2005年5月23日月曜日

戸板康二:歌舞伎への招待





先に触れた戸板康二の「歌舞伎への招待」「続 歌舞伎への招待」が岩波現代文庫で復刊されているのを知り、早速入手して読んでみました。


全くの私見ですが、戸板康二氏と吉田秀和にどことなく類似点を感じるのは私だけでしょうか。(>無理に音楽ネタに振らないと歌舞伎サイトになっちまう最近のエントリ・・・)



  • 戸板康二監「歌舞伎への招待」岩波現代文庫 ISBN:4006020805
  • 戸板康二監「続歌舞伎への招待」岩波現代文庫 ISBN:4006020813




「歌舞伎への招待」は昭和25年に暮らしの手帖社の前身である「衣裳研究所」から刊行され、歌舞伎入門の書としてばかりではなく、歌舞伎評論の先がけともなった本であると理解しています。内容は戸口氏が僕の立場はエトランゼの立場であると書くように、初めて歌舞伎を接する人にも分かりやすいように書かれています。(何で読んだか忘れましたが、戸板氏は、この本をそのまま英訳しても良いような文章と内容にしたのですとか)


例えば「花道」において


六法ほど、花道というものをうまく利用した演技はない。

僕はひそかに、これを、歌舞伎におけるカデンツァと呼んでいる。

という有名な文章から分かるように、歌舞伎を外から見る視点が新鮮です。


内容的にはこの本より以前に発刊された「わが歌舞伎」「続わが歌舞伎」と重複する内容も多いのですが、早稲田演劇博物館所蔵の写真などをふんだんに用いている本書は、昔の歌舞伎の雰囲気や歌舞伎役者の面立ちを伺い知る点でも、極めて貴重なものであると言えます。(写真がもう少し鮮明で大きければ良いのですが・・・文庫本ですから仕方なしか)


解説は山川静夫氏が書いていますが、歌舞伎は学問ではない。娯楽である。の言葉は的を得ています。しかし、たた漠然と観ているだけでは、平成の現代では娯楽足りえないのも歌舞伎。ここ数日、歌舞伎関連の本を読むにつけ、歌舞伎が江戸の庶民の嗜好を踏まえながら、いかに柔軟に発展してきたか、ということが何となく分かってきました。


また、歌舞伎の演目を読み解くことで、江戸時代から明治にかけての庶民の常識的な教養や生活振りも伺う事ができ、まあ、そういう点では、余りにも知らないことが多すぎる自らの無知を恥ずるとともに、興味も尽きず、娯楽をするのも骨が折れるなァと思うのではありました。(そもそも紹介されている演目の、ほとんどを、まだ観た事がないんですから)