世に自己啓発本というのがあります。30代の頃は自己啓発本とかビジネス本を軽蔑とまではいかなくても軽んじていました。何を今さら他人に教えてもらうのだと、自分に自信を持っていたのでしょうか。ずいぶんと傲慢にして不遜、無知な考え方です。ですから、ベストセラーとなった、例えば「金持ち父さん貧乏父さん」とか「チーズはどこへ消えた?」みたいな本の存在そのものを長らく無視しておりました。
しかし、40歳を半ば近くなってきたころから、ようやく自分がそれほど優れていないこと、むしろ他人に対して著しく劣る部分が極めて多いことを思い知るようになり、その手の本を読むようになりました。まあ謙虚になってきたというのでしょうか。しかし、とは言っても、今さら、あれ程のベストセラーを手に取るのも恥ずかしい。
そういう見栄もあって、今年の冬休みは特に予定もなかったのでペーパーバック版で読んでることとしました。意外に日本翻訳本よりも安かったことも理由です。冬休み暇だし、ついでに英語読解力の向上も目指そうかなと。
もっとも、私の英語レベルといえば中学生のそれを超えないものです。基本的な単語力もないし記憶力も減退しまくっていて、本当に酷いものです。ですから、ちょっと苦労はしましたが、内容的には得るところはあったかなと。
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Rich Dad Poor Dad by Robert T. Kiyosaki
Robert T. Kiyosakiのあまりにも有名な、投資に関する本ですね。私はそのタイトルから、もっと軽い内容なのかと思っていましたが、日本の数多の投資ビギナーに対する本よりも余程説得力がありました。文章は平易ですし、繰り返しがやたら多く、その点、Kiyosaki氏の論調が鼻に付いたり、飽きたりしてくるのですが、彼の主張はぶれません。
「お金のために働くのではなく、お金に働いてもらう」「お金にお金を稼いでもらう」という投資的発想は、例えば森永卓郎氏のように「本来はお金は働いて稼ぐもの」(年収崩壊―格差時代に生き残るための「お金サバイバル術」 )と考える従来型の人には、違和感と受け入れがたさを感じる部分でしょう。また、Kiyosaki氏の労働観も働くことを通じて自己実現を図るという考えを持つ人からは反発されやすい部分でしょう。まず説明される節税に関する説明も、なんだかなあと思ってしまいます。
「勉強していい大学に入って、いい会社に入って、老後は年金生活・・・」という生き方(すなわちPoor Dadの生き方)は、アメリカでも広く支持されていた生き方。それを真っ向から否定しているのが本書なんです。本書に否定的意見が出るのも頷けます。
それではあっても、彼の主張は説得力があるのですね。それは彼が人生に対して前向きで、リスクを恐れず、そして自分に最大限の投資をすることでリターンを得ているという強さがあるからです。まず真っ先に自分に投資しろ、というのは、お金に限らず全てに当てはまると思った次第。
Beginnings/Chapter Eight Overcoming Obstacles
という章では、投資を始める上での障害として以下の五つをあげています。
- Fear.
- Cynicism.
- Laziness.
- Bad habits.
- Arrogance.
あまりにも的確。それは財産の投資ではなく、人生に対する投資についてさえ言い当てています。
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Who Moved My Cheese? by Dr Spencher Johanson
これまた、一時書店に山積みになっていましたよね。初版であったとしても、以前の私なら手にも取らなかったろうなと。しかし読んでみると、OVER 12 MILLION COPIES SOLD WORLDWIDE
だけのことはあり示唆は多い。
アメリカ大統領予備選における今年の流行語ではありませんが「Change」がテーマ。変化にどう備えるか。変化を嗅ぎ取り、対処する。
これは、先の「Poor Dad Rich Dad」で書かれていた、リスクをコントロールするということ、あるいは、梅田望夫の主張する「けものみち」を行く(「ウェブ時代をゆく」)ということにも通じるように思えます。自己の責任において変化やリスクに積極的に対処する時代に、本格的に突入していることを、年末年始の読書は痛切に感じさせてくれました。
本書で一番痛かったのは、失われたチーズを探す本論ではなく、最初の章の下記の部分かな。
"When one of our senior executives, who was having difficulty adapting, said the story('Who Moved My Cheese?) was a waste of time, other people kidded him saying they new which character he was in the story -- meaning the one who learned nothing new and did not change"
ウヘッ!! オレのことぢゃないか、ってね。
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英語の方ですが、「Rich Dad Poor Dad」は、最初こそ慣れないのでちょっと戸惑いましたが、50頁も読むと(辞書は必要ですが)何とか読めるようになります。どうしても分からない部分は、何度か書店に行って確認しましたが(笑)。「Who Moved My Cheese?」は、前者よりははるかにやさしく、前書きにあるように、すぐに読めます。
さて、2冊を読み通すことで、私の英語力は向上したか? ネットサーフィンしてみる・・・、CDのブックレットを捲ってみる・・・!!!? 依然として、以前と同じく、全く歯が立たない・・・、前途は多難、今は新たに別の2冊に挑戦中なり。
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