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2006年6月18日日曜日

山口恭子:だるまさんがころんだ、猿谷紀郎:碧い知嗾/岩城宏之 & OEK




  1. 山口恭子:だるまさんがころんだ (1999)
  2. 一ノ瀬トニカ:美しかったすべてを花びらに埋めつくして… (1995年度オーケストラ・アンサンブル金沢委嘱作品)
  3. 猿谷紀郎:碧い知嗾 (2003年度オーケストラ・アンサンブル金沢委嘱作品)


  • 岩城宏之(cond) オーケストラ・アンサンブル金沢 高木綾子(fl)
  • 2003年4月24(1)(2) 2003年9月19日(3) 石川県立音楽堂コンサートホール(ライブ録音) WPCS-11723

せっかくなので、山口さんと猿谷さんの作品についても言及しておきましょう。

最初の山口さんの曲は「だるまさんがころんだ」という無邪気なタイトル、しかし童謡風のほのぼのさとは全く異質の音楽世界、静と動の激しい対立と緊張が表現されています。山口さんはこの曲が残響の長いホールで演奏されることを意識したそうです。長く引き伸ばされる音、小刻みなフレーズ、弱奏とたたきつけるような音塊、そして最後の消え入るような終わり方が印象的。5分程度の短い曲ですが、響きの生み出す面白さと不思議なイメージを堪能できます。《本当は怖い「だるまさんがころんだ」》

猿谷さんといえば、「ディープインパクト~栄光」で有名な作曲家(らしいです)。慶応義塾大学法学部卒業後、ニューヨークのジュリアード音楽院作曲科に留学し優秀な成績で卒業されているという異色かつエリートな経歴。彼の書くプログラムノートも哲学的で難解。雑踏の中に時折飛散する少し碧みがかった花弁のような真理を拾い集めてみたいとあるのですが、私には雑踏の中での無秩序で不安な断片のようなものしか聴き取れず。こちらの曲は、今の私には余り馴染めませんでした。猿谷さんは現代作家の中で確たる地位を築いている方のようですので、他の作品も機会があれば聴いてみたいと思います。


一ノ瀬トニカ:美しかったすべてを花びらに埋めつくして・・・/岩城宏之 & OEK 高木綾子

  • 山口恭子:だるまさんがころんだ (1999)
  • 一ノ瀬トニカ:美しかったすべてを花びらに埋めつくして… (1995年度オーケストラ・アンサンブル金沢委嘱作品)
  • 猿谷紀郎:碧い知嗾 (2003年度オーケストラ・アンサンブル金沢委嘱作品)
  1. 岩城宏之(cond) オーケストラ・アンサンブル金沢 高木綾子(fl)
  2. 2003年4月24(1)(2) 2003年9月19日(3) 石川県立音楽堂コンサートホール(ライブ録音) WPCS-11723
岩城宏之氏の訃報に接し、何か一枚くらいは聴いて冥福を祈ろうと考え入手した盤。解説によるとどれもが日本の現代音楽の「今」を象徴する3人の若手作曲家による注目作品を集めた1枚であるとのこと。

一番の注目は、高木綾子さんがフルート・ソロをつとめる一ノ瀬トニカさんの作品。これが恐ろしく素晴らしい。高木さんのフルートは文句なしに良い。彼女独特の一本芯の通った音が曲に存在感を与えています。とにかく、冒頭の室内楽とフルートの交信からして美しすぎる。何なんでしょう、この懐かしさに満ちた、それでいて新しい感じのする音楽は。

作曲者自身によるプログラム・ノートには一種の浮遊感(足取りとしては確かなもの)というキーワードがあります。確かに浮遊感のような、移ろいの美しさと儚さはあるものの、弱々しかったり女々しかったりするようなものではなく、不思議な確信と希望に満ちた感覚。立原道造の『天の誘い』という詩にインスパイアされて作曲したのだそうです。

中盤での高木さんのフラッターと跳躍を伴った技巧的なパッセージ、それに呼応するかのような弦と打楽器の交信、オーケストラによるクラスター的音響とフルートの叫び。音楽は次第に盛り上がって。

そこからラストに至る音楽は、美しすぎて言葉になりません。

岩城氏の音楽を聴くつもりが、一ノ瀬トニカさんと高木綾子さんに、完膚なきまでに叩きのめされた一枚となってしまいました。

その一ノ瀬さんの作品をもっと聴きたいっ!と思ったら、来週の目白バ・ロック音楽祭で聴けるではないか!目と鼻の先!っと思ったらっ!来週は岡山出張ではないかっ!ふひょーん!! ちなみに高木綾子さんのフルートは7月の奏楽堂で接するから良しとしよう。

ふと思ったのですが、名前が「トニカ」ですって?本名?「現代音楽」なのに美しいわけです。