2007年1月23日火曜日

[読書メモ]高村薫:晴子情歌(上)


それにしても「晴子情歌」は読みにくく。大体において、左様に文才のある女性=母親というものが存在するということが虚構か。母と息子の希薄さと濃密さ、二人の関係はどこに向かうのか、互いに何を求めているのか。高村の作為を感じるが、それでも読むことを止めることはできない。

だらだらと綴られる手紙は、世間の動きと隔絶されたかのような青森や北海道を舞台とすることで、対極的に隠された世界を炙り出す。生活と政治ということ。それは生きる意味ということでさえないかも知れない。

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