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2021年2月26日金曜日

【音盤】サバドゥスのバッハとテレマンのアルバム

カウンターテナーのサバドゥスがソニー・クラシカルから新譜を出しました。サバドゥスといえば「アルタセルセ」ではセミーラ役を演じていました。2019年2月には来日公演も果たし、このときは「イタリア・バロック・オペラの神髄」として紀尾井ホールに歌声を響かせてくれました。




今回のアルバムは、バッハとテレマンを収めたドイツものという趣向です。バッハとテレマンを交互に歌い、それぞれの作曲家の特徴を対比して聴かせてくれます。

2004年1月26日月曜日

【音盤】テレマン:パリ四重奏曲集

以前紹介したテレマンの「6つの四重奏曲(クァドリ)」に続く四重奏曲です。こちらも「クァドリ」にも増して素晴らしい音楽に仕上がっています。

金曜日に所沢で有田氏の演奏会が催されたのですが、一度彼の演奏を生で聴いてみたいものだとつくづく思わせる演奏です。


有田正広:テレマン/パリ四重奏曲
  1. 四重奏曲 第1番 ニ長調 TWV43:D3
  2. 四重奏曲 第2番 イ短調 TWV43:a2
  3. 四重奏曲 第3番 ト長調 TWV43:G4
  4. 四重奏曲 第4番 ロ短調 TWV43:h2
  5. 四重奏曲 第5番 イ長調 TWV43:A3
  6. 四重奏曲 第6番 ホ短調 TWV43:e4
  • 有田正弘(フラウト・トラヴェルソ) 
  • 寺神戸亮(バロック・ヴァイオリン) 
  • 上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ) 
  • クリストフ・ルセ(チェンバロ)
以前紹介したテレマンの「6つの四重奏曲(クァドリ)」に続く四重奏曲です。1730年にハンブルク出版された「クァドリ」がパリでも注目を集め、テレマンをパリへ招聘しました。その時に作曲されたのが、ここに納められた六つの四重奏曲です。テレマンを招聘したのは当時の名手であるプルートのプラヴェ氏(彼自身のフルート曲も有名)、ヴァイオリンのギニョン氏、ガンバのフォルクレ氏、そしてチェロのエドワール氏などです。

「クァドリ」でもそうでしたが、この曲集は明らかにプロの演奏者のための音楽になっています。当時は、アマチュア演奏家のためにも曲集は作曲されており、例えばテレマンの「忠実な羊飼い」などが、フルート吹きには有名でしょうか。

CD解説によれば「おそらくテレマンが書いた最もフランス的な作品」とあります。しかも"プロ仕様"の曲だけあって、きわめて音楽的かつ躍動的で華やかな色彩にあふれた音楽に仕上がっているように思えます。

この演奏においても有田氏のフルートトラヴェルソの音色は際立っているのですが、先の「クァドリ」と比べてピッチが高い(a'=415)せいでしょうか、音色の粒立ちや切れが一層鮮やかです。私はこのCDの第1番ニ長調の冒頭をはじめて聴いたときに、その音色の素晴らしさに思わず声を上げてしまいました。テレマンのパリに対する思いの表れとも受け取れます。今も昔もパリはまさに「華の巴里」であったということなのでしょうか。ヴァイオリンの寺神戸氏についてまったく触れておりませんが、私は寺神戸氏として意識して音楽を聴いたことがないので、感想らしものをまだ書くことができません。

「クァドリ」も確かに素晴らしい演奏なのですが、こちらと比べてしまうと、どうしてもくすんだ色彩に感じられてしまいます。それが曲の完成度によるものなのか、あるいは演奏や楽器によるものなのかは私の拙い知識では分かりません。しかし、私はこの2枚組みのCDを飽くことなく何度も聴いてしまっています。

ちなみにこのCDは文化庁芸術作品賞という有難い章を受賞しているそうです。

2004年1月17日土曜日

【音盤】テレマン:6つの四重奏曲


<1730年ハンブルク版>
テレマン
  1. コンチェルト第1番ト長調
  2. コンチェルト第2番ニ長調
  3. ソナタ第1番イ長調
  4. ソナタ第2番ト短調
  5. 組曲第1番ホ短調
  6. 組曲第2番ロ短調
  • 有田正弘(フラウト・トラヴェルソ) 
  • 寺神戸亮(バロック・ヴァイオリン) 
  • 上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ) 
  • クリストフ・ルセ(チェンバロ)
 
イタリア語のQuadriと題されいるこの四重奏曲集は「2つの協奏曲、2つのバレット(舞曲、フランス組曲)、2つのソナタ」とされてる。細かな様式の違にまで言及することはできないが、器用で時流に乗ることのうまかったテレマンらしい音楽になっている。曲集はプロフェッショナルな演奏家を対象としているというだけあり音楽的な技巧も楽しむことができる。

有田、寺神戸、上村、ルセ氏の4人の名手については、いまさら解説は不要というところだろうか。柔らかにして軽やか、そして暖かな有田氏のトラベルソの音色は長く聴いていても疲れることがない。ピッチも現代よりもかなり低めに設定されているせか(a'=398)、音楽全体がしっとりと落ち着いた華やかさに輝いている。アンサンブルの響きは絶妙であり、そこからくっきりと浮かび上がるトラヴェルソの音色は、まさに至福の時間を与えてくれる。

もっとも、ずーっと聴いていると、美しさと心地よさにうっとりはするものの、だから何なのだ?という疑問が沸く瞬間がないでもないが、それをこの時代の演奏に求めることに無理があるだろう。

2002年8月15日木曜日

【音盤】テレマン 無伴奏フルートのための12の幻想曲

テレマン(1681-1767)という作曲家はJ.S.バッハと同時代に活躍し、数多くの作品を残している。当事の人気としてはバッハを遥かに凌ぐものであったということである。この作品は通奏低音を伴わないフルートの独奏曲。楽譜には鉛筆でテレマンの名と「ヴァイオリンのための通奏低音を伴わないファンタジー」と記されているらしい。しかし、音域や書法からトラベルソ(1キーのフルート)のための曲というのが一般的である。

曲は全部で12曲からなる。音楽愛好家または器楽学生のために書かれたもので技巧的には難しくないと解説には書かれている。手元に楽譜があるので、時々思い出したようにさわりだけ吹いてみるのだが、とてもではないが私レベルのモノが吹きとおせるような曲では全くない。作曲当事はベーム式フルートではなくトラベルソであったことを考えると、当事のアマチュア楽器奏者のレベルの高さを垣間見る思いがする。

フルート独奏曲というと、バッハの無伴奏パルティータが思い出されるが、テレマンのこの曲は、バッハほどしかめつらしくはなく、どこか自由な軽やかさがある。「幻想曲」という形式にも、そのような性質が現れているように思える。

1曲が2分から5分弱と非常に短い曲であるが、通して聴いてみるとバロックやロココの雰囲気に浸ることができる。ひとりで暗い教会の中に座り、ガラスモザイクごしの光を眺めているような気にさせてくれる。それでいて、バッハのように内面的で宗教臭くならないところが、テレマンの良さだと思う。(逆にそれが限界であり、テレマンの音楽を深みがないと評する専門家もいるようだ)

私はそういうテレマンのこの曲が、それゆえにこそ好きである。楽譜を追いながら聴いていても、単調な音の並びからどうしてこんなにも豊にして心地よい音楽が響くのかと驚きを感じ得ない。アルペジオと音の跳躍だけで出来ているような曲も多く、まるで練習曲を見ているような気になる。

しばらく聴いていると楽譜を追うことをやめてしまう。小細工はいらない、ゆったりと羽根を伸ばすかのような気持ちで音楽に漬かるのが良いように思える。どの曲も良い、いつかはキチンと吹けるようになりたいなあ、と思うのであった。





フルート:ジャン=ピエール・ランパル
Jean-Pierre Rampal
録音:1972年10月30日 埼玉会館大ホール
DENON COCO-70461(CREST1000)~COCO-85024の再発売品

この演奏はランパル50歳のときの演奏である。彼は数知れぬ録音を残しているが、テレマンの無伴奏全曲は、埼玉会館ホールで録音したこのライブ録音だけであるということには意外な念にとらわれる。

現代の古楽器に慣れた耳でバロックを聴くと、ちょっと高いピッチときらびやかな音色に違和感を感じないわけではない。しかし、数分もすると、ランパルの音色や演奏は、決して嫌味のあるようなものではなく極めて素晴らしい演奏であるとことに気付かされる。誰が何と言っても、ランパルだ。今更、彼の演奏についてあれこれと言うべきものでもない。

DENONのCREST1000というシリーズで再発売されているこの演奏が1000円で手に入るのだから、幸せな時代である。