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2004年12月22日水曜日

立川のビラ配りの件3

「立川自衛隊テント村」という反戦団体が、防衛庁官舎にビラを配った件で住居侵入罪に問われた件について以前エントリーを書きましたが、東京地裁八王子支部で無罪判決が言い渡されたそうです。


細かな事情まで調べてはいませんから、普通に考えれば「ビラを配っただけで逮捕」はやり過ぎではないか、と思っていましたので、当然の帰結だとは思うものの、ネット上では公安の権力行使について肯定的な意見も少なくないことを知ったりしたものです。事件を報じたのが朝日新聞と赤旗だけでしたから尚更であります。


【参考サイト】






 こうした政治的なビラ配りについて、判決は「憲法21条の保障する政治的表現活動の一態様であり、民主主義社会の根幹を成すもの」と述べ、ふだん官舎に投げ込まれている宣伝ビラや風俗チラシよりはるかに大切であると説いた。


と朝日新聞にありますが、表現の自由や政治的活動の巾に関する微妙な問題を孕んでいることは否定できず、「立川自衛隊監視テント村」という、少々過激な名前の市民活動家たちの行動が、ある種類の方々の反感を買ったことは、ちょうどイラクで拘束された三人の日本人の時にも巻き起こった感情と、どこか通じるものを感じます。


彼らが反対した自衛隊は実際サマワで何をしているのか全く分りません。給水活動に道路復旧や学校復旧だと政府は言いますが、イラク復興にどれだけ寄与しているのか全体での位置付けも分りません。勿論、イラク派遣に一体いくらの国費が費やされているのかも分りません。具体的な活動内容と、それに関わる収支は是非報告していただきたいものです。


なにしろ、知らないうちにこんなものを造っていたりしたんですから。


【関連エントリー】



朝日新聞 社説12月17日

■ビラ配り無罪――郵便受けの民主主義


 イラクへの自衛隊派遣に反対するビラを防衛庁官舎の郵便受けに配り、住居侵入の罪に問われた東京の市民団体の3人に対して、東京地裁八王子支部で無罪の判決が言い渡された。


 逮捕した警察、起訴した検察の全面的な敗北である。


 そもそも身柄を拘束したり、起訴したりする必要のない事案だった。2月末に逮捕され、5月まで75日間も勾留(こうりゅう)し、公判は8カ月に及んだ。無罪の結論を出すのが遅すぎたくらいだ。


 被告とされたのは、「立川自衛隊監視テント村」という反戦団体に属する男女3人。職業は中学校の給食調理員と介護会社員とアルバイトである。今年1月と2月、東京都立川市内にある防衛庁官舎の敷地に入り、宿舎8棟のドアの郵便受けにビラを配って逮捕された。


 「イラク派遣が始まって隊員や家族が緊張している時期に、玄関先にビラを放り込まれるのは住人として大変不快であり、家族も動揺した」。証人として出廷した自衛官ら3人は口々に訴えた。


 確かに、先遣隊、主力第1波、第2波と派遣が進み、各地の自衛隊にピリピリした空気が漂っていた時期だった。


 A4判のビラは「自衛官・ご家族の皆さんへ いっしょに考え、反対の声をあげよう」という呼びかけだった。


 判決は書かれた内容を「自衛隊員に対する誹謗(ひぼう)、中傷、脅迫などはなく、ひとつの政治的意見だ」と述べた。さらに「国論が二分していた状況で、ビラはさして過激でもなく、不安感を与えるとも考えがたい」と指摘した。


 こうした政治的なビラ配りについて、判決は「憲法21条の保障する政治的表現活動の一態様であり、民主主義社会の根幹を成すもの」と述べ、ふだん官舎に投げ込まれている宣伝ビラや風俗チラシよりはるかに大切であると説いた。


 住居侵入に当たる行為ではあるが、配り方は強引ではなく、住民にかけた迷惑も少なかった。刑罰をもって報いるほどの悪事ではない。判決はそう結論づけた。明快な判断である。


 イラク開戦とそれに続く各国軍の現地派遣をめぐっては、世界のあちこちで大規模な抗議活動が繰り広げられた。欧州では、ベトナム反戦デモを上回るうねりとなった国も多かったが、日本では際立って低調だった。


 滞在中たまたま日本の反戦デモを見た外国人たちはその規模の小ささ、若者の少なさに驚いた。理由はいろいろあるだろうが、ビラ配り事件にあらわれた警察の過敏な取り締まりも一因だろう。


 自分の気に入らない意見にも耳を傾けてみる。それは民主主義を支える基本である。派遣を控えた自衛隊員にとっても、同僚や家族と全く違う意見を目にするのは無駄にはならないはずだ。くだらない意見だと思えば捨てればいい。


 そんなところにまで警察が踏み込むのは危険きわまりない。判決はそう語っている。


2004年5月22日土曜日

立川のビラ配りの件2


イラク自衛隊派遣に反対するビラを配った市民団体「立川自衛隊監視テント村」が住居侵入の罪に問われたことを以前書きましたが、5月11日にやっと八王子拘置所から保釈されたのですね。(22日 朝日新聞記事)


これに対し朝日新聞は22日社説で『長期勾留――ビラ配りで75日とは』と題して『ただごとではない』と批判しています。




朝日は人権派新聞ですから


人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナルは、3月半ば、「憲法や国際法で保障された表現の自由を侵害された」と、3人を「良心の囚人」と認定した。国内では初めてのことだ。

と書き、


同時に、違った考えや価値観を持つ人々を力で押さえ付けるような社会でいいのだろうか。民主主義を支える柱、司法の質が問われている。

というぐあいに、かように不当に拘留されたことを人権や権利について焦点を絞って論旨をまとめています。


しかし、朝日の論調からは彼らの思想的背景や日常の活動は浮かび上がってきません。「思想的背景」というのは、イラク人質事件でも一部のメディア話題にされ、私は複雑な思いを抱きましたが、ある判断をする上で両刃の刃のような側面を持つように思えます。すなわち個人の言動に横たわる思想信条に関し偏見を生むおそれもあり、慎重にならねばならないと思うのですが、それでも朝日新聞紙面からは彼らの活動が浮かび上がって来ないことは、朝日新聞というメディアの限界なのでしょうか。


従って、「ビラ配りだけ」で75日も拘束という異常事態に対して人権面のみからしか説明しない点には大いに不満があるのですが、一方で私個人としては、公安当局もやりすぎなのではないかという気もしており、最近の政府の動きと絡めると(例えばこういう)、そぞろ薄ら寒くなるのも事実で、引き続き公判の成り行きなど(仕事が爆発しなれば)興味があるところです。

2004年3月9日火曜日

立川のビラ配りの件

立川のビラ逮捕の事件の件ですが、事実関係がよくつかめていません。当局が突然ビラだけで逮捕することなどなく、必ず今まで当局の監視があって、今回ある臨界を越えたのだろうと思っています。「立川自衛隊監視テント村」という市民団体名も、ちょっとすごい名前だとは思いますが。


マスコミ大手では朝日や赤旗だけがとりあげていたようですが、ネット上には以下のような意見を見つけることができました。裏日本観察学会総本部




そりゃ、自分たちの生活を「監視」するサヨク団体がビラ配りをしていりゃあ、気味悪くもなるよな。にもかかわらず、<ピザ屋さんもおすし屋さんも、引越し屋さんも不動産屋さんも、このようなやり方で、日常的にチラシを配布しています>と。教えてやろうか、店のチラシは住民の利益になるが、サヨクのビラは、ピンクチラシと同じで利益にならないからだよ(気遣うふりをしたって、手の内はバレバレだし)。


こういう発言が最も問題のような気がするのですよね。もし「立川自衛隊監視テント村」が急進的な左翼集団であったとしても、感情論で排他的になるのはいかがかなと。例えばこのHPはオウム真理教のことに触れています。


一番のギャグは、<オウム真理教信者によるポスティングが同様の弾圧を受けたことがあるが>これって、自分たちがオウムと同様の危険集団だと暴露しているだけだろ(笑)


市民団体が自らをオウムと同じ危険集団であると言っているのではないのは自明で、オウム的なものを取り締まるあり方そのものを問題視しているのでしょうに。


もっとも真に市民生活を脅かすおそれのある団体の活動と、憲法のもとに保証された範囲内での活動を見極めるのは難しいかもしれません。そんな悠長なことを言っていたら、とんでもないことになってしまう、事件が起きてからでは遅い・・・。だからこそ、いろいろな報道が欲しいのですが、日本のマスコミってダメですね。


私は思想的に右翼でも左翼でもありませんが、こうい話題を書くときは、それなりに緊張します。ばかな話しですが、自己規制が働くということそのものが、もはや健全な思想体系でないことを露呈しています。例えば会社の幹部が、「君のサイトは業界批判や会社方針に反する内容が多いため、即刻サイトを止めるか、会社を辞めるかしていただきたい」 と言われることは、さすがにないでしょうが(笑) 組織内にいて組織を批判するのも、自己矛盾といってしまえばそれまでですが、組織内で組織批判ができないとしたら、これほど恐ろしいことはありません。


ネット上の戯言は、私のサイトも含め、発言者の寄って立つところが全く見えませんので、意見も不連続で、発言者の主旨を掴むまで、本当は恐ろしくてレスポンスなど書けないのですがね。

2004年3月7日日曜日

これも言論の弾圧ですか?

言論弾圧といえば、こういう記事もみつけました。『社保庁職員が「赤旗」配布容疑で逮捕 国家公務員法違反』(3月3日朝日新聞 電子版)。事件は見出しのとおりですが、国家公務員法の違反容疑による警視庁の強制捜査は21年振りだそうです。短い記事によりますと、


公安部は今回の逮捕理由を「中立性を求められる国家公務員が、政党機関紙を反復継続して配布するなど守るべき規範を超えている」と説明している。



とのことです。「赤旗」が問題ですか。では、公明党と創価学会の繋がりなどは良いのですかね。

言論弾圧というと過敏すぎるかもしれませんが、例えば、教育基本法改正促進委員会における民主党 西村真悟衆院議員(たけしの「TVタックル」によく出演されている極右議員です)の次の発言はいかがですか。


教育基本法の改悪を目的とした、自民、民主両党国会議員の議員連盟。二月二十五日に設立、両党の有志議員二百三十五人が参加しています。教育基本法改悪法案の早期国会提出へ向け、国会議員の過半数まで議連を拡大することなどが当面の方針です。委員長は自民党の亀井郁夫参院議員。二〇〇〇年五月に「神の国」発言をした森喜朗元首相らが最高顧問になっています。
 民主党から同議連に参加した西村真悟衆院議員が、設立総会で「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す」などと発言。教育基本法改悪の目的がどこにあるのかをあけすけに語りました。〈2004・3・6(土)〉「しんぶん赤旗」


あまり話題になっていませんよね。西村議員ですから確信犯として許容範囲内ですか。この報道は、大手新聞では朝日新聞と赤旗(赤旗が大手かはさておき)でしか報じなかったそうです。こういう発言は野放しで赤旗を取り締まりますか。(そろそろ「日本共産党」とか「赤旗」という名前を降ろしたらいかがでしょうかね。個人的には私も「共産党」と「赤」には、どんなに正当な事を述べていても、色がついてしまいますからね。自ら自己矛盾をさらしているのですし。)


もはや政権与党と野党の対立はなく、オール与党で言論は改憲と右傾化に一直線という見方もできますが、ここは慎重にならなくてはなりません。はてさて・・・

【関連記事】


2004年3月5日金曜日

これは治安維持か言論弾圧か?


朝日新聞を見て驚いてしまいましたが、東京都立川市の防衛庁官舎へ自衛隊派遣に反対するビラを配った市民グループ3人が先月27日に警視庁公安第二課と立川署により逮捕されていたそうです。逮捕理由は、「住居侵入」罪だそうです(派遣反対ビラを自衛隊官舎で配って逮捕 憲法学者ら抗議)。


記事によると憲法学者たちは以下のように、今回の公安の行動を批判しています。




地元の大沢豊・立川市議らは3日午後、立川署を訪れ、「反戦運動への弾圧だ」として3人の釈放を要求。署側は「法律に基づいて正当に捜査している」と答えた。

 奥平康弘・東大名誉教授、水島朝穂・早大教授、阪口正二郎・一橋大教授ら憲法学者や刑法学者ら56人も「住居侵入罪によって保護される法益は平穏な私生活。郵便受けは外からの情報を受け取る通路でもある。今回の措置は自由な民主主義社会の基礎を揺るがす」との声明を発表し、抗議している。


まったく慄然とする思いです。逮捕されたのは立川自衛隊監視テント村という市民団体です。逮捕された上に、事務所から書類、パソコン類も押収されたというから、念が入っています。公安は以前からこの市民団体に目をつけており、今回のビラ配りで「時期が時期だけにひとつお灸を据えてやろう」という意思が働いたのでしょうか。

朝日新聞5日の社説は「ビラをまいた人たちに非が全くないわけではない。自衛隊員や家族の複雑な気持ちへの配慮が足りないのではないか、という意見もあるかもしれない」としながらも、


 支援者らの抗議に対し、警察は「法律に基づいて正当に捜査している」と答えた。しかし、今回のような強引な摘発が続けば、市民が自分の意見を言ったり、集会を開いたりすることをためらいかねない。私たちはそのことを心配する。


 自分と違った価値観を認め合い、自由に意見を交わすことができる。それが民主主義の社会であるための前提だ。


と主張しています。私も件の市民団体の活動について熟知しているわけではないので、結果だけから判断することは危険であるとは思いますが、全体的な印象ですと「言論弾圧」に近い、あるいは最近ではオウム真理教で戦後初めて適用された破防法、すなわち戦中の治安維持法に繋がる糸が見えてしまうというのは過剰な反応でしょうか。やはり見えないところで、世の中は間違った方向に進んでいませんか。


私は朝日新聞(電子版)で記事を見つけましたが、産経や読売はどのように記載する(あるいは無視する)でしょうか。