2005年2月6日日曜日

ラトル/オルフ:「カルミナ・ブラーナ」




カール・オルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」


  • シルヴィア・グリーンバーグ(S) ジェイムズ・ボウマン(C-T) スティーヴン・ロバーツ(Br)
  • ベルリン国立大聖堂合唱団、ベルリン放送交響合唱団
  • リッカルド・シャイー指揮 ベルリン放送交響楽団
  • 1983年6日、Jesus Christus-Kirche,Berlin、LONDON名盤1200 POCL-9982




年末恒例のベルリン・フィル「ジルヴェスター・コンサート」での演奏で、NHKでご覧になった方も多いと思います。HMVで輸入版が1990円、国内版が2000円でしたから国内版を購入しました。この価格差はイロイロな意味で微妙です。


さて「カルミナ・ブラーナ」と言えば、冒頭の"O fORTUNA (おお、運命よ)" と、続く"Fortune plango vulnera (運命は傷つける)"ばかりが有名で、また土俗的なパワーがバリバリというイメージだったのですが、ラトルの版を聴いてみて、この曲を今まで真面目に聴いていなかったのだと思い知りました。




確かに強烈なリズム、シンプルな反復旋律、劇的コーダは聴きごたえがありますし、刻み付けるようなラテン語のリズムはニ三日は脳内でグルグルと永久運動を起こすかのような力を持っています。しかし、対訳とともに仔細に聴いてみますと、土俗的なパワーばかりではなく、非常に変化に富んだ構成であることに気付かされます。


テーマも「春に(自然と青春)」「居酒屋にて(苦情と日常生活)」「求愛(男女とエロス)」と三部構成、どれもこれも味わいがあります。第二部の"Olim lacus colueram (焙られた白鳥の歌)"のブラックさ、"Ego sum abbas (余は大僧正様)"のオカシ哀し大迫力な嘆きなど、凄い歌詞と音楽です。


しかし一番の聴きどころはワタシ的には第三部でしょうか。歌詞も結構どぎつく、児童合唱に歌わせる曲かよというような内容をシレっと歌わせています。圧巻は"In trutina (ゆれ動く、我が心)"のソプラノ独唱から"Dulcissime (私のいとしい人)"~ここだけでも5回以上は聴いたな~を経て"Venus generosa! (気高きヴィーナス)"と最高潮に達し"O Fortuna"となだれ込む場面でしょうか、ここでのティンパニの強烈にして硬質な響きは凄い。


ラトルの演奏がどうの、ということは上手く書けませんが、ベルリンの性能を最大限に発揮させながらも、単なる土俗的な演奏に陥ることなく、曲のもつ現代性や美しさを引き出しているように思えます。第一部"O Fortuna"での速度変化なども、楽譜に忠実な演奏ということらしいですが、かなり刺激的です。また、第1部の終わり"daz diu chuegin von Engellant lege an minen armen. He! (英国の女王を 私の腕に横たえるためなら)"の最後における打楽器の猛打も凄まじいの一言、ライブで聴いていたら"Hi!"で吹っ飛んでいるます。


曲のあちこちで活躍バリトン歌手クリスティアン・ゲルハーヘルはハリのある朗々とした、そして説得力のある歌声を聴かせてくれます。ソプラノのサリー・マシューは、声質としてはメゾ・ソプラノに近いのかな、最後のキレる寸前の高さで歌う"Ah! totam tibi subdo me! (私のすべてをあげましょう)"も悪くはないですが。


書き始めると、ツッコミところ満載の曲ですからキリがないので、このあたりで。