2021年12月17日金曜日

ユジャ・ワン&ドゥダメル ロサンゼルス・フィルハーモニックによる「Must The Devil Have All The Good Tunes?」~ユジャ・ワン節炸裂

ジョン・クーリッジ・アダムズ John Coolidge Adams(1947-)作曲によるピアノ協奏曲を聴いてみました。アダムスの初期はミニマル音楽を、その後は新ロマン主義、ポスト・ミニマル的な音楽家と評されているようです。

曲のタイトルは「Must The Devil Have All The Good Tunes?(悪魔は全ての名曲を手にしなければならないのか?)」とあります。Wikipediaによると以下のようにあるように、音楽的にはいろいろな語法を用いているのでしょうか。

アダムズはポピュラー音楽を含む20世紀音楽の音楽語法を幅広く参照しており、初期の歌劇や、ウィットの利いた管弦楽曲『フィアフル・シンメトリーズ』ではストラヴィンスキーやオネゲルと、ビッグバンドのスウィングが折衷されており、近作の『My Father Knew Charles Ives』では、他人の作曲家の作品を自由に使い回すコラージュ技法において卓抜な技法を発揮した。

2019年3月のドゥダメル&ロスフィル 100周年記念ツアーの際に、この今日が演奏されており、AMATIという音楽企画に曲解説があり、詳細はそちらを参照いただくと良いです。

かなり複雑な音楽ですが、現代音楽的な難解さはありません。むしろ調性的であり耳障りな音響が続くこともありません。

冒頭からオケとユジャ・ワンのピアノが、がっぷり組んだ激しさで始まります。ハチャメチャとは言いませんけど、確かにコラージュというかパッチワークというか、オモチャをガラガラとバラまいたというか、まとまりのない音楽です。

音楽に詳しい人ならば、ヘンリー・マンシーニの『ピーター・ガン』のテーマ音楽や、リゲティのピアノ練習曲「悪魔の階段」の旋律が聞こえてくるのかもしれません。

1楽章から、ユジャ・ワンのピアノが、オケに負けじとガンガンなります。スタミナ切れないかと心配になるくらい。

2楽章は緩徐楽章となっており一息付けますが、終楽章はまた丁々発止。ラストがアレ?と少し物足りなさがありますけど、まさにユジャ・ワンのピアノ炸裂って感じの音楽です。ドゥダメルとロスフィルも、ユジャ・ワンの前では脇役ですね。

30分足らずの短い曲なので、騒音なのか、と思うような音楽でも、何度か聴き返すことができました。体育会系ピアニズムが好きなんだけど、既存の曲は聴き飽きたという方にはおススメでしょうか。

最後に入っている「China Gates」は、オマケのように美しい曲でした。


  • Must The Devil Have All The Good Tunes? (2018)
  1. Gritty, Funky, But in strict Tempo; Twitchy, Bot-Like
  2. Much Slower; Gently, Relaxed、
  3. Piu mosso: Obsession / Swing
  • China Gates (1977)
  • ユジャ・ワン(ピアノ)
  • グスターヴォ・ドゥダメル(指揮)
  • ロサンゼルス・フィルハーモニック(1-3)


(参考)

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