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2021年8月21日土曜日

有田正弘さんの「パンの笛~フルート、その音楽と楽器の400年の旅」(1998年)

有田さんが無伴奏フルート曲による音楽と楽器の400年の旅続編を録音されましたので、改めて本盤を聴いてみました。

こちらは1998年の録音、同じコンセプトでルネサンス時代から現代までのフルート曲から厳選した曲が納められています。当時も、複数のフルートを駆使しての神業的な演奏で、1999年文化庁芸術祭優秀賞を受賞しています。

今聴きましても、全く演奏は古びることはなく、フルートの名人芸と明瞭な音楽を聴かせてくれます。


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2021年8月20日金曜日

有田正広さんによる無伴奏フルートの世界〜パンの笛400年の旅

フルートを愛する、またはフルートを志す人には、もはや神的なアルバム。1998年の「パンの笛」から20年以上の時を経ての続編です。

今回はオール無伴奏、有田さんの音楽人生を総括する様な演奏は一曲も聴き逃すことができません。使った楽器は17本とのこと。

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2004年1月26日月曜日

【音盤】テレマン:パリ四重奏曲集

以前紹介したテレマンの「6つの四重奏曲(クァドリ)」に続く四重奏曲です。こちらも「クァドリ」にも増して素晴らしい音楽に仕上がっています。

金曜日に所沢で有田氏の演奏会が催されたのですが、一度彼の演奏を生で聴いてみたいものだとつくづく思わせる演奏です。


有田正広:テレマン/パリ四重奏曲
  1. 四重奏曲 第1番 ニ長調 TWV43:D3
  2. 四重奏曲 第2番 イ短調 TWV43:a2
  3. 四重奏曲 第3番 ト長調 TWV43:G4
  4. 四重奏曲 第4番 ロ短調 TWV43:h2
  5. 四重奏曲 第5番 イ長調 TWV43:A3
  6. 四重奏曲 第6番 ホ短調 TWV43:e4
  • 有田正弘(フラウト・トラヴェルソ) 
  • 寺神戸亮(バロック・ヴァイオリン) 
  • 上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ) 
  • クリストフ・ルセ(チェンバロ)
以前紹介したテレマンの「6つの四重奏曲(クァドリ)」に続く四重奏曲です。1730年にハンブルク出版された「クァドリ」がパリでも注目を集め、テレマンをパリへ招聘しました。その時に作曲されたのが、ここに納められた六つの四重奏曲です。テレマンを招聘したのは当時の名手であるプルートのプラヴェ氏(彼自身のフルート曲も有名)、ヴァイオリンのギニョン氏、ガンバのフォルクレ氏、そしてチェロのエドワール氏などです。

「クァドリ」でもそうでしたが、この曲集は明らかにプロの演奏者のための音楽になっています。当時は、アマチュア演奏家のためにも曲集は作曲されており、例えばテレマンの「忠実な羊飼い」などが、フルート吹きには有名でしょうか。

CD解説によれば「おそらくテレマンが書いた最もフランス的な作品」とあります。しかも"プロ仕様"の曲だけあって、きわめて音楽的かつ躍動的で華やかな色彩にあふれた音楽に仕上がっているように思えます。

この演奏においても有田氏のフルートトラヴェルソの音色は際立っているのですが、先の「クァドリ」と比べてピッチが高い(a'=415)せいでしょうか、音色の粒立ちや切れが一層鮮やかです。私はこのCDの第1番ニ長調の冒頭をはじめて聴いたときに、その音色の素晴らしさに思わず声を上げてしまいました。テレマンのパリに対する思いの表れとも受け取れます。今も昔もパリはまさに「華の巴里」であったということなのでしょうか。ヴァイオリンの寺神戸氏についてまったく触れておりませんが、私は寺神戸氏として意識して音楽を聴いたことがないので、感想らしものをまだ書くことができません。

「クァドリ」も確かに素晴らしい演奏なのですが、こちらと比べてしまうと、どうしてもくすんだ色彩に感じられてしまいます。それが曲の完成度によるものなのか、あるいは演奏や楽器によるものなのかは私の拙い知識では分かりません。しかし、私はこの2枚組みのCDを飽くことなく何度も聴いてしまっています。

ちなみにこのCDは文化庁芸術作品賞という有難い章を受賞しているそうです。

2004年1月17日土曜日

【音盤】テレマン:6つの四重奏曲


<1730年ハンブルク版>
テレマン
  1. コンチェルト第1番ト長調
  2. コンチェルト第2番ニ長調
  3. ソナタ第1番イ長調
  4. ソナタ第2番ト短調
  5. 組曲第1番ホ短調
  6. 組曲第2番ロ短調
  • 有田正弘(フラウト・トラヴェルソ) 
  • 寺神戸亮(バロック・ヴァイオリン) 
  • 上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ) 
  • クリストフ・ルセ(チェンバロ)
 
イタリア語のQuadriと題されいるこの四重奏曲集は「2つの協奏曲、2つのバレット(舞曲、フランス組曲)、2つのソナタ」とされてる。細かな様式の違にまで言及することはできないが、器用で時流に乗ることのうまかったテレマンらしい音楽になっている。曲集はプロフェッショナルな演奏家を対象としているというだけあり音楽的な技巧も楽しむことができる。

有田、寺神戸、上村、ルセ氏の4人の名手については、いまさら解説は不要というところだろうか。柔らかにして軽やか、そして暖かな有田氏のトラベルソの音色は長く聴いていても疲れることがない。ピッチも現代よりもかなり低めに設定されているせか(a'=398)、音楽全体がしっとりと落ち着いた華やかさに輝いている。アンサンブルの響きは絶妙であり、そこからくっきりと浮かび上がるトラヴェルソの音色は、まさに至福の時間を与えてくれる。

もっとも、ずーっと聴いていると、美しさと心地よさにうっとりはするものの、だから何なのだ?という疑問が沸く瞬間がないでもないが、それをこの時代の演奏に求めることに無理があるだろう。

2001年2月10日土曜日

【音盤】有田正広/ブラヴェ:フルートソナタ集

  1. フルート・ソナタ ロ短調 作品3の2
  2. フルート・ソナタ ニ長調 作品2の5
  3. フルート・ソナタ ニ短調 作品2の2
  4. フルート・ソナタ ト短調 作品2の4
    フルート・ソナタ ニ長調 作品3の6
  • フラウト・トラヴェルソ:有田 正広
  • チェンバロ:有田 千代子
  • 録音:Sep-Oct 1991 中新田バッハ・ホール
  • DENON COCQ-85203

プラヴェ(1700-1763)という作曲家を知っているだろうか。18世紀フランスで最高のフルート奏者と称えられ、当時あらゆる賛辞を浴びており、彼の演奏は現在の”フレンチ・フルート・スクール”の基礎となったものである。ここに納められたのは”フルートとバッソ・コンティヌオのためのソナタ集”「作品2」と「作品3」から選んだものである。(ほとんど解説書の写しだな)

有田氏は日本を代表するトラヴェルト奏者であるが、彼をして「プラヴェという音楽家はつねに私の理想でありつづけた」と本アルバム解説の冒頭に書かせている。

イタリア趣味に彩られたとかフランス様式とかは、この時代の音楽の趣向を語るときには避けて通ることのできないキーワードだが、私には、それを語るほどの音楽的知識や素養を持ち合わせてはいない。ここは、様式や背景などの難しいことを考えずに、ひたすらこの典雅な世界に浸りきってみたい。暖かさ、華麗さ、憂鬱、不安さと安堵など、たった二つの楽器が奏でる響きから、音楽の喜びというものを十分に感じることができよう。

有田氏の使うトラベルソは1735年頃にトーマ・ロットにより製作されたもので、演奏ピッチは A=400Hzである。かの有名なルイ・ロットはトーマ・ロットの末裔であるとのこと。バロック系の音楽といえば415から435Hzに設定しているのはよく耳にするが、ここではさらに低いピッチでの設定である。このピッチと木質系の暖かい、ぼやけたようでいて芯のある響きを聴いていると、体の中の不純なものが浄化されてゆくような心地よさを感じる。

響きもさることながら、この木の筒に穴があいたあだけのトラベルソ(1つのキーだけはついているようだが)をほとんど超人的な技巧で駆使する有田氏の演奏には驚ろきを禁じえない。

本アルバムは DENON BEST MASTERRS というシリーズで1700円、お買い得である。

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先に紹介した工藤重典の「バロック・名曲集」にもプラヴェのソナタ 作品2の4が納められいる。工藤氏は最近木管も使うのだが、あのアルバムでは現代フルートである。

聴き比べてみると、工藤氏の演奏が非常にクリアで軽やかな事がわかる。この違いが楽器の違いなのか、奏法の違いなのか、はたまた解釈の違いなのかは別としても、同じ曲でありながらその肌に触れる感触=皮膚感覚がまるで異なることに気づかされる。

確かに演奏スピードも違う。有田:工藤で比較すると Presto 2:50 - 2:31 Allegro 2:01 - 1:36 ほどの違いがある。まさに工藤は超絶的なスピードで疾走するスーパーカーのごとき演奏だ。いやがおうにも聴くもののテンションがあがる。工藤を聴いた後に有田の演奏を聴くと、なんともゆったりとした歩みで、わが道を行く別世界がある。

どちらが優れているという種類のものではない。バロックものを聴くスリルと楽しみ、現代楽器と古楽器との違いを楽しむ、そういう態度で接したい。