2004年5月16日日曜日

ラウタヴァーラ:Cantus Arcticus

ラウタヴァーラという名前は、音楽関係の知り合いから教えていただいきました。現代フィンランドを代表する作曲家で最近では人気も知名度も上がってきているそうです。ケイタイの着メロにラウタヴァーラの曲があることには驚きました。

NAXOSでいくつかの録音があるらしいので試しに買って聴いてみました。

最初の曲は「カントゥス・アークティクス(鳥とオーケストラのための協奏曲)Op.61」というものでしたが、のっけから私は音楽に打ちのめされてしまいました。「沼」「メランコリー」「白鳥の渡り」という三楽章形式の音楽で、題名の通りオウル地方で採取した鳥の声のテープ録音とオーケストラを重ね合わせたものです。

現代音楽に分類されてはいますが、いわゆる難解系の音楽ではなく、凄まじいまでの感性が充満しています。冒頭の二本のフルートに導かれて現れた鳥の鳴き声に、最初は「これはノイズか?」と一瞬戸惑いましたが、それが重要な音楽の一部であることをすぐに了承してしまいます。

一体これは何なのでしょう、鳥の鳴き声は単なる効果音ではなく、音楽の一部となって「オーケストラのうねるような極大スケール」の音響世界と信じられないほどの調和を聴かせてくれます。清冽にして雄大な自然の中に放り込まれたときのような自失してしまう類の美しさです。

「白鳥」は圧巻であり、俗世のうざったさを全て洗い流してゆくようで、ラストに至っては不覚にも落涙を禁じることができませんでした。

●カントゥス・アークティクス(鳥とオーケストラのための協奏曲)Op.61
演奏:ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団、録音:1997年8月 グラスゴー、ヘンリー・ウッド・ホール、NAXOS 8.554147

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