2004年3月27日土曜日

読売日響のブラームス第3番

しばらくプロオケに接していませんでした。時間的に余裕があったので、サントリーホールに足を伸ばしジェフリー・テイト指揮、読売日響のブラームス交響曲第3番ほかを聴いてきました。

コンサートは非常に満足するものでしたが、それにしても当日券を待っている間は寒かった・・・物凄い突風が吹き荒れていまして、アークヒルズでは桜祭りとかが催されていましたが、テント屋台の「生ビールとおでんはいかがですかア」という声が、風に吹き飛ばされていました。

エルガー:序奏とアレグロ 作品47
ハイドン:交響曲第102番 変ロ長調 Hob.1-102
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 作品90

日時:2004年3月26日 19:00 サントリーホール
指揮:ジェフリー・テイト 読売日本交響楽団

東京に来てほぼ1年、読売日響を聴くのは実は今日が初めてです。プログラムがエルガー、ハイドン、ブラームス交響曲第3番と「シブメ」であったのですが、プロオケをしばらく聴いていないなと思って、当日券狙いでサントリーに足を伸ばしました。

さて、ジェフリー・テイトという指揮者も読売日響も予備知識はなかったのですが、聴いた印象は「うまいオケだな」というものでした。

プロオケなのですから「ヘタな」わけはないのですが、音に厚みといいますか温かみがあるのです。特にふくよかな拡がりをもった低音の響きは独特なのではないでしょうか。フォルテッシモであっても音はけばけばしくはならず、豊かにホールを包むようで何とも心地よいのです。

昨年私は何度か東京交響楽団の演奏に接しましたが(本当に数回ですが)、彼らの割と繊細で精緻な響きとは明らかに異なります。精密さという点では少し雑なところもあるように思えましたが、逆にそういうところも音楽的な余裕のようなものとして聴くことができるようにも思えました。

本日のプログラムはエルガーから始まりましたが、指揮者のテイト氏はイギリスの指揮者です。「エルガーはブラームスに憧れていた」と氏自ら語っていますが、本日のエルガーもスケールの大きな演奏で、読売日響のサウンドもあってか、どこかブラームス的な柔和さを感じることができた演奏でした。

続くハイドンの交響曲も、古典風のキビキビとした響きを重視した演奏というよりは、曲のもつ流れや明るさ、そして美しさを十分に引き出した演奏のように思えました。あまり馴染みのない曲でしたが、抑制と統率の聴いた曲であり、ハイドン独特のスピード感などを十分にわくわくと楽しむことができました。

最後はブラームスの交響曲第3番です。ブラームスというのは以前はあまり好きではなかったのですが、こ の頃は齢をとったせいでしょうか、ブラームス的な落ち着きと憂愁というものに惹かれるようになってきました。もっともブラームスらしいメロディについては、あまりにも甘く美しいが故に演奏の仕方次第ではちょっと鼻についてしまうのですが、テイト氏の指揮ぶりは余計な感情をためすぎずに流してゆき、それが心地よく感じられました。テンポも中庸というところなのでしょうが、意外とさらりとした演奏という印象です。まあ、これは曲のせいもあるのでしょうか。

それにしても感じたのは、読売日響の音色とブラームスの相性の良さ、それに加えてホルンの素晴らしい音色と安定感です。ホルンの響きは、ほとんと絶品といいましょうか、熟成されたコニャックのような響きで、実はこれには心底驚いてしまいました。(今日のホルンも山岸博さんが乗っておられたのでしょうか?)

そういうわけで、ブラボーと叫びたくなるような扇情的なプログラムではありまえせんが、しみじみと良い演奏会であったと思います。今日の夜は風が強くて寒かったのですが、読売日響の柔和で厚みのあるサウンドを身にまとって、精神的には暖かに帰宅できたというところです。

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