○ ルイ・ロットを吹く
今日のレッスンは、先生のルイ・ロットを借りて行った。先生のとは言っても普段演奏で使っているものではなく売りに出しているもの。ロット4代目で製造年で言うと1900年初頭だが程度は非常に良い。
私のヘインズ(78年頃)と比べると、巻管と管厚のせいなのかドッチリと重い感じ、吹奏感も密度と抵抗感がある。最初は鳴らしにくいと感じたのだが、ポイントを探してゆくうちに響きを得ることができた。
先生の印象では楽器から音が鳴るのではなく、その背後から響いてくるようで非常に良い、私のヘインズは柔らかな印象、どちらも良い音で吹いているが、ロットの方が遠くまで響いて行くような感じ、とのこと。
ここで先生は面白いことを言っていた。ロットの音を傍らで聴くのは非常に気持ちがいいと。高音域では、私の耳元でビンビン鳴っているので、うるさいのではなかろうかと思うのだが、嫌な感じが全くせずに非常に気持ちが良いとおっしゃる。自分の持っている楽器を自分で吹いても、その楽器の音は聴けないからねというような意味のことも言っていた。そりゃそうだ、半分以上はお世辞だろうが、音が良いと褒められれば悪い気はしない(と思うのは気のせいか?)
さて、そこでロットを借りたままレッスンにかからせていただいた。行っているのは変わらずにソノリテとT&Gだけである。
○ レッスンのポイント
あとで詳しく書くが(自分のメモとしてだが)、今日のレッスンで修正しなくてはならないと感じたのは以下の点である、箇条書きにしておこう。以下の欠点は全て同じ根っこに行きつくような気がしている。
- 楽器の角度が下がりすぎている、頭を右に少し傾け楽器はもっと持ち上げる
- 右手の指が、楽器に対して斜めに傾きすぎている、自然な指の形で楽器と垂直になるような指の角度でキーを押さえる
- 音階をレガートに吹くのと同じように、運指もばたばたさせずにレガートにする
- 指はできるだけキーからあげないように、特に右手の薬指と小指、左手の親指と人差し指、薬指の行儀が悪い(ほとんどではないか!)
○ ソノリテの練習
さて、それでは練習内容についてメモしておこう。まずはソノリテ、半音ずつ下がるものからはじめ2音、3音・・と増やしてゆく。注意されるところは依然として変わらず、音柱の長さが変わっても響きが変わらないようにとは繰り返し注意される。響きを作る、なめらかに、低音で強く吹きすて響きを壊すことのないように・・・などなど、単純だが難しい練習だ。
高音に向かう場合も同じ。最初から響きを作ってノンビブラートで吹く。「CiSやDisは特に響きが暗くならないように気をつけるとのこと。何も考えないで吹くのと、意識して吹くのではまるで変わってくる。ちょっとした注意で変わるのでそれを常に心がければ、自然と意識しなくても吹けるようになる」と言われる。
実はこのときに先生は、ダメな吹き方と良い吹き方の手本を奏して下さっているのだが、音色の違いをどうやって得るかの具体的な指導はない。音を明るくするには自分でもどうやると良いのかよく分からないのだが、口蓋を大きく喉を開いた状態で吹くようにすると「明るく」なっているらしい。これで良いのだろうか?
○ T&G EJ1の練習
��&GはEJ1を八分音符で112のスピードで吹く。できない運指は徹底した部分練習をやらされる。「難しい指ほどそこをゆっくり吹くつもりで意識する。えてして難しい部位は滑って速くなりがちになる。」 なるほど。部分練習の付点のリズムは、できるだけ付点を短くするようにとのこと。「高音のクロスフィンガリングはひたすら脳に覚え込ませて、条件反射的にできるようになるまでたたき込むしかない。できない部位ほどたくさん練習すること」 はい(^^;;
今日新たに注意されたのは、右手の指の角度が少し傾きすぎているとのこと。手を下にだらんと下げた脱力した状態のままキーの上に乗せたい。斜めになりすぎているので、低音のCis、D、Disなどが出にくくなっているようである。もう一つは指のアクションをできるだけ小さくすること。指のアクションを小さくすることが目的ではないものの、ランパルなどは遠くでみていて指が動いていないかのようである。鏡を見て練習するように言われる。
でも前回よりは、力が抜けてきているとのこと、響きからも堅さがとれてきたと言われる、うーん、自分では何が変わってきたのか余りよく分かっていないのだが、そう言われれば、少しは良くなっているのだろう。歩みは遅々としていて、自分でも嫌になるのだが、かといってそんなに練習時間がとれる訳でもない、仕方がないなあ。
「言われたことをすぐできるようにはならないけど、少しでもうまくなれば良しとしなくては。今からランパルになるわけでもないでしょうし、ゆっくり、あせらず、今みたいな練習をしていれば、指の回転を速くするのは難しくないよ」と再び励まされる。
○ ロットについての感想
今日は自分の楽器を吹かず、ロットを吹かせていただいたが、自分の楽器に持ちかえると、慣れのせいもあろうがよく鳴っているように感じる(気のせい?)。最近色々な楽器を試奏してみて、ピンとくる楽器が全然なく楽器に対する未練どころか、楽器による違いも分からなくなってしまったのかと思うようになっていた。
今日、長々とロットを吹かせていただいて、楽器によってこんなにも吹奏感が違うものかと改めて感じた。非常に気に入った楽器であったが、手の届くようなものではないし、私のような腕前ではロットが泣いてしまう。どなたか腕の立つ方がお持ちになって演奏会で音色を聴かせてもらいたいものである。
○ おまけ
実は私のレッスンの後に来られた方の楽器も見せていただいた。数日前にアキヤマフルートを買われたとのこと。ネットオークションで購入したというトラベルソまで持参である。先生のトラベルソなどもずらりと並べた様は壮観であった。もっとも、かなり偏った品揃えであることは否定しないが(笑)
楽器のありようと言うのは難しい。それぞれが、それぞれに工夫を重ね自分の楽器と音楽を作っている。万人が良いという楽器は、フルートには存在しないように思える。その点において、ルイ・ロットという年代物の楽器と、たとえばバイオリンのストラディヴァリウスとでは違いがあるように思える(素人考えだが)。それにしても、楽器へのこだわりというものは、プロにとって思想と音楽そのものであるのだなと思うのであった。
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