2004年10月27日水曜日

アンネローゼ・シュミット/ブラームス:作品119

ブラームス:
4つのピアノ小品 作品119
4つのピアノ小品 Op.119
アンネローゼ・シュミット(p)
1979年11月18日/19日、日本コロンビア第一スタジオ
DENON COCO-70536

CD棚をごそごそやっていたら、アンネローゼ・シュミットさんの弾くブラームスの4つの小品 作品119がみつかりましたので、ケンプの盤と比べてみました。いやあ、全然印象が違うので、びっくりしてしまいましたよ。

アンネローゼ・シュミットの弾く作品119

ああ、なんてことでしょう。あんなにも穏やかだったケンプの弾く作品119とは全く違った世界がここにはあります。ひとことでいえば、生きがよく弾けるような生命感に満ち溢れた、力強い音楽に仕上がっています。迷うような寂しさよりは、強靭な精神の中に秘められた孤独を感じるような演奏で、ある種の凄みさえ感じます。枯淡の中に迷ったり、昔を思い返すような音楽ではないですね。(ここらへん、かなり主観独断的)

アンネローゼ・シュミットは1936年生まれで旧東ドイツを中心に活躍したピアニスト。この演奏は1979年のものですから43歳頃の時の演奏になります。何度か日本にも来ているようで、美貌のピアニストとして有名であったとか。

それにしても、シュミットのピアノは強烈、というか、こうして比べてみるとケンプがやっぱり「甘い」のか、それを「味」と感じた指のもたつきも、リズムの乱れも「ダル」に聴こえる、表現は聴始終「泣いて」いるようでさえある。

それに比してシュミットは硬質な響きが印象的で、スピーディーに進みます(第3曲:ケンプ1:42、シュミット1:16、第4曲:ケンプ5:10、シュミット4:26)。余計な誇張やわざとらしさはあまり感じない。ストレートな表現、あるいは「虚飾」がないと言っても良いかもしれません。2楽章最後の、ほのかな花が咲いたかのような柔らかな表現を聴くと、バリバリ弾いているところよりも凄いと思います。3楽章から4楽章にかけては打鍵も強く圧巻です。鄙びた味わいなどどこにもありません。

ちなみにこの盤のメインは、ケーゲル&ドレスデン・フィルによるブラームスのピアノ協奏曲第2番、DENON CREST1000で今は求めることができます。

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