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2010年2月7日日曜日

【本棚】副島隆彦:ドル亡き後の世界

今まで、氏の「予言」が的中しているか否かについては自ら検証してはいない。本書に書かれていることも10年先の未来のことではなく、まさに今年の事であるから、とりあえずメモしておこう。本書の要約はこうである。

  • アメリカの景気は2010年3月頃から崩れ始め、いったん持ち直すものの、2010年末にアメリカは恐慌に突入し2012年が大底となる。
  • 株、為替、債権は世界的に暴落し「金融崩れ」が顕著になる。一ドルは80円を切り、場合によっては60~70円代に、ダウ平均は6000~7000ドルまで低落、日経平均も5000円を割る。
  • オバマ政権は経済的な失敗から任期途中で辞任する。日本はいまだにせっせと米国債を購入しているが、中国は米国債を徐々に売る準備をしている。
  • 債権価格は上昇。RMBS、CMBS、CDOなどの金融派生商品のリスクが一気に顕著になる。
  • アメリカは借金を返せなくなり、デノミ、計画的なインフレを引き起こさざるを得ない。
  • このような中で、中国のプレゼンスは必然的に高まる。
  • アメリカ中心の世界は崩壊し基軸通貨としてのドルは地位を失う。
  • 個人資金を保護するならば、金融商品ではなく「金」や成長可能な日本株を底値で買え。

副島本に共通する話題であるから、新規性は乏しいか。この話を信じるか否かについては賛否があろう。サブプライム問題を思い出しても、日本は当初は軽く見ていたらダメージは深かった。グリーンスパンが「100年に一度の危機」と称したが、思ったよりも早く経済は(日本を除いて)回復基調だ。マスコミは何を伝え、何を伝えない(知らない)のか、素人が経済新聞を読んでいるくらいでは、実際のところはよく分からない。

混迷は深まるばかりで、このような不安を政治的に払拭しようとする動きは全くに見えない。将来的に不安しかない状況が今の日本の現状であり限界なのであろうか。

2010年2月5日金曜日

【本棚】副島隆彦:売国者たちの末路

副島の論理を胡散臭いと感じるか、真実を伝える伝導者と考えるかでとらえ方は全くことなるであろう。読後の印象として、副島氏得意の根拠なき陰謀論満載で、こんな本を読んでいると大きな声で言うのは、やはり控えたほうが良かろうということ。裏のロスチャイルドやロックフェラーなどの金融系支配者が支配しているという世界観は面白いし、フィクションとしの時間つぶしならばよいが、副島の妄想に付き合っている時間はそれほどない。ただ、それを「妄想」と論破する論拠もこちらにはないだけのことだ。

しかし彼が誰を支持し、誰を糾弾しているのか、そしてアマゾンの圧倒的な無垢な副島礼賛と覚えておいて良いだろう。

彼の視点は、日本国民を騙してアメリカに資金を流入させる者を売国奴と称しているわけであるから、小泉-竹中路線につながる人脈を批判するのは理解できる。小泉改革がすべて間違いであったのか、ということについては、いまだ私の中で評価は定まらない。規制緩和を進め競争を進めたことは、功罪相半ばといった印象がある。資本主義が悪いわけではない以上、正当な競争原理のもとで健全な発展をすることは間違ってはいないし、用がなくなった業界や企業が退場することも、いたし方がないことである。問題は、その退場のさせ方であり、あまりに急激な変化は社会不安を生むし、失業率の増加などマイナスの要因が大きすぎるということだ。「痛み」は理解するが、誰もその痛みを自分が負う覚悟はできていない。そういう点から、池田信夫氏が指摘するように、労働市場の流動性がないこと、あるいは大企業の既得権益が強すぎることが問題であるとする主張の方が理解しやすかろう。

こういう小泉路線に対して、守旧的な小沢、亀井路線が存在し、ある程度の支持を獲得している。副島氏も彼らを支持し日本を守るという姿勢を鮮明にしている。しかし、彼らの主張は時代に逆行し、真の意味で改革することを遅らせてはいないかという点に対する疑念は晴れない。特に彼が小沢民主党を支持することには違和感さえ覚える。鳩山は論外にしても。

「改革か成長か」「需要か供給か」「金融か財政か」といった、タマゴニワトリ的な論争は専門家にまかせるとするが、日本が大いなる混迷の中にあって、この本も混迷を深めこそすれ、光明を見出す本にはなり得ていないことに変わりはない。

2009年2月6日金曜日

【本棚】副島隆彦:恐慌前夜


遅きに失した感はあるものの、金融預言者を自認する副島氏の著作を読んでみました。彼の金融に関する予言が当たっているか否かについては、私は論評しませんけど、言っていることは、非常に分かりやすく単純で面白く読みました(すぐに読めるし)。多くの読者をつかむのも分かります。刺激的な程、読者層にウケますから。

主旨を単純化すると、「ドル覇権の崩壊」と「連鎖する大暴落」は今後も数ヶ月に一度ずつ起きてゆく。アメリカ発の大恐慌突入の前に、預金封鎖が行われる。多くの法律が急速にバタバタと改正され、緊急の金融統制体制に入る。これからは銀行が一番危ない時代、信用できない。だから、そうならないうちに、しっかり自分の資産を実物(金や不動産や食料)に今のうちに移し変えておきなさい、悪いことは言わない、私のことを信じなさい、みたいな事が繰り返し述べられています。

で、最近の近著が「副島隆彦の今こそ金を買う」です(未読)。投資や個人資産の保護に関しては、それぞれの経済状況の中で自分に最適なリスク・ヘッジを考える必要があるため、ひとつの見方として参考にはしますが、だからといって、すぐに金相場に手を出そうとは、私の場合考えないでしょうね、そんなに現金資産もないし。

副島氏の姿勢で明確なのは、攻撃的なまでの米国批判。特にアメリカの手先となって動いたと彼が見なす竹中元金融相や、10年前からアメリカが日本に強制して作った金融庁に対する批判は強烈です。現代のゲシュタポゲハイム・シュタートポリッツァイ(Geheime Staatspolizei ドイツナチス政権時の国家秘密警察現代の特高警察政治警察(思想警察)実質的な弾圧機関などなど、かなり手厳しい。竹中路線の批判などは、多くのブログなどで話題にされていますから、私は本書の覚書程度にとどめておきます。金融庁は「怖いトコロ」なのだということで。

ただ、あまりにもアメリカの顔色ばかり伺う日本政治と、アメリカの風邪が肺炎になるくらいにダメージを受ける日本経済に、憤りを覚える人は確実に増えていると思います。そういう背景が、副島氏を支持する人が増える一因なのだろうと思いました。

副島氏は世界の金融界がロックフェラーやロスチャイルドによって支配されていることにも軽く言及しています。金融界はデイヴィッド・ロックフェラーと、甥のジェイ・ロックフェラーの骨肉の戦いである。デイヴィッドはシティ・バンクの実質のオーナー、ジェイはゴールドマン・サックスのオーナー。この骨肉の争いは今やはっきりとジェイ・ロックフェラーに軍配が上がりつつある(P.172)らしい。ちなみに三井住友銀行の実質筆頭株主はジェイ。三菱東京UFJ銀行は、三菱=ロックフェラーの130年に及ぶ運命と宿命として(P.162)、シティ救済を断れないのだと。

ふーん、と思いながら、こういうテの本は気楽にウィスキーでも舐めながら読むのが正しいか。この手の裏話にも、とんと疎いですから。