2007年10月2日火曜日

展覧会:安齊重男の“私・写・録”1970-20


国立新美術館が企画・主催する初めての個展となる『安齊重男の“私・写・録(パーソナル フォト アーカイブス)”1970-20』を観てきました。安齊氏は現代美術の現場を記録してきた写真家。実は私はとりたてて現代美術にも、そして安齊氏にも興味があるわけではありません。知り合いの写真が展示されている、ということを知り、観てきた(=探してきた)次第です。

安齊が撮影した芸術家は非常に多岐にわたり、その圧倒的な数の写真群は息を飲むばかり。芸術作品を撮ったというよりは、その芸術を生み出した作家や時代を写しているといった方が正しいでしょうか。

それにしても、1970年からつい最近に至るまでの多くの作品群について、ひとつひとつを眺めると、現代美術ですから、アタマの中に?マークがいくつも浮んでしまいます。しかし、それらを総体として時代の流れとしてみたときには、何か感応できるものがあります。一見、無味乾燥な作品だったり、ぶっきらぼうな、あるいは、人をこばかにしたような作品であっても、実はその作品が生み出された作家の内実は、非常にドロドロとしており、止むに止まれず、あのような作品を生んでしまったということが、何となく伝わってきます。

写真を眺めると、それは芸術というものが持つ抽象性の奥に隠された欲望とも葛藤とも渇望とも言えるような、ナマな人間の感情の奔流のようであって、余程具象よりも空恐ろしく感じたものです。あまりの写真の多さと芸術作品の直接性に、軽い眩暈と吐き気さえ覚えたことも否定できません。

知り合いの写真も数枚発見でき目的も達したので、あまり長居は無用と展示会場を後にしましたよ。



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