アサヒカメラでも紹介されていた柳井一隆氏の写真展(KODAK PHOTO SALON Gallery1)を観てきた。この写真展は高速道路の夜景を撮ったもの。
ポストカードの写真を見ても分かるように、普段見慣れていて、むしろ酷い景観の代名詞とも言える高速道路が、妖しく光彩を放ちながらも圧倒的な重量感を有して細部まで曝け出している。
夜の高速道路(深夜ではなく、まだ人が生活を営んでいる時間帯)を、長時間露光によって浮かび上がらせているが、出来あがっている写真は驚くほど美しい。これが、渋滞と排気ガスで充満している高速道路であるとは到底思えず、擬似都市の写真を見ているような気にさせられる。
細部までにピントの合った写真は、見ていて快感を呼び起こす。高速道路や橋脚、光る螺旋階段などが、かくも美しいものであったかと認識を新たにする。
しかしながら現実世界においては、このような色彩は決して現出するわけもなく、柳井氏の美意識によって構築された "Metal road" と現実のギャップに、心がざわめくような異質な軋みを感じる。美の感覚は、ものごとをちょっとした角度から眺めることで再発見できるものであるし、また柳井氏が "高速道路" という素材に拘った理由も、ある意味で同時代的であると感じ、共感を覚える。
HIYORIみどり 「柳井氏によると、この写真はネガフィルムなんですって。焼き上がりをイメージできるのなら、ポジよりもネガの方が格段に扱いやすいんですって」
KAZAみどり 「写真技術のことはよく分からないけど、思ったとおり若手の写真家だったわね」
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