今週聴いていたのはNAXOSの『ラター:レクイエム、宗教音楽集』です。
- NAXOS
レクイエムといえば、モーツアルト、フォーレやヴェルディのものが思い浮かびますし、少しマイナーですがデュリュフレのレクイエムというものもあります。ラターのレクイエムは、フォーレやデュリュフレと類似のコンセプトの曲でしょうか、また『深き淵より』という詩篇第130番や『主は我が羊飼い』(詩篇第23番)が挿入されているのが特徴的です。
ヴェルディのレクイエムのような劇的さは排除されていますので「ヒーリング」系レクイエムとして好まれているのかもしれません。あるいは他のラターの曲もそうですが、英語で歌われていますしメロディも比較的馴染みやすい曲が多いので、より好ましく思われるのかもしれません。
この曲はラターの父の死への追憶として作曲(1985年)されたものだそうです。確かに聴いてみますと、第2曲目の詩篇はチェロと合唱のアンサンブルはとても心地よいですし、『ピエ・イエズ』を歌うソプラノのエリン・マナハン・トーマスの声は繊細ですばらしい響きです。『サンクストゥス』は明るい曲調でグロッケンの響きが印象的、"Sanctus, Sanctus"と歌う合唱は喜びに満ちています。
『アニュス・デイ』は中間部で盛り上がりますが、後半の合唱とフルートの掛け合いが静謐さと祈りを表現しているようで限りなき安らぎに満ちてきます。その雰囲気のまま詩篇第23番のオーボエの響きに引き渡されるところは、この曲での絶品の部分といえましょうか。最後の『ルクス・エルテナ』のソプラノとフルートに導かれる歌は、まさに奇跡的なほどの崇高さに満ちてきます。ラストでは冒頭に歌われた"Requiem aesternam dona ,eis Domine"が繰り返されるのですが、気付くと思わず一緒に口ずさんでいます。
実は『レクイエム』の何たるかもあまり理解せずに書いているのですが、宗教やキリスト教に馴染みのない人でも楽しめる曲であると思います。私はこれを機会に、別の演奏のラターも聴いてみたくなりました。
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