2006年7月7日金曜日

「説得」の戦略


ビジネスシーンにおいて、相手を説得する場面というのは余りにも多い。私の職種の場合、説得の相手は顧客であったり役人であったり。夢見るデザイナーやガリガリの技術者であることも少なくはありません。社内においては幹部や上司は勿論、他部署の社員、同僚や部下、派遣社員。生産現場においては契約関係にある調達先の社長や営業担当者にはじまり職長から末端作業員まで。考えてみると毎日がネゴシエーションと調整を含めた「説得」に終始していると言っても過言ではないかもしれません。


もっとも私は経営者ではありませんから、株主や投資家を説得する必要はありません。





まあ、とにかく「説明」し「説得」する日常であることは今後も変わらないでしょう。しかし、社会において「説得術」は教えてはくれません。特に日本の場合は、その能力を個人のもって生まれた資質やパーソナリティに帰着させてしまっているような雰囲気があります。本書のまえがきの日本では説得力や交渉力の教育はかなり遅れているという一文を目にし、まさにそうだよなと頷いてしまいました。


内容はハーバード・ビジネス・レビュに掲載された論文記事から、本書のテーマに合う内容のものをセレクトしたものです。従って、同一の筆者が書いているわけではないく、内容の一貫性や分析の深さという点からはイマひとつの感が拭えません。それでも、自分の「説得」というスキルを改めて見直し、交渉やプレゼンテーションの場において、場当たり的に対応するのではなく、ちょっと考えて行動する小さなきっかけくらいは与えてくれそうです。


特に、ミラー・ウィリアムズのCEOと会長による「意思決定スタイル別 ビジネス説得術」は興味深い。これによれば、意志決定者は 1)カリスマ 2)思索者 3)懐疑主義者 4)追随者 5)コントローラ の5種類に分けられるのだそうです。それぞれに合わせた説得術があるのだと。自分や直近の交渉相手がどのタイプに当てはまるのか考えながら読み進めるとリアリティがあって面白いです。


「ストーリーテリング」については、我が社でもそれが得意な重役もいますね。しかし、それも時と場合によりますなあ。そもそも、本書が対象としている「説得」「交渉」のシーンは、知的で高尚な相手が主であるエリートな場面であることを想定しすぎています。我々が接するネゴシエーションの場面は、もっと低俗で泥臭いものが多いのですがね。