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2003年10月19日日曜日

東京交響楽団第507回定期演奏会


日時:2003年10月18日 18:00~
場所:サントリーホール
指揮:井上 道義





ソプラノ:佐藤 しのぶ   メゾ・ソプラノ:エルザ・モールス
合唱:東響コーラス   合唱指揮:郡司 博
演奏:東京交響楽団

マーラー:交響曲 第2番 ハ短調 復活

またしても東京交響楽団の演奏会を聴きに行った。東響のファンであるというわけではないのだが、たまたまタイミングが合っているというところか。しかも演目が井上道義氏による「復活」、ソプラノが佐藤しのぶさんとあってはいやでも期待してしまう。

「復活」は、私の中で迷うことなくベスト5に入るほどの好きな曲である。前日にテンシュテット/LOPのCDを聴いて予習するというほどの気の入れようだ。さて井上氏の率いる東響はどう聴かせてくれたか。

最初に結論から書いてしまうと、とてつもなく素晴らしい演奏であったということに尽きる。私は最終楽章の当たりから横隔膜が上がりっぱなしで、いつのまにか流れてしまう涙を抑えることができず何度も目尻を拭わなくてはならなかったし、最後のコーラ―スが始まる当たりでは体がどうしようもなく震えてしまうほどの興奮と歓喜にのまれてしまった。音楽を聴いていたというよりも壮大なる賛歌と歓喜の光の中に放り込まれたような強烈な音楽的経験であった。

ゲルギエフ/キーロフ(99年 東京芸術劇場)で聴いた復活も脳天が炸裂するような演奏であったことを思い出すが、今回の演奏はそういうものとは質が違った演奏であったように思える。何か物凄く大きなものを演奏からもらうことができた。

とはいうものの、最初から最後まで演奏に満足していたというわけでもない。第一楽章冒頭、ヴァイオリンのトレモロに乗って低弦の強奏から始まる不安な旋律を聴いた時、東響独特の弦の繊細さと美しさを感じながらも、高音の海の中に低弦が浮遊するような、不思議な分離感をまず味わっていた。

第一楽章は葬送行進曲であるが、激しさと劇的さの間をつなぐ線がどこか頼りなげで、ひとつのストーリーとして胸に迫らない。もともとマーラーの曲は分裂気味ではあるのだが、何かマーラーらしい暗さが不足していると感じたりしていた。音量的にも、中音域が不足するような感じで、第一楽章は最後まで満足のゆくものではなかった。第二楽章のアンダンテも、マーラー的な官美さには少し遠く、今日の演奏は期待したほどではなかったかと軽い失望を覚えたほどではあった。

しかし第三楽章のあたりから少しずつ気分が変化し始め、第四楽章でメゾ・ソプラノの " Roshcen rot!(おお、小さな赤バラよ) という歌が挿入された当たりから、それは健著になった。何といってもモールスさんの歌声が素晴らしく心底聴き惚れてしまった。声量といい声色といい、なんと美しく芳醇な歌であることか。まさに祈りの歌がそこにあった。

バックで支える東響も美しい。第三楽章から楽章間がほとんどなく連続して演奏されることも、次第に緊張を高めてるのに一役買っていた。

第五楽章に至って、マーラーの複雑にして多彩な音響にほとんど翻弄されるがごとき。曲がどう進んでいくのか分かっているというのに、合唱が " Aufersteha, ja aufestehn wirst du (よみがえらん、まこと汝はよみがえらん) と唄いはじめた時には二の腕にざわざわと鳥肌が立つ思い。中間部は木管も金管も素晴らしい音楽を聴かせてくれていた。そしてソプラノとアルトの二重唱 " Shcmerz, du Alldurchdringer ! (おお苦しみよ、汝いっさいを刺しつらぬくものよ!)が美しいこと。

合唱団が立ち上がって唄い出す(お決まりの?)あたりから、ラストに向っての盛りあがりは凄まじいもので、第一楽章で物足りなく感じた音量はなんだったのかと思う。打楽器と管と弦が渾然とフォルテッシモを奏でるとホールの底が沸騰するかのよう。一気呵成に音楽は進行し、冒頭に書いたように私は完膚なきまでに叩きのめされてしまったのである。

終演後のブラボーも凄まじかったが、演奏会にこれ以上何を望むことができようか。今年聴いた東響の中どころか、今まで聴いた演奏会の中でもベストに数えられるようなものであったと思う。

2001年9月22日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 北海道定期を聴く

日時:2001年9月21日
場所:札幌コンサートホール(KITARA)
グスタフ・マーラー:歌曲集《さすらう若人の歌》
グスタフ・マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」
指揮:井上 道義
ソプラノ:下原 千恵子
演奏:日本フィルハーモニー交響楽団

日フィルの第25回北海道定期札幌演奏会に行ってきた。この前の札響の時と同じような(もっとひどい)悪天候。偶然今日の演奏会のあることを知り、仕事を途中で切り上げ駆けつけた。天気のせいなのか客の入りは7割くらいといったところだろうか。

日フィルも井上さんの指揮も聴くのが始めてであるので期待をもってでかけた。演奏は、ソプラノの下原さんもすばらしく、演奏の出だしをあでやかに彩ってくれた。ソプラノの声の凄さに改めて感心。すばらしい。もっと聴きたかったが、演奏時間16分というのはちょっと短すぎなかったろうか。

休憩をはさんでの「巨人」は、これもダイナミックにして若々しさを感じる演奏だった。ラストへ向けての盛り上げも素晴らしく、コーダにとてつもないクライマックスを用意するあたり、井上さんはけっこうショーマンだなと思った。

金管群を聴くと、これは札響よりもうまいと感じたのだが、このあいだの札響の弦セクションの音を思い出すと、比較することに意味があるのかは不明だが、札響の弦てすごく美しいのだと思った。日フィルが悪いというのではない、誤解しないでもらいたい。

ただ、今週は体力的にも精神的にも疲れていたせいか、最後まで演奏が体に浸透してくれなかった。何度か、鳥肌立つような部分もあったが、心から震撼できなかった。ブラボーの声はあちらこちらからあがっていただけに、残念に思った。

こういう重量級のプログラムの後にはアンコールはいらないのだが、会場の誕生日の人に向けて「ハッピバースデー・ボレロ版」というものを演奏した。これは、井上さんがよくやるものなのかは分からないけど、洒落ていて素晴らしかった。ここでやっと緊張が解けた感じ。

本当はもう少し細かなレヴュを書きたいが、適うだろうか?

蛇足になるが、今日は2階CB席7列という絶好のポジション(当日券)。斜め前で、女性が演奏にあわせて体を動かしたり、ティンパニをたたく動作を繰り返していたけど、女性でもいるんだなあ、そういう人。