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2004年3月26日金曜日

【音盤】J.ヨンゲン:フルートのための作品集

  1. ゆるやかな踊り Op.56 bis
  2. フルート、チェロとハープのための三重奏曲 Op.8
  3. フルートとピアノのためのソナタ Op.77
  4. 4本のフルートのための悲歌 Op.144-3
  5. 3本のフルートと1本のアルト・フルートのためのワロン地方のクリスマスキャロルによる2つのパラフレーズ Op.144 Nos.1-2
  • フルート:マルク・グローウェルス チェロ:マリー・アランク ハープ:ソフィー・アランク ピアノ:ダリア・ウジール
  • ブリュッセル王立音楽院のフルート四重奏団
  • 録音:1997年12月

再びNAXOSのマルク・グローウェルスのフルートでヨゼフ・ヨンゲンのフルート作品集を聴いています。ヨンゲンは20世紀前半に活躍したベルギーの作曲家で印象派の影響を受けた作曲家ですが、曲は彼独自のトーンにあふれ、特に「哀しみ」の表現が顕著なように思えます。

ヨゼフ・ヨンゲンは20世紀の前半に活躍したベルギーの作曲家で、フランクやルクーに次いで知名度があるということになっていますが、私はこのCDで始めて彼の名前を知りました。

少し調べてみますと、ヨンゲンの音楽は大きく3つの時期に分けられるそうです。第1期はフランクやフォーレに影響を受けた時期。第2期は1910年頃から、ラヴェルよりもむしろドビュッシーの影響を受けた時期で、曲は印象派的な色彩を帯びてきます。第3期は晩年の30年でneo-classicismとmodernismの両方の側面を持ち合わせた曲を作曲しているそうです。(CD解説とClasscal Composeres Database) 

ここに納められているのは第2期から第3期の、フルートのために作曲した曲です。どの曲もメランコリックで少し哀しげな曲調が印象的です。冒頭の作品56は4分弱の短い曲ですが、1918年のヨンゲンがイギリスに亡命していたときの曲とのこと、フルートの旋律にも切々とした哀しさと美しさが漂っています。

このCDを通して聴いてみると印象派とは言ってもヨンゲン独自のトーンや色彩が感じられ、「哀しみ」表現は彼の活躍した時代(両世界大戦を経験)とベルギーの不幸な歴史(特にベルギーへのナチス侵攻)などとも無関係ではないのでしょう。

作品80はフルートとチェロとハープのための三重奏曲ですが、確かに曲調曖昧さやメロディーのつかみところのなさは、印象派的といえるのかもしれません。チェロとフルートの掛け合いともいえるようなAssez lent の中間部は何とも表現しがたい雰囲気です。Allegretto moderato は一転してスケルツォで、フルートも技巧的なフレーズとなった、明るく快活な曲です。

Op.77のフルートとピアノのためのソナタは4楽章の30分近い曲です。フルートのピアノの見事な掛け合い、表情のガラリとした変化など、色彩の豊かさを堪能できる曲です。2楽章のTres animeと4楽章のGigue:Allegorはなかなか見事であります。

Op.114-3は4本のフルートのための曲です。5分半ほどの短い曲です。作曲年が1941年ですからナチスドイツのベネルクス3国への侵攻やパリの陥落、そういう時代の曲です。言い知れぬ哀しみがふつふつと沸いてきます。(楽譜があれば何とか演奏できそうですよ>某氏)

そういう曲を聴いたあとにOp.144 Nos.1-2のクリスマスキャロルによるパラフレーズを聴いていると、ヨンゲンの願っていたものが何であるか分かるような気になります。ろうそくの焔がゆらゆらと子供たちを照らすような、そんな幸せが夢のように感じられてきます。(こちらはなかなか難しそうですよ>某氏)

グローウェルスのフルートはここでも、響きはあくまでもストレートで抜群の安定感で心を満たしてくれます。

2004年3月20日土曜日

【音盤】ロマンティック・フルート協奏曲集

再びNAXOSのマルク・グローウェルスのフルートとピッコロを聴いています。このアルバムは「ロマンティック・フルート協奏曲集」と名づけられており、フランスの作曲家の作品が集められています。フォーレの子守歌やシチリアーノなどは有名ですが、ダマレの白つぐみなど非常に珍しい作品も収録されています。


しかし、よくもこんなにマイナーな曲ばかり集めたものです、さすがNAXOSですね。ダマレの作品はグローウェルがベルギー音楽図書館の地下室で見つけてきたものだそうで、行進曲風の管弦楽に乗って軽快にピッコロが歌う極めて明るく愛らしい曲です。メシアンの黒つぐみとはえらい違いです。

ラヴェルの小品は2分半の非常に短い曲ですが、独特の雰囲気を漂わせている名曲、聴いていると思わず19世紀末のフランスのノスタルジーに浸ってしまいます。

フォーレの曲は本来ピアノとフルートの曲ですが、このCDでは管弦楽編曲になっており、普段聴きなれた響きとはちょっと違っていて楽しめます。コンクールの小品は、確かパリ音楽学院の入学試験用の、幻想曲は卒業課題として作曲された曲だったはず、技巧的にも楽しめる曲ですね。ムーケの「パンの笛」は、静かで優雅でそして少し哀しげでアンニュイなか雰囲気の漂う名品、聴いてうっとりしてしまうというのはこういうことを言うのでしょう。

全ての曲の解説を書いていても仕方がないので止めますが、どの曲も肩肘張らず聴くことができ、本当に楽しめる1枚になっていると思います。18世紀後半から19世紀後半そして20世紀前半にかけて、フランスでフルート曲が多く生まれたのは、フルートという楽器の著しい進歩と、それに歩調をあわせたフルート技術の向上と無関係ではないことに改めて気付かされました。

��8世紀後半のフランスという時代を考えたとき、先日見に行った「モネ、ルノワールと印象派展」の時代とすっかり重なるのですよね。モネ(1840-1926)とフォーレ(1845-1921)がほとんど同時代を生きたというのも、結びつけて考えると感慨深いものがあります。時代は産業革命に始まる近代化の波に乗っていた頃です。そういう時代の前に向かって進む明るい雰囲気と曲調も無関係ではないのだろうなと思った次第。

この盤もあまり難しいことを考えたり肩肘を張ったり、解釈がどうだ、演奏の質がどうだなどと瑣末的なことを気にせず、音楽そのものを楽しむことのできる幸せなる盤だと思います。

マルク・グローウェルス(フルート、ピッコロ)、ベルギー放送交響楽団、指揮:アンドレ・ヴェンデルノート
●モシェレス(1794-1870):フルートとオーボエのための協奏曲 ●ドニゼティ(1797-1848):コンチェルティーノ 二長調 ●ムーケ(1867-1949):組曲「パンの笛」Op.15~パンと鳥たち ●サン=サーンス(1835-1921):タランテッラOp.6 ●フォーレ(1845-1921):子守唄Op.16、コンクールの小品、シチリアーナOp.78、幻想曲Op.79 ●ラヴェル(1875-1937):ハバネラ形式の小品 ●ダマレ(1840-1919):白つぐみOp.161

2004年3月13日土曜日

【音盤】フルートと管弦楽のためのオペラ幻想曲












NAXOSから発売されている、マルク・グローウェルスのCDです。

前回はフランスのフルート名曲に聴きほれましたが、今回はオペラを主題とした幻想曲集です。
フルート・ファンにはお馴染みの「カルメン」幻想曲や精霊の踊りのほかにも、普段あまり聴きなれない曲が納められており興味がつきません。




ショパンの変奏曲は1829年の作品で1955年に出版されたものです。作品番号はありません。ショパンの作品ではないとの説もありますが、明るくコミカルな出だしで始まる7分ほどの曲は愛すべき曲であります。後半はテーマを駆使した技巧的なパッセージを楽しむことができます。

フォブス(1939-)という作曲家は、ネット上でもどのような作曲家なのか探すことができませんでした。「魔笛」による幻想曲は、歌劇のテーマをふんだんに使いながら、フルートの煌びやかさを十分に発揮させる曲に仕上がっており、親しみやすくまた楽しむことができました。やっぱりパッパゲーノのテーマのところが良いですね。


グレトリ(1741-1813)は、革命期のフランス作曲界の中心人物で、古典派様式のオペラ・コミックを確立した作曲家だそうです。技巧的に派手な曲ではないものの、流れるような優雅な曲調は華やかな気持ちにさせてくれます。

ロッシーニのソナタも5分ほどの曲ですが、Andanteのどこか急かせるようなテーマがとても良いです。また、Allegrettoの最後の方、カデンツア風のところからラストに向けてがカッコ良いです。「カルメン」幻想曲は言わずもがな、グローウェルスの技巧が冴えまくっています。


ということでNAXOSですから、安売りしていれば900円以下で買えるのですから、お買い得であると思います。


マルク・グローウェルス(フルート)、ワーテルロー室内管弦楽団、指揮:ジョルジュ・デュモルティエ


●フォブス:モーツアルトの「魔笛」による幻想曲 ●グレトリ:フルート協奏曲 ハ長調 ●ショパン:ロッシーニの「シンデレラ」の主題による変奏曲 ホ長調 ●ボルン:ビゼーの「カルメン」による華麗な幻想曲 ●ロッシーニ:弦楽のためのソナタ 第4番 変ロ長調 ●グルック:歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」~精霊の踊り

2004年3月9日火曜日

【音盤】フランス・フルート名曲集

先週は仕事から帰ると、このCDばかり聴いていました。NAXOSから出されている「フランス・フルート名曲集」というCDです。

フルーティストはマルク・グローウェルスです。私は始めて名前を知りましたが、グローウェルスは何度か日本にも来ているらしく、梶本音楽事務所の紹介によれば、「ダイナミックな人間性や知的な音楽性により、今日もっとも人気の高いフルーティストの一人。[...]ピアソラは、彼のために《タンゴの歴史》を作曲している」とのことです。無知とは恐ろしいものです。


何度も聴いてしまうのは、フランス風とでも言うのでしょうか、軽妙にして洒脱な、肩の凝らない曲であり、なおかつメロディアスでしかも大変技巧に富んだ曲たちだからでしょうか。聴くたびに心が軽くなる思いです。

「ヴェニスの謝肉祭」には改めて舌を巻きますが、それ以外の曲も良いです。特にこの中では、ゴダールがお気に入りになりました、第一楽章の出だしが何とも言えません。ゴーベールやベルリオーズの二本のフルートによる愛らしい曲も、こんな世界があるならばずっと浸っていたいと思うほど。ベルリオーズは、もとはといえばフルーティストでしたものね。

しかし、グローウェルスのフルート、本当にうまいです・・・。

マルク・グローウェルス(フルート)、ワーテルロー室内管弦楽団、指揮:ユリス・ワーテルロ、クラウディ・アリマニー(第2フルート)、アニー・ラヴォワジェ(ハープ)
●ドンジョン:オッフェルトリウムOp.12 ●ジュナン:ヴェニスの謝肉祭Op.14 ●ゴダール:3つの小品の組曲Op.116~第1楽章アレグレット、3つの小品の組曲Op.116~第2楽章牧歌、マベルヘのセレナード、伝説的牧歌Op.138 ●ゴーベール:ギリシア風ティヴェルティメント ●ベルリオーズ:オラトリオ「キリストの幼時」Op.25 ~若いイスラエル人たちによる2つのフルートとハーブのトリオ ●グノー:小交響曲 変ロ長調