失業率が5%を超えたというニュースが新聞にのっていた。失業率の捉え方もあるが、実際に準失業状態の人も含めると実数はもっと多いのかもしれない。
さて、構造改革には痛み=失業者が伴うことは自明のこととして認知されたが、いざ構造改革の具体性となるといまだ不安要素が多い。
頼みの綱のIT産業が、松下、富士通、日立、東芝などのメーカーで大幅なリストラを展開している。昨日(8月27日)の新聞では東芝が国内で1万7千人の従業員削減計画を発表していた。これは、今までの企業が海外での人員整理であったのに対し、国内でという点が注目される。
構造改革とは業種転換を意味している。IT関連産業でさえこの始末である。構造改革の痛みは特定業種に固まるという見方もある(いわゆる、建設、流通などだが)。彼らまたは我々は、では積極的に業種転換を図ろうとして、一体どういうメニューがあるというのだろうか。福祉をはじめとするサービス産業への転換というが、お題目に過ぎないのではないかと危惧する。具体的な職種と数値(骨太の方針には530万人の雇用?)を年単位で企業ごとに示してもらいたいものだ。受け入れ企業だって、助成金をもらえば済むという生易しい話ではなかろう。
40歳を過ぎて、全くの異業種に移る、一から資格を取り直してというのもかなりつらいものだろう。それが痛みというなら受け入れるしかないのか。また、40歳前後でそれなりの管理職で収入を得ていた人が、転職した場合、収入は半分くらいになってしまうとも考えられる。それも痛みというのなら受け入れるしかないのか。
無駄といわれている公共工事や行政サービス、または各種の特殊法人などなど、そのどれも、そこに働いている人たちは「自分の仕事は無駄です」「私は無駄な仕事をしてます」と言う人は(よほどのことがない限り)いないだろう。みな、意義と価値があると信じて働いている。はたからの見え方と、中での見え方はまるで異なっているとは思うが。
翻って、自分を考えてみる。「あなたの業種は将来性がないから、他に移らなくてはなりません。1ヶ月以内に目処をつけて1年以内に新しい職場についてください。」と突きつけられたら? 何を頼りに動けるだろうか? それなりに忙しく、色々なものを犠牲にして今の境遇を手に入れたのに、「あなたの20年前の選択(あるいは30年前)は間違っていたのです。先見の明がなかったのです。生活水準を維持するのは諦めなさいと宣言されるのである。
こういう痛みの先に見える、景気の回復とは何か? のっぴきならないところまで達するのに、後少しという気がする。
これは国民である我々が望んでいたことなのだ。構造改革を手段として景気を回復させることが目的として。景気が回復すれば幸せになると皆が望んだんだよな。
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