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2015年5月17日日曜日

【本棚】クライマーズ・ハイ 横山秀夫

これはいただけない
64ロクヨンの方が優れているな
主人公がダメ
勝手すぎる
あり得ないだろうみたいな
逃げてばかり
自己愛強すぎ
自己都合、相手のことを考えていない
だから批判多いんだよ、アマゾンで

2003年8月1日金曜日

【本棚】横山秀夫:動機


陰の季節」で否定的なレビュを書いた気持のまま、ほとんど期待もせずに本書を読み始めたのだが、その感想を全面撤回させていただかなくてはならない。横山氏の小説は、非常に面白いし着想にしても、確かに言われてみれば今までになかった視点だと、やっと分かった。

今回の4つの小説は、警察もの(「動機」)だけではなはない。前科物の出所後の運命的な物語(「逆転の夏」)や、地方新聞の女性記者(「ネタ元」)、そして地方の裁判官が主人公(「密室の人」)だ。これらの物語に共通しているのは、生じる事件がごく身近なものであり、時にそれは「陰の季節」でもそうだったように、内部組織の不祥事に近いものだったりする。それのどれもこれもが、人間の一寸した「魔」をついて生じた事件に端を発している点が、題材に対し感情移入しやすくなっている。また、彼の書く人物は、殺人前科者であっても裁判官であっても、結局は「ただの人」として描かれ、それが極めて印象的なのである。

例えば「密室の人」の「魔」とは、裁判の審理の間についつい居眠りをしてしまうということから、話しは予想もしない方向へ展開してゆくし、「逆転の夏」においては、事件の発端が女子高生の中絶手術代稼ぎの売春に、これもひょんなことからひっかかってしまった男が、金銭トラブルから女子高生を成り行きで殺してしまったという事件が鍵となって物語は進行する。

「ネタ元」にしても、地方新聞の女性記者を中央新聞が「引き抜き」をかけるということを題材して扱っている。引き抜きという人間の虚栄心や出世欲などを微妙にくすぐる誘いに対し、男社会で果敢に奮闘している主人公の心が揺れる様の描写は見事だ。

横山氏の書く小説は、人間に対する活写が(少しステロタイプに感じることもあるのだが)非常に生き生きとしており見事だ。ごくふつうの人生を真面目に送ってきた人たちの姿、あるいは、暗い過去や哀しい過去を背負った人間の苦悩や悔しさというものが、実にギリギリとするほどの迫力で描き出されている。そして、やはり彼の小説からは、そういう人間たちに対する暖かい視線があるのだ。

こういう営みや描写が。「陰の季節」では、わざとらしく、そして少し古いタイプの小説であると感じ、違和感を覚えたのだ。彼や彼女らが守ろうとしているものや戦っているものが、あまりにも小さな組織内のできごとであり、矮小な世界の出来事であるため、目を塞ぎたい気持になってしまったのだ。

しかし、こういう世界に目をつぶってしまったならば、そして、普通の営みを否定すると嘘いてしまったならば、いったい自分自身は何を守っているというのか、自分の矜持はどこにあるのかと問わねばならないだろう。

「聞いたふうなことぬかすんじゃねえ! てめえらの仕事って何だよ。俺らは体張ってんだ。街ィ守ってんだよ。てめえは何守ってんだ? 本部長か? てめえ自身か? 言ってみろ!」

「馬鹿野郎、そんなもん家族に決まっているだろうが!」

増川の手がふっと緩んだ。(「動機」P.53)
「鬼畜じゃなかった。山本はただの男だった。気が小さくて……誘惑に弱くて……どこにでもいるつまらない男だった。獣でも鬼畜でもないただの……」(「逆転の夏」(P.179)

こういう描写が、ちょっとクサイというかわざとらしく、鼻白む思いもするのだが、今回は許す。何故なら、私はここの表現に救いを見出し、そして打たれてしまったのだから。

ああ、大事なことを書くのを忘れていた。横山氏の小説は人情ドラマではない。あくまでも、そういう世界を基盤とした上質なるミステリーである。横山氏が今では押しも押されぬミステリ作家であることは誰もが認めるところだが、やっと端っこを掴むことができた思いだ。

(……にしても、こうまでレビュ変わるかよ(--;;;

2003年7月24日木曜日

【本棚】横山秀夫:陰の季節


解説曰く

横山秀夫『陰の季節』が決定的に新しかったのは、警察小説でありながら捜査畑の人を登場させなかったことだ。(中略)横山秀夫の警察小説は、捜査小説というよりも、「管理部門小説」といっていい

(中略)読み終えても残り続けるのは、管理部門で働く人間の悲哀をも描いているからである。その切なさが、我々と同じような些細な悩みをかかえる日々の営みが、鋭く活写されているからこそ、読み終えるとふと隣の人に話しかけたくなるのである。(北上次郎)

これは褒めているのだろうな、と思う。帯も「驚愕の警察小説」だ。私はこういう小説に少しばかり馴染めない。「中間管理職の悲哀」というステロタイプのテーマだけでゲンナリだ。スポーツ新聞や夕刊フジ、整髪料と育毛剤の匂い、肩から下がる型の崩れた黒い鞄。会社では人事と自分の保身に全神経を集中させ、陰では罵倒しながらも表では上司を媚び、組織を維持することを是とし、小さなムラの中で階級がひとつ上がること人生の目的とする。

毎日そんなものを、嫌でも見せられて、そして自らもその一部をしっかり演じていて、いまさらミステリ小説で、その姿を活写されたところで、もう結構だよという気になる。小説の中での彼らの奮闘振りに共感を覚えるより、私達は何と下らなく、ばかみたいな問題に汲々として、何かを捨てて残り少ない人生を走っているものかと改めて思ってしまう。

もっとも、殺人や猟奇ばかりで救いのない小説などよりは、かなり良質な作品であることは認める。また作者の人間に対する暖かい視線が滲み出ており、単なる警察小説の枠を越えた味わいがあるとも思う。ただ、何と言うか浪花節というか演歌的というか・・・そういう点が、私が好きになれない点なのだろうと思う。

動機」も合わせて買ってしまったので、こちらも読んではみるが。