2007年7月18日水曜日

ビジョナリー・ピープル



ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』と『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』が極めて秀逸な本であったので、本書も期待して読んでみました。著者のジェフリー・ポラスはスタンフォード大学ビジネススクール名誉教授、「ビジョナリー・カンパニー」の著者の一人でもあります。


ところが訳がマズいのか、なかなか読み進められない。その上、前著に比べて今ひとつインパクトがありません。紹介されている人物が、日本人には余り馴染みのない人で占められているため親近感が沸かず、自分に引き込んで読めないという点もあるかもしれません。





ビジョナリー・ピープルとは、時の人や浮き沈みのあったカリスマ的リーダーではなく、自分自身の成功を定義し、最低20年以上その分野で長く続く影響を与えられるようになった人とされています。多くのリストから1000人に絞込み、最終的に200人を越える人とのインタビューを行ったそうであります。途方もない労力の結果、本書が出来上がっています。


私はこういう本を読むにつけ、「ビジョナリー・カンパニー」を読んで感じたように、このような研究に、これほどの綿密な計画と労力を払う人種と職業があるということ、そのことに驚きと感動をまず覚えます。


さて、内容はそれほどインパクトがなかったとは書いたものの凡作ではありません。紹介されているビジョナリーな人物が持つ楽天性、前向きな性格、そして情熱には、ほとほと参ってしまいます。間違っても私はビジョナリーな性格を有していないなと思い知らされます。


彼らには人生の意義が明確に見えており、自分が何をすべきか分かっています。「成功」を明確に定義しており、自分の内実と不連続なものとしてそれを位置づけています。


本書の第二章冒頭に書かれている次の言葉は、働くものや、働かないでいる者にとっても深く突き刺さります。


最近は、自分のしていることを好きになるのが大事、という議論が盛んになっている。(中略)多くの人たちにとって、本当の生きがいというのは、そうあって欲しいという感傷的な空想で終わってしまう。


実はこれが問題で、自分の大好きなことをしないのは危険なのだ。自分のしていることに愛情を感じない人は誰であれ、愛情を感じている人にことごとく負けてしまう。(P.54)



おそらく、これは極めて真実なのでしょう。しかし、それを実現できている人は、いったいどれほどの割合なのかと。本書を読み通して、そこに描かれていた人物の生き様を知った後で序章の次の一文を再読すると改めてハッとするはずです。


つまり、長期間にわたって続く成功と密接な因果関係があるのは、個人にとって重要な何かを発見することであって、企業にとっての最高のアイデア、組織構造、ビジネスモデルではない(P.9)


ここで定義される「成功」とは富や名声や権力のことではないことは勿論。


ビジョナリーな人にとって、成功の本当の定義とは、個人的な充実感と変わらない人間関係を与えてくれる、そして自分たちが住んでいるこの世界で、自分にしかできない成果を上げさせてくれる、そんな生活や仕事のことだ(P.30)


さて、自らに問いかけたとき、いかがか・・・。