<1730年ハンブルク版>
テレマン- コンチェルト第1番ト長調
- コンチェルト第2番ニ長調
- ソナタ第1番イ長調
- ソナタ第2番ト短調
- 組曲第1番ホ短調
- 組曲第2番ロ短調
- 有田正弘(フラウト・トラヴェルソ)
- 寺神戸亮(バロック・ヴァイオリン)
- 上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
- クリストフ・ルセ(チェンバロ)
イタリア語のQuadriと題されいるこの四重奏曲集は「2つの協奏曲、2つのバレット(舞曲、フランス組曲)、2つのソナタ」とされてる。細かな様式の違にまで言及することはできないが、器用で時流に乗ることのうまかったテレマンらしい音楽になっている。曲集はプロフェッショナルな演奏家を対象としているというだけあり音楽的な技巧も楽しむことができる。
有田、寺神戸、上村、ルセ氏の4人の名手については、いまさら解説は不要というところだろうか。柔らかにして軽やか、そして暖かな有田氏のトラベルソの音色は長く聴いていても疲れることがない。ピッチも現代よりもかなり低めに設定されているせか(a'=398)、音楽全体がしっとりと落ち着いた華やかさに輝いている。アンサンブルの響きは絶妙であり、そこからくっきりと浮かび上がるトラヴェルソの音色は、まさに至福の時間を与えてくれる。
もっとも、ずーっと聴いていると、美しさと心地よさにうっとりはするものの、だから何なのだ?という疑問が沸く瞬間がないでもないが、それをこの時代の演奏に求めることに無理があるだろう。