3月に入ってから、なにやら仕事がバタバタしていて落ち着かない日が続いています。今日は昨年の秋に入手して封も切っていなかったマラン・マレのヴィオール集を取り出して聴いています。
Marin Marais:Piece de Viole du Second Livre
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マラン・マレ(1656-1728)といえば、師であったサント・コロンブとの確執を描いたAlain Corneauの映画「めぐり逢う朝 ( Tous les matins du monde ) 」で有名になったように覚えています。最近までは脚光を余り浴びていなかったマレですが、ルイ14世時代のフランスでは an incomparable Parisian violist whose works are known throughout Europe
というくらいに有名なヴィオール奏者かつ作曲家であったそうです。
オペラやトリオ・ソナタなども作曲し、当時は広く演奏されていたようですが、最も代表的な作品は5巻のヴィオール曲集(1686-1725)とされています。この曲集には550曲もの独奏・合奏曲が含まれていますが、中でも1701年にマレ45歳の時に出版した第2巻は「ラ・フォリア(スペインのフォリア)」が納められていることから特に有名です。このアルバムもこの第2巻からとったものです。
最初に納められている「ラ・フォリア」はフルートでもよく演奏されますから、聴き馴染みのある曲とえいまが、やはりヴィオールで奏されるのを聴くと深みと渋みに圧倒されてしまいます。舞曲をテーマとした32の変奏曲が延々と演奏されますが、聴いていると、淡々とした落ち着きの中からメランコリックな哀愁が漂ってきます。人生に疲れてきたときに聴くと特に心に染みます。
マレの師でもあった、サント・コロンブに捧げるトンボーも秀逸です。一連の下降する音形が追悼と哀しみを歌っているように思えます。最後にちょっと弦の響きが強くなるところに静かなパッションを感じます。
ルイ14世が1685年にマントノン夫人と密かに結婚しますが、彼女が経験なカトリック信者であったことは、華やかな宮廷音楽にも少なからぬ影響を与えたようです。マレの技法を駆使したヴィオラ・ダ・ガンバの曲集は、一見快活なGigueなどもありますが、全体にどこか内省的であり、聴きようによっては老人の追憶や後悔に似た感情を覚えるのも彼の生きた時代と無関係ではないのかもしれません。
ちなみにヴィオールとは以下のようなものらしいです。
The instrument for which Marais wrote the major portion of his works is commonly referred to as the viola da gamba. Strictly speaking, however, it was the small bass of the viol family, which in the 17th and early 18th centuries included as many as nine different sizes of instruments, all called by the generic name viola da gamba. Marais' instrument--viola da gamba, bass viol, basse de viole, or, simply, "gamba"--was somewhat smaller than the modern cello and had frets and seven strings, tuned to A1, D, G, c, e, a d1.
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