2009年1月26日月曜日

歌舞伎座:初春大歌舞伎~昼の部

歌舞伎座で「初春大歌舞伎」の昼の部を観劇してきました。歌舞伎座の建て替えもいよいよ決定したようです。2009年4月までの16ヶ月間、「歌舞伎座さよなら公演」と銘打っての公演の最初となります。

演目は「祝初春式三番叟(いわうはるしきさんばそう)」に続いて幸四郎の「平家女護島 俊寛(しゅんかん)」、菊五郎と時蔵の「花街模様薊色縫 十六夜清心(いざよいせいしん)」そして玉三郎の「鷺娘」です。久々に歌舞伎を堪能できました。

一番良かったのは、もっとも期待していなかった「十六夜清心」です。河竹黙阿弥の作品。演じられるのは「稲瀬川百本杭の場」「川中白魚船の場」そして「百本杭川下の場」。鎌倉極楽寺の僧である清心と遊女の十六夜が、どんどんと悪者になっていくという狂言の前半部分。

清心が僧でありながら色恋や浮世の快楽を捨てきれずに、悪心を抱いていくその変化が見所です。求女をはずみから殺してしまい、自らも死のうとするものの、遠くから嬌声が聞こえて逡巡、そして思いとどまっての名台詞。「これを知ったはお月様と、俺ばかり」! ここの変り方が、ヌラヌラと面白い。

俳諧師白蓮を吉右衛門が演じています。狂言を通してみると、こいつはとんでもない悪党なんです。その悪さが台詞から見えていてさすがの貫禄といったところ。通しで観てみたい狂言です。

「鷺娘」は今回が二度目(→一度目はこちら)。変な批評などせず、玉三郎の踊りにどっぷりと浸かるのが、一番よかろうと思います。ナマ「鷺娘」もそのうち「伝説」になるでしょう。

幸四郎は、私はあまり好きな役者ではない。いくら有名、人気、幸四郎のオハコとはいえ、正月から観たい演目でもありません。感動よりもあざとさと過剰さが気になってしまいました。意に反して良かったのが、千鳥を演じる芝雀! 初心な感じがなんともかわいい。「りんぎょやってくれめせや~」が耳について離れません(笑)。彼女の純粋さが、大きく俊寛の心を動かしたことが良く分かります。最後の回り舞台の演出は劇的ですが、やっぱり幸四郎の演技がなんとも、泣き叫ぶより最後の沈黙の方が余程説得力がありましたね。