2007年8月5日日曜日

Vivaldi In furore,Laudate pueri e concerti sacri








  1. モテット『正しい怒りの激しさに』 RV626
  2. シンフォニア ロ短調 『聖なる墓にて』 RV169
  3. 詩篇『主の僕たちよ、主を讃えよ』 RV601
  4. ヴァイオリンとオルガンのための協奏曲 ニ短調 RV541
  5. ヴァイオリン協奏曲 ヘ長調 『聖ロレンツォの祝日のために』 RV286


  • サンドリーヌ・ピオー(S)
  • アカデミア・ビザンチーナ オッターヴィオ・ダントーネ(cond)
  • naive op 30416



一年ほど前に、古楽系ブログで話題になった盤で、今更の感もありますが、聴いてみて感じたことを簡単に書いておきましょう。声楽を伴わない器楽曲も納められていますが、やはり聴くべきはサンドリーヌ・ピオーの歌声です。



  • 『はた迷惑な微罪』 2006.07.20 ~まさに激しさと、華麗さで、これぞイタリア・バロックの醍醐味
  • #Credo 2006.07.23 ~ヴィヴァルディらしい激情型の音楽でカッコよくて聴き応え十分です。ほとんどコロラトゥーラ・ソプラノ@夜の女王みたいじゃない
  • ロマンティク・エ・レヴォリュショネル 2006.07.27 ~CD屋で試聴して、一瞬で身が凍りつきました。
  • ぶらぶら、巡り歩き 2006.9.04 ~宗教曲がこんなにも劇的なものだったのか
  • Takuya in Tokyo 2006.9.10 ~特に付け加えることもありません。 素晴らしいの一言です。


激しいばかりがビバルディではありません。刺激だけなだけが現代バロックでもありません。厳かにして幽玄な部分の信じられない程の美しさと静謐さ、そして神聖さ。この俗と聖の両極端に足を踏み入れ、聴くものの心情をこれでもかというくらいにかき乱す。ヴィヴァルディの多様さと表現力の幅の広さを思い知る一枚です。

まずはRV626モテット『正しい怒りの激しさに』から3曲。


冒頭のアリアからして、度肝を抜かれ、鳥肌ものです。伴奏はスピーディーでキレが良く現代的な演奏。それにピオーの超絶的な歌声が、神聖にして厳かに、それでいて驚くほどの透明性と軽やかさを兼ね備えて飛び回ります。ほとんど奇跡の歌声。繰り返されるヴィルトオーゾ的な部分と中間部の美しさの対比の見事さ。この1曲だけでもはや脱帽。


��曲目は一転して、オルガンに乗った厳かな短いレチタティヴォ。そして、いかにも、そういかにもビバルティ的な弦の伴奏に導かれて'Tunc meus fletus'(Then my tears will be turned to joy)が唄われます。まさにsorrowfulとかpatheticとしか表現しようのない唄は、ソプラノのハイキーがはかなげで、そしてその敬虔さに涙をさそいます。


悲嘆と望みは、'Alleluia'で解放されます。メリスマティックな技巧も、ほとんど聴いていて口があんぐりな状態です。この歌声の軽やときたらどうでしょう。突然にソプラノの限界とも思えるキーがポンと出てきて、最後は軽くスパイラルアップ!敬虔にして耽美で快楽的。聴いていて背中に汗が流れてしまいます。kimataさんが18世紀前半の夜の女王と書いていましたが、まさにです。


続いてはRV601詩篇『主の僕たちよ、主を讃えよ』。


'Laudate pueri'(Prise the Lord)は、Allegro non moltoながら、上下する音符、惜しげもなく使われる高音、そして、長調が表現する喜びと明るさに満ちた、聴くだけで幸福になれる曲。


それにしても、3曲目の'A solis ortu'(From the rising of the sun to the going down of the same...)の美しさときたらどうでしょう。昇る太陽を象徴するかのように静かに刻まれる弦にのって、どこまでも伸びやかなピオーの歌声が被ってきたときには、ほとんど奇跡のような・・・と書くのが陳腐すぎるくらい。最初のロングトーンの美しさだけで確実に泣けます。体中に喜びと幸福が溢れます。最後の高音では脳内ホワイトアウトです。激しい曲もいいのですが、私はこの曲が文句なしにイチ押しです。


シリチアーナのリズムに乗った'Excelsus super omnes'は厳かな祈りか。雰囲気が変わっての'Suscitans a terra'は、ザクザクとした弦の軽快な伴奏にピオーのソプラノが勢い良く歌われます。カンタービレとビルトオージック部分が交互に歌われ、至福の時間もあっという間。


'Gloria parti'はフラウト・トラヴェルソの音色が印象的。モダン・フルートとは明らかに違う暖かな音色は、包み込むようで、ピオーの歌声もトラヴェルソと対話するかのように、しっとりと歌われます。


最後は明るく'Amen'です。中間部のAmenと歌うメリスマティックな技巧の凄まじさよ。波状攻撃の高音、限界までスパイラルアップする吹き上がりとヌケの良さ!まさにヴィヴァルディの面目躍如と言った曲。最後にこれを聴くと、ああヴィヴァ聴いたなあと大満足です。