2007年2月17日土曜日

ガッティ/ヴィヴァルディのヴァイオリン・ソナタ集

ヴィヴァルディ:ヴァイオリンと低音のためのソナタ集 Op.2より
    第2番/第3番/第4番/第7番/第1番/第9番/第5番
  • Enrico Gatti(vn)、Ensemble Aurora
  • Glossa GCD921202M

私は古楽ファンであったことも、更にはヴィヴァルディの音楽を好んでいたわけでもありません。従ってネット上の古楽ファンの方々が絶賛している、エンリコ・ガッティの演奏について、あれこれと述べる語彙を持ち合わせてはいません。

ある人は、店頭で視聴した途端に耳を奪われて動けなくなってしまった。。Sonnenfleckさん)と書いています。ということで、かなり期待して聴き始めたのですが、期待はずれが半分、期待以上が半分という交錯した感想が第一印象。

期待はずれは、私がヴィヴァルディの音楽に求めた「ヴィヴァルディ的刺激」が希薄な曲であった点。これはOp.2というヴィヴァルディ初期の作品である所以と理解、幾人かが指摘しているようにコレルリ的と言われれば、ああそういうものでしたかと合点。期待以上であった点は、今更私が繰り返すまでもないこと。ガッティの演奏の確かさと瑞々しさ、アンサンブルの快楽、音楽がヴィヴィッドでカラダの芯の深いところまで何の抵抗もなく染みわたっていくことの心地よさに浸るのみ。

「フルーティーさ」「ほのかな甘み」「可憐さ」「可愛さ」「蜜がとろりと滴るような美音」などの修辞が感想に踊っていますが、私が聴き取ったのはそういう所謂女性的な特性ではなく、音楽に立ち向かう確たる姿勢と端正さ、そして力強さであります。作品の輪郭が抒情に流れずにくっきりとしている。しかし演奏は全然堅苦しくない、アンサンブルのさざめきに乗って自在にガッティがカラフルに描き踊る。決して扇情的にならずに興奮を作り出す品の良さときたら、あちこちのフレーズで震えがくるほどです。

ああ、確かに・・・ガッティって、何だか分からないけれど「良く効く薬」みたい、あまりにも素敵かもしれない!(>1枚しか聴いていないので判断留保、しかしiPodには即入)

6 件のコメント:

  1. 聴いていただけましたか。
    たしかにヴィヴァルディ的刺激は希薄で、穏当なバロック室内楽ですね。。どういう道筋でここにたどり着くかで感想は大きく変わるかもしれません。スピノージのような激烈なヴィヴァルディばかり聴いてからここにやってくると、すっごくなごめるんです。
    でも、このアンサンブルの美音、それ自体は楽しんでいただけたんじゃないでしょうか(私もiPodに入れてしまいました)。

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  2. トラバありがとうございます。
    ひところは割合と激しい古楽器演奏が多かったので、このような演奏に逆に心を惹かれます。古楽器演奏のまた別な流れなのだなと思っています。

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  3. TBありがとうございました!いつも楽しく拝見しております。
    個人的には、バロック音楽のうちで最も演奏が困難なのはコレッリ的なものではないかと思っています。単純な中にほのかな叙情を籠めるのに奇を衒う作戦は効果がないですから、刺激的・快楽的な傾向を強めている最新の演奏家ではちょっと…と思うことが多いんです。
    Hokurajinさんのコメントに重なってしまいますが、そういう意味でガッティは孤高の存在なのかもしれません。。

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  4. Kimataさん、Hokurajinさん、そしてSonnenfleckさん。コメントありがとうございます。
    実はスピノージのヴィヴァルディは未聴でして、是非とも次あたりには「グリセルダ」でも入手しようかと考えているところです。私の場合、ヴィヴァルディには、最近の先鋭的な演奏を求めていたところがありますので、この演奏には意表を突かれた思いなんです。バロックも幅が広い・・・
    Sonnenfleckさんご指摘のとおり、最近のバロックには「刺激的、快楽的」要素を色濃く感じます。それはバロックだけではなくオペラ界でも同様なのでしょうか。それが好ましいものであるのかは、今のところ判断を保留せざるを得ません(判断するほど演奏に接していません、ましてやオペラは!)。ただ、時代がそのような演奏を求めているということなのでしょうか。
    ガッティの演奏は、仰せの通り素晴らしく、とりあえず6月3日の演奏の申し込みをしてみました。(>つーか、残席あるのか? 6月9日の方が良かったか?)

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  5. こんばんは。以前の「パフューム」のエントリーも今回のもトラバ送ってみたのですが、
    届いてない可能性ありそうなのでもう一度お送りしてみますね。
    もう、皆さんが色々な角度から発言されているのでほとんど何も言うことないんですが
    ��笑)、yukihiroさんのようなご意見も予め拝見していたからこそ「刺激的なヴィヴァ
    ルディ」を期待せずに最初から楽しめたのではないかと思います…。ご紹介ありがとう
    ございました。

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  6. yusukeさん、コメントありがとうございます。
    TBの件ですが、どうやら「迷惑TB」と何故か判断されていたようです。幾つかのTBは復活させておきました。
    以前、日に100以上のTB絨毯爆撃に閉口し、SPAM判定レベルを上げたのが悪かったのでしょうか。
    ヴィヴァルディの方ですが、私はしばらくは「刺激的」ビバルディを求めて、スピノージとかイル・ジャルディーノとかを聴こうと思っています。

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