オラフソンがモーツァルトの作品と、モーツァルトと同時代の作品を並べて聴かせるコンセプトアルバム。2021年4月録音、9月発売。収録時間は1時間24分とCDにすると2枚組分です。
https://music.apple.com/jp/album/mozart-contemporaries/1572873864
輸入元解説より。
モーツァルトのお気に入りの作品を、彼の同時代の作品と一緒にプレイリストのように絶妙に配置。ドイツ=オーストリアのカール・フィリップ・エマヌエル・バッハとハイドンは、音楽と精神の両方でモーツァルトと密接に関係を持つ一方、イタリアのガルッピとチマローザは、モーツァルトと直接的な繋がりはなく、地理的距離もあったにせよ、18世紀の同じ音楽生態系に属し、共存した異なる美的価値を反映しています。
収録されている作曲家は、C.P.E.バッハ(1714-1788)、ハイドン(1732-1809)、ガルッピ Baldassare Galuppi(1706-1785)、チマローザ Domenico Cimarosa(1749-1801)、そしてモーツァルト(1756-1791)です。
モーツァルトは非常にポピュラーな曲が選ばれています。一方、ガルッピやチマローザの曲はほとんど聴いたことがありません。モーツァルトの曲の間にこれらの曲が挟まれることで、マイナー(調性ではなく)な曲の魅力に光が当たり、そして逆にメジャー(調性ではなく)な曲を逆照射して新たな発見を促す。コンセプトアルバムによくある発想です。
以下はオラフソン自身のアルバムに寄せたコメント。
「有名な作品と無名のものが混在することで、モーツァルトの音楽に対して私たちが持っている偏見を取り除くことができるのではないかと期待しています。ガルッピやチマローザのような、驚くほど叙情的で希少な作品を発見したときに感じたような、自由で子供のような気持ちでモーツァルトの最もよく知られた作品にアプローチしていただきたいです。」
モーツァルトの音楽に対する偏見とオラフソンは語っています。それはどういうものなのか。通俗名曲に堕した、聴き飽あきた、ありふれた、あるいは消費され尽くし、すり切れた音楽という感覚でしょうか。あるいは、いかにもモーツァルト的な響きも含めて。
そういう偏見とイメージを、少しでも払拭しようと考えたのでしょうか。
「よくある発想のアルバム」とはいえ、このアルバムはとても良いです。聴いていて、この曲はこんなに良い曲なのかと認識を新たにし、あるいは、こんなに美しい曲を知らなかったのかと後悔と驚きを感じます。
ひとつひとつの曲を、誰のなんという曲で、とか確認しながら聴くよりも、少々野暮かもしれません。
とはいえ、CDにはオラフソンによる曲ごとの解説が載っているとのこと。これはこれで読んでから聴くのも理解が深まるだろうなと思います。
オラフソンが紡いだ曲集は、まるで大切な宝箱のような輝きを放っています。こういう構成のコンサートがあれば、是非とも行きたいものです。
- ガルッピ:アンダンテ・スピリトーソ(ピアノ・ソナタ第9番ヘ短調から)
- モーツァルト:ロンド ヘ長調 K.494
- C.P.E.バッハ:ロンド ニ短調 H 290
- チマローザ:ソナタ第42番ニ短調(オラフソン編曲)
- モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397(未完)
- モーツァルト:ロンド ニ長調 K.485
- チマローザ:ソナタ第55番イ短調(オラフソン編曲)
- ハイドン:ピアノ・ソナタ第47番ロ短調 Hob.XVI:32
- モーツァルト:小さなジグ ト長調 K.574
- モーツァルト:ピアノ・ソナタ第16番ハ長調 K.545
- モーツァルト:アダージョ 変ホ長調(弦楽五重奏曲第3番ト短調 K.516からオラフソン編曲)
- ガルッピ:ラルゲット(ピアノ・ソナタ第34番ハ短調から)
- モーツァルト:ピアノ・ソナタ第14番ハ短調 K.457
- モーツァルト:アダージョ ロ短調 K.540
- モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618(リスト編曲)
(参考)
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