2005年12月24日土曜日

チャイコフスキー:交響曲第5番/ムラヴィンスキー&レニングラード

ムラヴィンスキー チャイコフスキー交響曲第5番
  1. Andante-Allegro con anima 13:44
  2. Andante cantabile,con alcuna licenza 11:51
  3. Valse.Allegro moderato 5:34
  4. Finale.Andante maestoso-Allegro vivce 11:39
  • ムラヴィンスキー(指揮) レニングラードpo.
  • 1977年10月19日 NHKホール LIVE
  • ATL052

許光俊が「オレのクラシック」で絶賛しているものだからつい購入。彼はこのチャイコフスキー以上の音質の録音は、ムラヴィンスキーには存在しない(同 P.123)と書いていまが、これに対しHMVのユーザーレビューでは多くの反発が書かれています。確かに音は「遠い」と感じますし「テープヒスノイズ」も気になるのですが、このチャイコフスキーのしなやかな炸裂はどうでしょう。聴き進むに連れ、そんなことはどうでも良くなります。

��G版など他とは比較して聴いていないので分かりませんが、随所に凄まじさを秘めた演奏であると思います。静かな部分からfffにいたる音楽の流れなど黒ヒョウが華麗なジャンプをみせたかのような鮮やかさです。解説は平林直哉さんほかが書かれていますが、おそらく実演で接していたら、このCD以上の感興であったのでしょう。今時CD1枚にチャイ5しか入っていない盤ですが、チャイ5好きには価値があるかと。

それにしても強奏部の表現は許氏も指摘するように、どこか違うような気がします。炸裂するような音響でありながら「暴力的」であったり「粗雑」ではない、オーケストラ全体がシャキッっと立ち上がるとでも言うのか。第2楽章の冒頭の入り方の丁寧さも、これ以上ないというくらいに素晴らしい。しかし続くホルンの音が少しくぐもって聴こえたり途中音がちょっと危うくなったりするのは残念なところ。同楽章の中間部の強奏部も凄い、思わずビックリ、背筋が伸びる。ここらあたりの表現の鮮やかさと鋭さが、ムラヴィンスキーの音楽を「冷たい」と感じる人がいる所以なのかもしれません。一切の妥協がありませんから。

圧巻はやはり終楽章にありました。圧倒的かつ怒涛の推進力でありながら、微塵も美しさを失わない。良く整備されたスケートリンクの上を一気に滑り、エッジを利かせて華麗にジャンプするかのような絶妙のスピード感と運動性能、削られた氷の破片が頬をピシリと打つかのような爆発。オーケストラは金管も木管も打楽器も弦楽器も、全てが一体となってフィナーレを演じている。

心底、久々に聴くチャイ5はええなあ~(;_;)

参考

チャイコフスキーの交響曲を聴く

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