2007年7月17日火曜日

サイモン・シン:暗号解読

絶妙の筆致で読ませてくれたサイモン・シンによるフェルマーの最終定理に続く、暗号解読にまつわるドラマです。なんといっても、あれだけの数学的難問にまつわる物語を、感動さえ与えながら数学の歴史と人間ドラマとして仕立て上げたサイモン・シンです。本書の面白さは「読めば分かる」としか言い様がありません。amazonのカスタマーズ・レビュも現段階で47もあることが、それを裏付けています。分厚い本が、またたくまに繰られていく、これぞ読書の快楽。

暗号作成に素数や量子論までが使われているなどということが、いままで雲を掴むような話だったのに、いとも簡単なことのように思われてしまうところがシンの凄さでしょうか。難しいことが難しく書かれていない、分かりやすく本質的で、そしてワクワクするほど面白い。技術紹介は、無理に「引き下げ」ているわけではなく、そういう技術や技術者に対するリスペクトが感じられます。

暗号作成者と暗号解読者の「暗号文」をめぐっての激闘、それに戦争の持つもう一つの姿、コンピューターテクノロジーを含めた科学の進歩の歩みをあぶり出します。そして技術論や歴史を描きながらも、しっかり人間を描いているところに感動があります。主要な人物は可能な限り写真が挿入されており、シンの書く人物像を補ってくれる点も効果的です。