ラベル 現代音楽 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 現代音楽 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年7月13日火曜日

セバスティアン・クナウアーの「The Mozart/Nyman Consert」は、なかなか良い企画

セバスティアン・クナウアーSebastian Knauer(1971-)による、モーツァルトとマイケル・ナイマンMichael Nyman(1944-)の曲を交互に聴かせるコンセプトアルバム。マイケル・ナイマンはイギリスのミニマル・ミュージックの作曲家とのこと。

https://music.apple.com/jp/album/the-mozart-nyman-concert/1561282517

2021年6月23日水曜日

Francesco Spazian | Twilight Travelers シルヴェストロフとシューベルトとモーツァルト

シルヴェストロフの音楽には、シューベルトやモーツァルトの音楽の引用や断片が用いられている作品があります。

このアルバムでは、シューベルトのピアノソナタNo.4 イ短調 D.537と2つのディアローグとあとがき(Zwie Dialoge mit Nachwort)、モーツァルトのピアノソナタNo.10 ハ長調 K.330と使者(Der Bote)を演奏しています。

ピアノはこの盤でデビューするというFrancesco Spazianです。

https://music.apple.com/jp/album/twilight-travelers/1445716803

2021年6月22日火曜日

シルヴェストロフの交響曲第7番を聴く

NAXOSから発売されている、シルヴェストロフの作品集ですが、カンタータ第4番と交響曲第7番は世界初録音とのことです。



2021年6月21日月曜日

シルヴェストロフ作品集 NAXOS版で弦楽オーケストラのためのセレナードを聴く

NAXOSから発売から出されているシリヴェストロフの作品集です。ピアノ曲、弦楽オーケストラ曲で構成されています。

輸入元情報では以下のように紹介されています。

このアルバムには、シルヴェストロフの代表作「使者」をはじめ、郷愁を誘う数々の曲が収録されており、シルヴェストロフを初めて聴く人にとっても良い道標となることでしょう。

https://music.apple.com/jp/album/valentin-silvestrov-moments-of-memory-ii/1274218379


2021年6月18日金曜日

シルヴェストロフの handsome skies を聴く

この頃シルヴェストロフの作品を少しずつ聴いています。これは2020年12月発売のピアノ小品集、ピアノはローマ生まれのイタリア人、アレッサンドロ・ステラ(Alessandro Stella)。発売されたばかりなのか、今現在(2021年6月)ではHMVでもほとんど情報がありません。

予備知識なしで聴いてみますと、まさに「聴きたかったシルヴェストロフ」の音楽が詰まった珠玉のアルバムです。初めて彼の音楽を聴くにはお勧めのアルバムでしょうか。



2021年6月17日木曜日

リュビーモフのピアノでシルヴェストロフの作品集を聴く

先日、グリモーのアルバムでシルヴェストロフ(Valentin Vasylyovych Silvestrov)というウクライナ出身の現代音楽の作曲家を知りましたので、Apple Musicから人気のアルバムとして挙がっているものをひとつ聴いていみました。

「Bagatellen und Serenaden」という2007年、シルヴェストロフ70歳の誕生日を記念して発売されたアルバムです。ピアノ小品と弦楽との合奏協で、ピアノはアレクセイ・リュビーモフ(Alexei Lubimov)、クリストフ・ポッペン(Christoph Poppen)指揮のミュンヘン管弦楽団の演奏。


2021年6月11日金曜日

グリモーが繋ぐ過去と現在 モーツァルトとシルヴェストロフ

グリモーは、アルバムごとに新しい断面やストーリーで曲の魅力や世界観を伝えてくれる演奏家のひとりです。

今回のアルバムも、モーツァルトの曲とウクライナ生まれの現代作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフの曲を組み合わせたもので、非常に魅力的なアルバムでした。私はこのアルバムでシルヴェストロフという作曲家を初めて知りました。

https://music.apple.com/jp/album/the-messenger/1526145158


    モーツァルト
  1. 幻想曲 ニ短調 K.397
  2. アノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
  3. 幻想曲 ハ短調 K.475

    シルヴェストロフ
  1.  使者(ピアノと弦楽のための)
  2.  2つのディアローグとあとがき(I. Wedding Waltz/II. Postlude/III. Morning Serenade)
  3. 使者(ピアノ・ソロのための)

コンセプトアルバムではりネタバレ的になってしまいますので、まずは聴いてから解説などを読んだ方が良いと思います。

2021年6月8日火曜日

Diamanda La Berge Drammというヴァイオリニストの意表をつく音楽

ディアマンダ・ラ・ベルジュ・ドラムDiamonds La Berge Drammは、オランダのヴァイオリニストにしてまた、現代アート(アバンギャルド、即興) のパフォーマーとして活躍している方のようです。

彼女のこのアルバムはJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータから第2番。その後にジョン・ケージの曲を持ってきています。

https://music.apple.com/jp/album/inside-out/1566371762

バッハの音楽とミニマルミュージックを並べたり、スカルラッティとリゲティを演奏するなど、バロックと現代曲を組み合わせているアルバムは少なくありません。

バッハは今でも実験的、挑戦的な音楽の使われ方をしていながらも、いささかもその本来の音楽の持つ力を失うことがありません。逆に、並べられた曲が逆照射されるような感さえあります。

この盤もそういう類のものかと思って聴いてみました。

以下は多少ネタバレ的になりますので、実際に聴かれてから解説を読むのが良いと思います。

2021年2月8日月曜日

Ensemble K & Simone Menezes

 Ensemble K Simone Menezes の新譜ACCENTSを聴いています。




Borodin:Polovtsian Dances(Chamber Version)
Debussy:Prelude A L’Apres-Midi D’un Faune, L. 86
Copland:Appalachian Spring(Version for 13 instruments)
Villa-Lobos:Choros No. 5, W207
Sophie Lacaze:Histoire Sans Paroles

Ensemble KSimone Menezesによって設立された小規模な楽団です。Simone Menezesはイタリア-ブラジル系でフランスを拠点にした女性指揮者。
project"K"はこれが初めての録音らしく、ネットにあまり情報がありません。写真を見る限り若い音楽家たちが集まっているよるようです。弦楽器、木管楽器、それに鍵盤楽器による編成です。

2019年3月15日金曜日

コパチンスカヤのYouTube動画に仰天

 

2008年9月22日月曜日

ランニングのおとも モートン・フェルドマン


ランニングは孤独にして、ある意味単調な運動です。やっぱりiPodなどによる音楽が欠かせません。

今日の音楽は、Morton FeldmanのPiano&String Quartetです。演奏は高橋あきとKronos Quartet 。

実はこれITSで150円で買った曲です。演奏時間は一曲で1時間20分もあります。Appleで値付けを間違っていのでしょう。これを「お得」と考えるかは音楽的趣味によります。

M・フェルドマン(1926~1987)は図形楽譜の発案者として知られています。まともに聴いたことのある人は、よほどの音楽マニアでしょうか、あるいは音楽通としては普通なのでしょうか。1時間20分もの間、静謐かつ全く盛り上がりのない音楽(これが?)が延々と続きます。

ミニマル・ミュージックとはまた違う。フェルドマンの音楽の静寂さは武満のそれとも違う。単調な繰り返しに、何を聴くかはその人によるのでしょう。

しかし、私とて、この曲を演奏会場で聴いたら、怒るか、爆睡かしか選択はありえない。走りながらとかでしか、このような曲とは親しくなれない。

とはいうものの・・・。この音楽の持つ静寂さ、緊張感、イノセントさ・・・。ふとした拍子にまた聴いている自分がいる。静寂さの秘める緊張感と永続性、氷のような美しさ。退屈と相反する魅力。

聴いてすぐに止めるか、繰り返し聴くか、はたまた走りながら聴くか(笑)。聴くものの忍耐と精神状態と音楽的経験、そして美意識が試されるような音楽です。








2007年7月17日火曜日

[NML]ベリオの《フォークソングス》


iPodがご臨終になった今、こうなったらオレにはNMLがあるワイと開き直り、今日はベリオの《フォークソングズ》(1964)を聴きました。これはベリオが妻で声楽家であるキャシー・バーベリアンのために書いた曲。

ベリオと聞いて怖れるなかれ、林田氏が推薦しているように、この曲集は限りなく美しい。体の奥に、抵抗もなくすーっと入ってきます。伴奏も簡素ながら曲に非常にマッチしています。ところどころに挿入されるフルートの響きが実に素敵。11曲の曲集はイタリアやアルメニアなどの民謡がベースになっているそうです。

1曲目から唖然、2曲目は、言い知れぬ既視感に誘われるかのような優しさに包まれます。3曲目では思わず感涙・・・10曲目の《Lo fiolaire》も素晴らしい・・・。何を唄っているのかは分からねど、です。メゾ・ソプラノのJean StilWellの歌声も聴きやすく、短いので二度ほど続けて聴いてしまいました。



2007年3月8日木曜日

NMLでシェーンベルクの月に憑かれたピエロを聴く


  • アニャ・シリヤ - Anja Silja (ソプラノ)
  • 20世紀古典アンサンブル - Twentieth Century Classics Ensemble
  • ロバート・クラフト - Robert Craft (指揮)
  • 録音: 1997, American Academy of Arts and Letters, USA
NMLでシェーンベルクの月に憑かれたピエロを聴く。恥ずかしながらこの曲を聴くのははじめて。ソプラノはアニャ・シリヤ(Anja Silja)。こんな有名曲を今まで聴いていなかった。

小編成のオケにシュプレッヒシュティンメ(楽譜どおりだが音高は指定の音に達した後リズム内で語るように移っていく特殊唱法)による女声。彼の代表的な無調音楽とされるが、思っていたほどに聴きにくいわけではない。

先週はずっと寝る前に武満やウェーベルンを聴いていたせいだろうか。ピエロの悪夢を聴きながら、夜を更かす。

2006年10月23日月曜日

【音盤】フィリップ・グラス:ダンス第1番~第5番

  1. ダンス第1番
  2. ダンス第2番
  3. ダンス第3番
  4. ダンス第4番
  5. ダンス第5番
  • マイケル・リーズマン(cond)、フィリップ・グラス・アンサンブル
  • ソニーミュージックエンタテインメント、SICC132-3

いちおう音楽サイトのつもりなのに、音楽の話題が全く続かないので、(誰も期待していないとは思いつつ)無理してエントしましょう。昨日、リサイクル書店で衝動的に購入したCD(2枚組800円)のこと。

フィリップ・グラスの名前はゴットフリー・レッジョ監督の映画「コヤニスカッティ」(1982)の音楽で知っていました。ミニマリズムと称される曲を中心に作った人です。

宮下誠氏の「20世紀音楽」ではインドの複雑きわまるリズム構造を西洋の器楽的伝統に移植することを始め、ミニマル・ミュージックに新しい地平を開いたと解説されています。

グラスはミニマリズムというレッテルを好まなかったようです。しかしここで聴かれる音楽をミニマリズムと言わずして何と言いましょうか。グルグルと際限なく回るメリーゴーランド。空虚な明るさ、官能と催眠、麻薬のような酩酊と白い悪夢。第4番はグラス自らオルガンを弾いていますが、他の4曲と何が違うのか未熟な私には分かりません。

金太郎飴のようなグルグルが微妙に変化するだけの反復運動、眠くなりながらも神経に障ります、聴き続けるのが快楽なのかつらいのかさえ判然としない、ちっとも良くない・・・でも聴いていたい・・・(^_^;;;。これをBGMに眠ったら、ひどくうなされてしまいました・・・。

ミニマリズムはテクノ系音楽に影響を与えたとされています。「Underworld」の曲でも聴きたくなりましたよ。

2006年7月21日金曜日

【音盤】NAXOS日本作曲家選輯/武満徹:鳥は星形の庭に降りる他

  1. 精霊の庭(1994)[14:40]
  2. ソリチュード・ソノール(1958)[6:23]
    3つの映画音楽(1994/95)
  3. 訓練と休憩の音楽-『ホゼー・トレス』より-[5:02]
  4. 葬送の音楽-『黒い雨』より-[5:10]
  5. ワルツ-『他人の顔』より-[2:20]  
  6. 夢の時(1981)[14:27]
  7. 鳥は星形の庭に降りる(1977)[13:44]
  • マリン・オールソップ(cond)、ボーンマスso.
  • 2005年1月;イギリス、プーレ、ライトハウス・コンサートホール
  • NAXOS 8557760J

NAXOSの日本作曲家選輯から武満徹の盤が発売されています。曲目には晩年の「精霊の庭」が入っていることや、映画音楽からの編曲も収録されていて大変に魅力的な構成です。

早速聴いてみましたが、オールソップ&ボーマンスso.のサウンドはクリアでかつ透明な響きといった印象。武満音楽の美しさを充分に表現していて聴きやすい仕上がりになっているようです。ただ個人的な好みからは、(うまく表現できないのですが)もう少し摩擦感といいますか、ひっかかりのようなものが欲しいところです。「ユニバーサル」な武満像という点では、こういう解釈が正統なのでしょうかね。

《3つの映画音楽》は、武満が手がけた映画音楽から作曲者自らがアレンジして組曲風にまとめたものとのこと。『黒い雨』は武満展で映画を観ている時は「暗いBGMだな」くらいにしか思いませんでしたが、音楽だけ聴いてみると極めて秀逸。『他人の顔』のワルツは諧謔性とデカダンな美しさに舌を巻きます。

演奏機会の少ない「ソリチュード・ソノール」も収録されているので武満ファンには必須な盤でしょう。

それにしても驚くのは(相変わらずの)片山杜秀氏の詳細にして緻密な解説。写真が挿入されているのは最初の頁だけ、下のような調子で11頁にも及ぶ解説はCDのそれを越えています。この解説を入手するだけでも、この盤の価値はあるかと・・・


かねてから敬愛していますおやぢの部屋2からトラックバックを受けました。そちらの解説の方が適切でございます。

2006年7月12日水曜日

東京藝術大学:モーツァルト管楽シリーズNo.2 高木綾子/モーツァルト:フルート協奏曲 K.313


高木さんの演奏の感想については、拙HPやブログでも何度も書いていながらにして、実演に接するのはこれが初めてです。


過大なる期待を持って演奏会に望んだのですが、聴き終わった後での感想といえば、完全に惚れ直したというのが正直なところ(ビジュアルぢゃなくて)。




まずステージに上がってきたところから既にオーラを発しています。モノが違うというのは、こういうことなのでしょう。淡いリラかラベンダーを思わせる色のドレスを颯爽と身に纏い、ステージ中央にスクと立った姿からは貫禄さえ感じます。


今年のモーツァルト・イヤーを含めて一体彼女は何回のモーツァルトを演奏しているのでしょう。ソロ活動中のパユがそうであったように、内心少々はウンザリ気味なのか、あるいは毎回気持ちを新たにできるものなのか、演奏者の表層的な内面は聴衆には分かる筈もありません。


オーケストラの前奏が始まると顔つきが一段と怜悧になり、伴奏を軽く口ずさみさえして音楽に没入していきます。その姿はスタート前のアスリートを思わせます。そして音楽に対する集中を一気に高めた後でのフルートの第一声。


��。何という音の掴みでしょう。そのビビッドさときたら、最初の出だしで一撃です。何度も聴きなれたフレーズがクイッとばかりに立ち上がる。生き生きとして快活で敏捷なモーツァルト。


彼女の演奏からは、野性とか高度な運動性能を感じることがあります。例えば、昨年発表したCDの武満徹の《海へ》。ここでも、動物的なカンとさえ思えるような印象の演奏が展開されます。他の武満像とは
少し(いや、かなり?)違う。今回のモーツァルトも学究的モーツァルト解釈の点からどうなのかは、私には全く分かりませんが、これほどにドキドキしながら聴いたモーツァルトも他にはないということも確か。


まるで黒豹を思わせるしなやかさを展開させながら、モーツァルトの世界をゆうゆうと突き抜けてゆく自在さ。1楽章最後のカデンツァは、もう息を呑むばかり。あまりに唖然。壮観、爽快、感歎。駆け抜ける音楽の至福。これがK.313なのか、いやこれこそがK313なのか。彼女の音色と残響だけが奏楽堂空間を満たしたときの音しか存在しない緊張と充実。この演奏を聴くだけでここに来た価値は充分にありました。


横で見守る金教授や藝大の関係者の方々は、どのような思いで彼女の演奏を聴いたのでしょう。カデンツァの最中に金教授がビオラの女性と目配せしているのが印象的でした。


高木さんのブログを読むと久しぶりに興奮した演奏若かりし頃の演奏に近くて、やりすぎたかなぁ~?と書かれていました。私のような聴衆(^^;;には受けは良かったと思いますよ(笑)。



ということで、予想以上の高木ショックのため、次なる高木綾子は8月27日、白寿ホールでの武満徹《ヴォイス》《海へ》に決定です。
(諸事情があって行きそびれました・・・激残念)


2006年7月5日水曜日

【音盤】高橋アキplays武満徹

  1. 閉じた眼
  2. ピアノ・ディスタンス
  3. 遮られない休息 I、II、III
  4. リタニ I.アダージョ II.レント・ミステリオーソ-アレグロ・コン・モート
  5. フォー・アウェイ
  6. 雨の樹 素描
  7. 雨の樹 素描 II
  8. 閉じた眼 II
  9. 2つのレント:アダージョ-エ・テンポ・ディ・リベロ、レント・ミステリオサメンテ
  10. ロマンス
  11. こどものためのピアノ小品 I.微風、II.雲
  12. ゴールデン・スランバー
  • 高橋アキ(p)
  • TOCE-13320

    ��月末に直島を訪れたことは以前書きました。そこで現代美術作品などに接したせいか、無性に武満徹を再び聴きたくなってしまいました。EMI ClASSICS 決定版1300に高橋アキさんのピアノ演奏を安価で入手できますので、早速聴いてみました。

    正直に言うならば、武満徹の音楽はいまだによく分かっていません。ですからこの盤に納められた「こどものためのピアノ小品」とか、おなじみのビートルズ・ナンバーを編曲した「ゴールデン・スランバー」などの、あまりゲンダイオンガクしていないメロディの中に、つい、自分にとっての武満の音楽的意味とか価値を見出そうとしてしまいます。武満は難解な曲も書いたけれど、一級のメロディメーカーだったんだなという一面的で独断な納得の仕方、武満もそんなにとっつきにくくないぢゃない、という偶像の民主化。

    武満の曲は「こどものための」だとか、スタンダードナンバーの編曲であっても、実は演奏するのが、かなり難しいのだそうです。でも、そういう難しさを全く感じさせずに曲はあまりにも美しい、美しすぎて哀しくなるくらいであります。ですから、武満の音楽に癒しを求めてしまうことも否定はできません。

    しかし、そういうアプローチしやすく親しみやすい武満像とは裏腹に、難解ながらも響きの豊穣さに浸りきったとき、音楽が琴線の深いところにハマる武満音楽というのもある。本盤の最初に納められている「閉じた眼」はルドンの絵を思い出さずとも、心の深いところに降りてゆくかのような静けさと、ある種の激しさに深い感銘を覚えます。比較的親しみやすい「雨の樹素描」は、たっぷりと水分を含んだ質量感のある大樹の豊穣さが脳裏に浮かびます。

    相場ひろさんはCD解説の中で、前衛音楽の先駆者であった武満と映画音楽などの分野で活躍した武満を「ふたりの武満徹」の相克として説明しています。かつては前衛時代の武満こそが本来の姿であるとして評価されていたが、現代においては武満の価値は一転しのだと。

    こんにち武満を聴き、愛好する人たちの多くにとって、かつてとは逆に彼は、前衛音楽に対する調性音楽の勝利を象徴する作曲家として理解されているようなところがありはしまいか。

    これを読んで一瞬はっとはしたものの、あまりに武満を理解する「型」に拘泥しすぎてはいないかとも思います。

    虚心に聴くならば、先にも書きましたように、ある瞬間に音楽が琴線を奮わせる。セリー理論だとか調性だとかの専門家しか理解できない音楽理論をゆうに飛び越えて、音楽の持つ得体の知れない力が人を捉えて放さなくしてしまう。そんな武満音楽の魅力を改めて思い知らされてくれる名盤であると思います。

2006年6月18日日曜日

山口恭子:だるまさんがころんだ、猿谷紀郎:碧い知嗾/岩城宏之 & OEK




  1. 山口恭子:だるまさんがころんだ (1999)
  2. 一ノ瀬トニカ:美しかったすべてを花びらに埋めつくして… (1995年度オーケストラ・アンサンブル金沢委嘱作品)
  3. 猿谷紀郎:碧い知嗾 (2003年度オーケストラ・アンサンブル金沢委嘱作品)


  • 岩城宏之(cond) オーケストラ・アンサンブル金沢 高木綾子(fl)
  • 2003年4月24(1)(2) 2003年9月19日(3) 石川県立音楽堂コンサートホール(ライブ録音) WPCS-11723

せっかくなので、山口さんと猿谷さんの作品についても言及しておきましょう。

最初の山口さんの曲は「だるまさんがころんだ」という無邪気なタイトル、しかし童謡風のほのぼのさとは全く異質の音楽世界、静と動の激しい対立と緊張が表現されています。山口さんはこの曲が残響の長いホールで演奏されることを意識したそうです。長く引き伸ばされる音、小刻みなフレーズ、弱奏とたたきつけるような音塊、そして最後の消え入るような終わり方が印象的。5分程度の短い曲ですが、響きの生み出す面白さと不思議なイメージを堪能できます。《本当は怖い「だるまさんがころんだ」》

猿谷さんといえば、「ディープインパクト~栄光」で有名な作曲家(らしいです)。慶応義塾大学法学部卒業後、ニューヨークのジュリアード音楽院作曲科に留学し優秀な成績で卒業されているという異色かつエリートな経歴。彼の書くプログラムノートも哲学的で難解。雑踏の中に時折飛散する少し碧みがかった花弁のような真理を拾い集めてみたいとあるのですが、私には雑踏の中での無秩序で不安な断片のようなものしか聴き取れず。こちらの曲は、今の私には余り馴染めませんでした。猿谷さんは現代作家の中で確たる地位を築いている方のようですので、他の作品も機会があれば聴いてみたいと思います。


2006年5月22日月曜日

【音盤】武満徹:ギター作品集成


武満氏はギターをこよなく愛したことで知られています。ここに納められたギター曲の数々を聴いていると、しみじみと心の奥底にまで、武満氏のメロディがじんわりと染み渡るのを感じることができます。

武満氏のメロディは、ことさら大声で感情を吐き出したり主張はしません。何かを感じ取るかのような感性の部分が大きい。彼の興味の対象が、水とか樹とか風や雨に象徴されるような自然的なものであったことは、曲の標題から推測できますが、彼の音楽が単なる自然描写に留まっているわけではありません。

本盤の解説で作曲家である細川俊夫氏が次のように書いています。

時々、むしょうに武満徹の音楽を聴きたくなる。その強い気持ちは、ちょうど都会生活に疲れて、森や海に行きたくなる衝動に似ている。自然にふれ合いたいという気持ちと、武満徹の音楽にふれたいという気持ちは、どこかで通じ合っている。

そして、武満氏の音楽の中に細川氏は自然のもつ見えない官能的な力を感じるとしています。

おおむね私もこの感覚には同意します。ただ「官能的」という言葉の印象ほどには武満氏の音楽はナマさが全くありません。地層を幾つも越えることで浄化された地下水にも似た、洗練と純化を繰り返したピュアさが際立っています。

ピュアさとともに魅力なのは、絶えず変化してとらえどころのない茫洋とした感じ、しかし底に秘められた整然とした構築感。ですから、武満の音楽は漫然と聴いていると何となく通り過ぎてしまう。あれ、これだけ?みたいな感じ。でも真摯に耳を傾けると、奥から違った声や響きが聴こえてくる。

この盤にあっては、それぞれの曲の良し悪しを語る必要はなさそうです。鈴木氏のギターは、独特のメロウさと柔らかさ、そして不思議なアンニュイさを漂わせつつ、限りなく美しい武満の音楽を歌いきっています。ただ静かに浸るのみで充分です。