以前紹介したテレマンの「6つの四重奏曲(クァドリ)」に続く四重奏曲です。こちらも「クァドリ」にも増して素晴らしい音楽に仕上がっています。
金曜日に所沢で有田氏の演奏会が催されたのですが、一度彼の演奏を生で聴いてみたいものだとつくづく思わせる演奏です。
有田正広:テレマン/パリ四重奏曲
- 四重奏曲 第1番 ニ長調 TWV43:D3
- 四重奏曲 第2番 イ短調 TWV43:a2
- 四重奏曲 第3番 ト長調 TWV43:G4
- 四重奏曲 第4番 ロ短調 TWV43:h2
- 四重奏曲 第5番 イ長調 TWV43:A3
- 四重奏曲 第6番 ホ短調 TWV43:e4
- 有田正弘(フラウト・トラヴェルソ)
- 寺神戸亮(バロック・ヴァイオリン)
- 上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
- クリストフ・ルセ(チェンバロ)
「クァドリ」でもそうでしたが、この曲集は明らかにプロの演奏者のための音楽になっています。当時は、アマチュア演奏家のためにも曲集は作曲されており、例えばテレマンの「忠実な羊飼い」などが、フルート吹きには有名でしょうか。
CD解説によれば「おそらくテレマンが書いた最もフランス的な作品」とあります。しかも"プロ仕様"の曲だけあって、きわめて音楽的かつ躍動的で華やかな色彩にあふれた音楽に仕上がっているように思えます。
この演奏においても有田氏のフルートトラヴェルソの音色は際立っているのですが、先の「クァドリ」と比べてピッチが高い(a'=415)せいでしょうか、音色の粒立ちや切れが一層鮮やかです。私はこのCDの第1番ニ長調の冒頭をはじめて聴いたときに、その音色の素晴らしさに思わず声を上げてしまいました。テレマンのパリに対する思いの表れとも受け取れます。今も昔もパリはまさに「華の巴里」であったということなのでしょうか。ヴァイオリンの寺神戸氏についてまったく触れておりませんが、私は寺神戸氏として意識して音楽を聴いたことがないので、感想らしものをまだ書くことができません。
「クァドリ」も確かに素晴らしい演奏なのですが、こちらと比べてしまうと、どうしてもくすんだ色彩に感じられてしまいます。それが曲の完成度によるものなのか、あるいは演奏や楽器によるものなのかは私の拙い知識では分かりません。しかし、私はこの2枚組みのCDを飽くことなく何度も聴いてしまっています。
ちなみにこのCDは文化庁芸術作品賞という有難い章を受賞しているそうです。
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