2007年3月8日木曜日

大橋弘昌:負けない交渉術―アメリカで百戦錬磨の日本人弁護士が教える


私は仕事がら、毎日とは言わなくてもかなりの頻度で交渉の場にのぞんでいます。相手が百戦錬磨あるいはやり手の担当者の場合は、「これは適わないな」などと思うこともあります。こちらもそれなりに場数を踏んでいますから、交渉の落としどころを見極めながら、相手の印象や雰囲気、そして話す内容など様々な(一次)情報を頼りに、更にそれを逐次修正しながら、話し方や態度を微妙に変えながらカードを見せてゆく戦術を取ります。


交渉はお互いの利得を少しでも大きくしようとする、ある意味で「パイの奪い合い」みたいなもの。交渉テーブルは千差万別ですから、誰にでもマッチする方法論などはないと思っています。





そうではあっても、交渉の最終到達点といえば「負けない」こと。更に言えば、著者も指摘するように当方は勿論のこと相手にも利得が感じられる「ウィン・ウィン」の交渉であるという点には大きく同意するものです。それが極めて難しいから「交渉術」とか「説得術」に関する本が売れるのであり、私のような交渉ベタが、セッセとこういう本を読んでしまうわけです。


著者の大橋氏はニューヨーク州の弁護士。自らの体験をもとにして、主に日本人が欧米人などと交渉する上で心がけなくてはならないポイントを平易にまとめています(→amazon)。1500円もする本ですが、出張の飛行機とか新幹線の片道程度で読めてしまう活字量と文章です。ベストセラーになった「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」と読書感が似ています。


だからと言って、本書を軽んじてはいけません。当然のことしか書いていないと言ってしまえばそれまでです。私は結構普遍的で大切なことが書かれていると思います。頁を繰りながら何度も立ち止まり、今現在進めている幾つかの交渉テーブルを思い出し、反省したり赤面したり、地団太踏んだり、そして決意を新たにしたりしています。


もっとも、私は基本的にゲームや賭け事は全くやりませんし、駆け引きというものが基本的に苦手な人間なので、本来的には実務の場で交渉なんてしたくはないのですがね・・・。世の中には、人間関係をアッという間に築いてしまい、社内は勿論、交渉相手だろうが同業他者だろうが、皆を見方に付けてしまえる人というのも存在し、そういう人には「交渉術」なんて姑息な言葉は不要なんだろうなと、つくづく思います。