ラベル 佐々木譲 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 佐々木譲 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2014年3月21日金曜日

【本棚】警官の条件:佐々木譲

流石に読みごたえがある。
主人公の抱えた裏切りに対する気持ち
警官としてのあるべき姿を求める真摯な姿
反面教師としての元上司
組織の対立を描きながら、人間的な成長の物語にもなっている
暴力団と加賀谷の交流にしても
多少、情に傾き過ぎの感がないではない
今の時代であるがゆえに、あえてなのだろうか

人物像はしっかりと彫琢されてはいるが
再読するほどの内容ではない
そこには、難解さや複数の解釈、残された謎がないから
上質のエンタメに留まるゆえんか

2010年3月12日金曜日

【本棚】佐々木 譲 :警官の血

三代にわたる警官に関する物語で、読み応えのある小説である。佐々木氏の小説は、実は読むのが初めてであるこを前提に書かせてもらうが、本作に関していえば描写が非常に丁寧であり、ディテールに味ともいうべきリアリティがある。特に戦後の谷中や学生運動さなかの時代風景の描写は格別である。だからといってくどいというわけではない。一方で、描かれる人物は淡白な描写だ。主人公たちの人生に対する目的や受容の仕方も、ある意味で悩みもなく芯が一本通っている。読んでいて清冽な印象を受ける。

彼があえて「血」というものを題名に持ってきた理由は明白である。代々受け継いだ「血」は、警官になることを通して描く自分の周りの小さな人生であり、祖父や父が背負った人生を精算しながら自らも受け継ぎ濃くしてゆくという、人間としての連綿とした生き方そのものであろう。三代に渡って、清濁併せ持つキャラクターに磨きがかかっていく様は見事である。そこに、あえて言うならば現代が全く見落とし見捨てた世界観があるのではないか。事件やミステリーは脇役でしかない。従って、事件の真相が肩透かしをくらうようなものであったとしても、それゆえにこそ、といったところなのだろう。