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2018年10月9日火曜日

【本棚】定年本2冊

定年を扱った小説をふたつ読んでみた。
書かれた時代は約5~7年の隔たり。どちらも団塊の世代周辺の物語である。
ふたつを通して読むことで、共通点と相違点も見えてきた。

2018年10月4日木曜日

【本棚】小説「終わった人」 内館牧子

定年とか今の仕事人生の終わりが見えてきた自分に、何が見えるかと思い読んでみた。

主人公は東大法学部卒、大手銀行に勤め役員一歩手前で子会社の役員に飛ばされる。銀行の熾烈な出世競争に負けたわけだ。それでも年収1200万円が保障され、夫婦で老後資産の心配はない。人生勝組の数パーセントに所属する主人公を一言で表せば、自分中心主義の勝手で鼻持ちならない見栄とエリート意識の塊の男、である。
小説は、そんな彼が定年を迎えた日から始まる。定年になって、やっと仕事後の人生設計を考えるという、そもそも最初から「終わった感」がある。

そういう人物が、いかにこの世代に多いかを、作者の内館氏は見てきたのだろうか。読者に不快感を与えるほどあり得ない設定の主人公であっても、幸せな老後は簡単には訪れないことを描き、それを通じて、仕事というもの本質を内館氏は抉り出していると感じた。