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2004年10月9日土曜日

【音盤】オズボーン/カプースチン:ピアノ作品集

今週の東京は地震に台風ですか、休日はひどい天気になりそうでウンザリです。今年最後の三連休ですのにね。(これが終われば、そろそろ「忘年会」の声さえし始めるような気配です)


ということで、今日はオズボーンの演奏です。
ピアノ・ソナタ 第1番(ソナタ・ファンタジア)op.39
ジャズ・スタイルによる24の前奏曲集op.53より
ピアノ・ソナタ 第2番op.54
スティーヴン・オズボーン(p)
hyperion MCDA67159

オズボーンは1971年生まれのイギリスのピアニスト、アムランに先立って1999年9月に録音したのがこの盤です。二つのソナタ(No.1、No.2)とジャズ・スタイルによる24の前奏曲集から5曲をチョイスした構成。

オズボーンのピアノを聴くのは初めてです。アムランほどの自在さは彼のピアノからは感じられませんが、アムランに馴染んでからオズボーンを聴きますと、アムランの演奏が鮮やかすぎるせいでしょうか、こちらの演奏は大人しく堅実に聴こえます。もっとも聴き手の体調によってはオズボーン盤の方がしっくりくるときもあるかもしれません。アムランとオズボーンを比較するのも愚なようですが、アムランが「ドライブ」しているとすれば、オズボーンは「ライド」と言ったところでしょうか。

オズボーンがソナタ第1番、2番をhyperionに録音してしまったので、アムランの演奏が録音されないと嘆く方もいるようですが、私は結構楽しく聴くことができました。オズボーンの演奏がどうこうというよりも、カプースチンの曲が良いです。

ピアノ・ソナタ第1番は1981年の作品、カプースチンはこの曲を作るまでに幾つもの曲(コンチェルトを含む)を作曲していますから、ソナタへの着手は彼のキャリアを考えるとかなり遅いようです。そこらあたりの事情をオズボーンはCould it be that, intimidated by his predecessors, he shied away from the sonata, as did Brahms from shmphony?と推測しています。(ピアノ・ソナタは現在では13番 Op.110まで作曲されています)

ピアノソナタ第2番は、特に第一楽章がオズボーンの演奏では指定ピッチよりも遅すぎて、精彩を欠いているという評も目にしますが、他者の演奏比べているわけでもないので、彼のテンポと曲作りが私には刷り込まれてしまいました。

二つのピアノソナタはかなり秀逸な作品だと思います。ジャズのエッセンスをクラシックに当てはめたとかいう表層的なものではなく、クラシックの曲としての構成美と美しさが、ジャズの自在さを獲得して羽ばたいているかのようです(うーん、どう書いてもうまく伝わらない、聴きなさい)。「ジャズとクラシックの融合」と書いたときに感じる「胡散臭さ」は微塵もない厳格なる曲です。アムランやカプースチン、その他の演奏者がどう弾くかは興味深いです。

2004年10月1日金曜日

【音盤】アムラン/カプースチン:ピアノ作品集

台風一過で今日の東京は31度ですか、9月末で真夏日というのはいい加減止めてもらいたいものです。宮城ではITしゃちょうが、海の向こうでは、ハリケーンとイチローが暴れています。イチローには敬遠などせずに、真っ向勝負で挑んでもらいたいですね。

ということで、今日はアムランの演奏です。

変奏曲Op.41
8つの演奏会用エチュードOp.40
バガテルOp.59-9
古い形式による組曲(スィート・イン・オールド・スタイル)Op.28
ピアノ・ソナタ第6番Op.62
ソナティナ Op.100
異なるインターヴァルによる5つのエチュード
マルク・アンドレ・アムラン(p)
アムランが2000年の来日公演でも取り上げて話題になったカプースチンのピアノ作品をHyperionに行ったのが2003年6月、アムランは相当にカプースチンに入れ込んでいたとのこと。アムランが好きか嫌いかはさておき、超絶技巧ピアニストの演奏は1曲目から驚くほどのノリの良さです。

最初のVariations Op.41は6分ほどの曲ですが、短い導入に続いていかにもジャズ風なテーマが流れてき洒落た曲だなと思ううちにピアノが物凄いことになり、中間部では非常に美しいバラードを聴かせ、最後はPrestoで火花を発するがごとくに締めくくる、というまさにカプースチンを堪能できる曲になっています。

ここらあたりをボーっと聴いていますと、アムランのピアノの巧みさからホテルのラウンジやバーなでど流れる「洒落た軽いジャズ」のようにも聴こえる瞬間がないわけでもないのですが、極めて技巧的な音楽であります。

技巧的といえば、ラストに配置されたFive Etudes in Different Intervals, Op.68という練習曲も「気の狂ったような」としか書けないような曲です。No.1 Allegro (Etude in minor seconds)では鍵盤上をラリっているのではないかと思うような速さと華麗さで駆け巡り、バカみたいな高音の右手と複雑なリズムを刻む左手の応酬が聴き所になっています。No.1の短調のテーマがNo.4 Vivace (Etude in major seconds) で長調になって再現されるのも面白いです。

No.3 Animato (Etude in thirds and sixths) を聴いていて感じたのですが、カプースチンの曲はジャズのバスパート(例えばブギ・ウギ風のリズムだったりするのですが)を左手に受け持たせています。これをしっかり打鍵するかどうかで雰囲気がかなり変わると思うのですが、アムランはバスをやり過ぎない程度に弾いているようで、それゆえどこか「洒落た」とか「上品」に聴こえるのかもしれません。Bagatelles Op.59という短い曲においても左手のパートは控えめでさり気ない感じです、これは趣味の問題かもしれませし、単なる勘違いかもしれませんし、私が全然わかってないのかもしれませんが。

全ての曲について書くことはできませんが、Concert Etudes Op.40は「楽譜の風景」というサイトに楽譜のさわりが掲載されています。これを拝見しながらCDを聴いたら更にビビってしまいました。

いずれにしてもカプースチンの曲は相当な難曲であるらしいのですが、難しさなど全く感じさせずに弾ききっているアムランの演奏には、ピアノを弾けない私でも舌を巻き「開いた口がふさがらない状態」です。いったい技巧だけのアムランのどこがいいのだという評もネット上ではよく目にしますが、私は悪くないと思います。

もっとも、アムランの演奏とカプースチンの音楽性については今の段階では確たるものを書けないのですが(だったら書くなという説もある)、こういうアムランの演奏を通じてカプースチンが受容されたとしても(かくいう私もそう)作曲家にとって不幸なことではないと思われます。旧来のピアノ曲に飽いていたり深刻なソナタを敬遠する人や、ジャズにあまり親しみのない方には「これ好きっ!」と思わせるには十分な演奏であると思いますし。

ただ何度か聴いていますと技巧的には申し分ないものの、何とも説明のできぬ違和感を感じることも確かです。あまりにスピード感があり、余裕綽々の演奏なので(猛絶な演奏でもあるのですが)、何かがすり抜けているような感じがしないわけでもないのですが、それが何なのかは分かりません。完璧な新体操が面白くないとか、そういう感覚・・・とも違うか。

2004年9月30日木曜日

【音盤】カプースチンのピアノ2

以前ちょっと触れましたがカプースチンのピアノを聴いています。ということで、少し感想を加えました。時間をかけて少しずつ聴いてゆこうかなと思っています。

カプースチンという名前を最近あちこちで散見するようになりましたた。彼はロシア生まれ(b.1937)のジャズピアニスト兼作曲家です。モスクワ音楽院でピアニストとしてロシア伝統の卓越した技術を身につけるかたわらジャズ音楽も学び、ジャズの要素をふんだんに取り入れたピアニスティックな作品を数多く生み出しています。

彼の曲はジャズのスタイルにおいてはエロール・ガーナーやオスカー・ピーターソンの影響を色濃く受けているようであり、一方でクラシックにおいてはシューマンやブラームスよりはバッハやベートーベンを好んでいるそうで、曲を聴いた感じはラフマニノフやスクリャービンを彷彿とさせる部分もあったりします。

生粋の(?)ジャズファンは「ロクにジャズも聴いたことのないクラシックな奴が持てはやしている」という感想も少なくはないようです。ジャズにベートーベンにスクリャービンですから、聴いたことのない方にはメチャメチャな印象を受けるかもしれませんが、そんなことは全くありません。ピアノが好きな方には、きっとワクワクするようなゴキゲンな要素がたくさんに詰まっている曲なのではないかと思います。

ちなみに私は最近はジャズは聴きませんが、オスカー・ピーターソンもセロアス・モンクも好きでしたし、バド・パウエルは私のイチオシのジャズ・ピアニストでした、かれこれン十年前ですが。そういう記憶を引き出しても、カプースチンが「つまらない」ということは全くないと思っています。鋭利なリズムとスイング感、バラードの美しさ、即興的なフレーズの持つ興奮、激しく技巧的なパッセージ、ハマるひとにはハマる作曲家であると思います。

現在(2004年9月現在)、容易に入手可能なカプスーチンの録音から 1.アムラン 2.オズボーン 3.カプースチン(自作自演) の三つのアルバムを聴いて感じたことを、思いつくままに書いてみることとしました。どれから聴き始めるかは悩みましたが、やはり買った順に始めるのが良いかと思いアムラン版から始めることとします。(まだ書いてない、聴き込んでない、そのうち書く)

2004年9月18日土曜日

【音盤】カプースチンのピアノ

ニコライ・カプースチン(b.1937)という作曲家をご存知でしょうか。今年6月にHyperionからアムラン(P)によるカプースチン演奏が発売され、アムランということで全く予備知識なしに聴いたのですが、これがなかなかゴキゲンな曲なのです。

カプースチンは1937年生まれのロシアの作曲家、モスクワ音楽院を卒業しクラシカルな作品を作成するかたわら、ジャズ・ピアニストとしても名を成し、ここに納められているようなクラシックとジャズが融合したような曲を描いています。

ジャズとクラシックの融合だなんて、生粋のクラシックファンの方や、根っからのジャズファンの方はアヤシイと眉をひそめるかもしれません。流して聴いているだけだとホテルのラウンジから流れる自動ピアノのような雰囲気の曲もあるのですが、なかなかどうして、親しむうちに軽妙な曲調とともに音楽的な多彩さと驚くべき技巧に気付かされ、たただた唖然とするばかりです。アムランの盤なども一曲目からジャズCDとしか思えないような出来です。








ピアノ作品集

(p)マルク・アンドレ・アムラン

hyperion CDA67433



ピアノ作品集

(p)スティーヴン・オズボーン

hyperion CDA67159



24の前奏曲とフーガ作品82

(p)ニコライ・カプースチン

TRITON OVCT-00010


『24の前奏曲とフーガ』は、カプースチン自演によるもので、最近の密かなカプースチン・ブームに押されてTRITONからの再発売されたもの。アムランも良いですが、オズボーン盤も曲がいいので捨てがたく、どれも聴き逃せない曲ばかり。暇なときは、このごろこればかり聴いています。カプースチン自演盤はまだ聴きこんでおらず。

もうちょっと立ち入った感想は、機会があったら書きましょう。

2004年8月23日月曜日

【音盤】カプースチンのピアノ

< 今年6月にアムランの新譜が出たというので購入していたものです。内容はカプースチン(Nikolai KAPUSTIN b.1937)というロシアの作曲家です。アムランの録音レパートリーは、普通のピアニストがあまり焦点を当たらない作曲家のものが多いのですが、この盤も一連の演奏であるのだろう程度の気持ちで購入したのですが、今回は聴いてみてびっくりです。何しろカプースチンに関する予備知識はゼロでしたから。
アムラン:カプースチンピアノ作品集
  1. 変奏曲Op.41
  2. 8つの演奏会用エチュードOp.40
  3. バガテルOp.59-9
  4. 古い形式による組曲(スィート・イン・オールド・スタイル)Op.28
  5. ピアノ・ソナタ第6番Op.62
  6. ソナティナ Op.100
  7. 異なるインターヴァルによる5つのエチュード
  • マルク=アンドレ・アムラン(p)
  • Hyperion

クラシックとジャズの融合というのでしょうか、ジャズ風クラシックとかそんなものではありません。そんなクロスオーバー的なヒーリングミュージックなのではなく、炸裂する音楽がここにはあります。超絶技巧を駆使した即興と思われるようなジャズ風コードが、きっちりと楽譜に書かれているのだそうです。 カプースチンンの曲はピアニストにとっては難曲の部類に入るらしいく、HMVの解説によると2000年3月の東京でのリサイタルでもカプースチンを弾いたそうで、アムランはまたしても、

作曲者の自作自演盤でも守られていなかった早いテンポ指定を、その通りに、まるで何でもないかのように平然と演奏、ピアノに詳しい人ほど「空いた口がふさがらない」状態
だったそうな。確かに凄い演奏です。『ロシア伝統のヴィルトゥオーゾ・ピアニズムと、ジャズ(特にバップ)が融合したカプースチンの音楽(HMV)』なかなかに聴きこたえがあります。 カプースチンが気に入ったので、下の二つの盤も入手してみました。こちらも一聴した限りで感想をおいそれと書けるものでもありませんが、非常に気に入りました。もう少し聴き込んでみます。



 
カプースチン:ピアノ作品集
スティーヴン・オズボーン
カプースチン自作自演集