昨月来日しN響(パーヴォ・ヤルヴィ指揮)と共演したヒラリー・ハーンによるプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番の演奏が昨夜のN響アワーで放映されました。期待して番組を観ましたが、まさにCDで聴いていたようなキレのよい演奏が展開され、会場で聴きたかったものだとつくづく後悔しました。
ハーンのヴァイオリンは、色々な人が指摘する様に技巧の正確無比さが図抜けており、輪をかけてCDのジャケットや公式サイトのイメージから硬質な演奏を想像させるのですが、しかしそれは機械的で無機質な演奏というわけではありません。今回もプロコフィエフ的な技巧的パッセージの鮮やかさとともに、ヴァイオリンを歌わせる部分においても懐の深さのようなものを聴くことができた気がします。
プロコのヴァイオリン協奏曲を演奏するのに当たってのインタビューで「印象派的なところもあれば、ロックのようなところもある」とハーンが語っていました。映像で見るハーンの演奏は実にキビキビとしていて高い運動性能を示しています。プロコフィエフの複雑なリズムと一体になっているかのような演奏からは、爽快感さえ漂います。特に第1楽章の中盤、ピチカートが荒れ狂う当たりから後半にかけての表現の適確さ、そして第2楽章は圧巻といったところ。しかも、演奏はベタベタと熱くならないところが凄い。
「印象派的」と言うところも私には分らなかったのですが、そう言われれば第1楽章後半で、フルートと絡んだするところなどは、そういう雰囲気がありますかね。プロコの音楽は印象派とは対極にあるように思っていましたから、意外でありました。もっともプロコのこの曲には、あまり親しんでいるわけではありませんので、機会があれば他の演奏で聴いてみたいと思います。
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