2006年1月9日月曜日

川端龍子:風景画 奥の細道

以前、東京国立近代美術館で開催された「琳派 RINPA」展で衝撃を受けた日本画家に川端龍子[1885(明治18)-1966(昭和41)]がいます。龍子生誕120年の記念展が昨年秋から冬にかけて、江戸東京博物館で開催されていましたが、忙しさにかまけて観のがし悔しい思いをしていたのですが、龍子記念館が大田区にあると最近になって知りました。

本日は寒いながら天気も良く、散歩がてら南馬込まで脚をのばしてみました。都営地下鉄浅草線の西馬込駅を降り、桜並木通りを突っ切った先の住宅街に記念館はあります。

現在は「風景画 奥の細道」と題して龍子の作品の中から風景画が21点ほど選ばれ展示されています。奥の細道の俳句短冊から茸狩図(昭和11年)にはじまり、寝釈迦(昭和29年)や涼露品(昭和27年)などの大型の画も展示されており、見ごたえがあります。大きな絵を前にして、閑散とした館内でゆっくりと絵を堪能できる贅沢はこたえられません。


チラシにもなっている清水寺(昭和34年)や、影富士(昭和32年)も見事でしたが、迫力の点では千里虎(昭和18年)が凄かったですね。これは息子が出征する直前に描かれたものとかで、グッとにらみつける虎の眼光は、敵を威嚇する鋭さか、千里先の戦に向かう武勇を願ってか、あるいは出征する子を送る親の哀しみか。龍子の闊達な筆で描かれた虎は、声鳴き声で今も咆哮しているかのようです。朝陽松島(昭和26年)は、ターナーか印象派を思わせるような自在なタッチとテーマで、これまた闊達な筆さばき、観てほうと溜息。

龍子の画は繊細巧緻と大胆豪放さが共存しています。揺るぐことのないデッサン力をベースに彼の筆が大きく動くとき、豪放さと独特の静けさを共存させた龍子独自の世界が現前し、画を見るものを魅了して止みません。

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