2006年4月10日月曜日

カルロス・ゴーン 経営を語る



あまりにも日本で有名なこの経営者に対して、この本を接するまでそれほどの知識があったわけではありません。カルロス・ゴーン氏に対するインタビューをまとめた本書はゴーン氏の素顔を的確に描出しているとともに、優れた経営者には共通した特質があるものだということを改めて感じさせるもので、非常に興味深く読むことができました。





特に彼のスタンスとして素晴らしいと感じたことは、日産の新経営陣に対し、ルノーの文化を持ち込んで植民地的態度で接することを戒めた点です。私が必要としているのは、"コーチ"だ。(中略)必要なのは、"問題を解決する人々"でした(P.250)


"問題を解決する人々(Problem Solvers)"であることの難しさと大変さ。"問題を見つける人々"は多くても、決して自らが"解決"しようとはしないという、日々の企業の現実を見るにつけ、リーダーシップの重要性を痛感する言葉です。また、「改革」とか「テコ入れ」をしようとすると、現地(あるいは現場)の人を無視した高圧的な手法をとりたがるもので、そこにはお互いの企業(組織)文化を尊重しようとする雰囲気は希薄です。それが成功することは稀であることを、ゴーン氏は教えてくれます。


私たちは劇的なまでの日産のV字回復を目の当たりに見ました。では日本人がゴーン氏に期待した「変革の思想」は、日産を超えて他の企業や日本の体質にまで影響を与えたでしょうか。ゴーン氏の改革であっても、全ての人が「勝ち組」になったわけではありません。「痛みを伴う改革」というのは小泉首相のスローガンでもありました。小泉首相とゴーン氏の決定違いは何であったのか、イロイロと考えさせられる本でもあります。