2004年6月5日土曜日

ラウタヴァーラ:交響曲第3番

ラウタヴァーラ:
カントゥス・アークティクス
ピアノ協奏曲 第1番 Op.45
交響曲 第3番 Op.20
指揮:ハンヌ・リントゥ
演奏:ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
ピアノ:ラウラ・ミッコラ
録音:1997年8月 グラスゴー・ヘンリー・ウッド・ホール
NAXOS 8.554147

NAXOSのラウタヴァーラの盤を紹介していますが、この盤の最後は交響曲第3番です。

1959年から60年にかけて作曲された交響曲第3番は、1番のロマンティシズムと2番のモダニズムを統合したような曲であるとラウタヴァーラ自身は語っています。調整的な12音技法も使われているのですが、いわゆる現代音楽的な響きはそれほど多く聴かれるわけではなく、むしろ壮大なるロマン派の交響曲にシベリウス風のアレンジが組み合わさったような曲として感じられます。

1959年から60年にかけて作曲された交響曲第3番は、1番のロマンティシズムと2番のモダニズムを統合したような曲であるとラウタヴァーラ自身は語っています。調整的な12音技法も使われているのですが、いわゆる現代音楽的な響きはそれほど多く聴かれるわけではなく、むしろ壮大なるロマン派の交響曲にシベリウス風のアレンジが組み合わさったような曲として感じられます。

第4楽章はブルックナー的な音楽を聴くこともできまして、ラウタヴァーラは以下のように書いています。
The musical pulse of the fourth movement progresses in solemn, almost Brucnerian arcs, as if echoing the rhythm of the earth and sea.

ですから、はじめて聴くのにどこか懐かしく、そして圧倒的な音響の前に、大自然の中に放り込まれたような感動を覚えることができます。こういう傾向の曲がお好きな方には、非常に贅沢な音楽と言えるかもしれません。

曲は4楽章形式で構成されています。第一楽章は弦の弱音トレモロに乗ってフルートを初めとする木管が囀り、そこにあたかも夜明けを告げるかのようなホルンの響きがかぶさります。まことに絵に描いたような感動的な音楽であります。聴きようによっては「ジャングル大帝レオ」の冒頭のテーマのようにも聴こえてしまうのですが、それはそれで感動的であることに変わりはありません。

すぐにストラヴィンスキー然の混沌とした響きに変わりますが、それでも崩れまくることはせずに音楽は流れます。ラウタヴァーラは木管の使い方や、アルペジオの扱いが上手いですね。音楽に優雅さと儚さを与えてくれ陶然とさせてくれます。第一楽章のラストで、再びホルンのテーマに乗ってフルートがアルペジオを踊って終わりますが、何度聴いても良い部分です。

第二楽章も、ホルンの柔らかなテーマに木管が絡んで始まります。森の中を分け入って行くかのようです。中途の壮大な部分は、急に視界が開け荘厳な風景が現前に立ち現れたかのような趣さえあります。第三楽章はスケルツォで躍動感を楽しむことができます。ブルックナー的色彩を聴き取ることができるかもしれません。楽章ラストはトロンボーンも木管も暴れまくって幕を閉じます。

第四楽章はさらに猛然と始まります、ドライブ感が溜まりませんね。ここでも金管の咆哮するクライマックスが待っています。様々な音響が畳掛けるように鳴り響くうちに、シベリウスの交響曲第5番を彷彿とさせる大自然の呼吸が聴こえたり、あるいはブルックナー的大伽藍が見えたりと、なかなかに楽しませてくれます。ウルサウルサとシズカシズカの交替もブルックナー的といえば言えるかもしれません。

最後は意外なことに消え入るようにして終わるのですが、それもしみじみとした味わいがありまして、交響曲を聴いたという満足感に浸ることが(たぶん)できます。

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