだからとて国際情勢の裏が急に見えてくるわけでも、事情通になれるわけでもない。
それでもひとつのきっかけにはなる。
私は国際情勢の面白さを、彼のサイトで知ったような気がする。例えば田中氏はアメリカが受けた911テロも、真珠湾同様に仕組まれたテロであるとする本も上梓している。そんなバカなと思うかもしれないが、その手の意見は欧米の新聞紙面では多く見かけるらしい。朝日新聞やNHKは間違ってもそういう報道はしないだろう。
イラク戦争の理由を考える上での、石油利権問題やネオコンの存在は、テレビ(それもサンデープロジェクトあたり)が問題にするはるか以前から彼はネットで指摘していた。彼の記事を読んでいたので「何をいまさら」と思ったものだ。
私たちが新聞やTVから受ける情報は、一面的でかつ一方的だ。その裏で何が起こっているのかは、嗅覚を働かせなくては見えてこない。
バグダット陥落時に市民がフセイン銅像を引き倒したのも、まわりで騒いでいた市民も米軍の指しがねであるとの週刊誌報道もあったりした。何が真実なのかは永久にわからない。しかし、その報道が与える効果、影響は何か、何のためにこの報道がその時期に流されるのか、そういうことを少しでも感じることは、流されずに生きて行く上で重要なことだと思う。
田中氏のジャーナリズムは、そういう表に見えないものに重要なメッセージが込められていることを気づかせてくれた点において、極めて秀逸であると思う。

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