2021年6月8日火曜日

Diamanda La Berge Drammというヴァイオリニストの意表をつく音楽

ディアマンダ・ラ・ベルジュ・ドラムDiamonds La Berge Drammは、オランダのヴァイオリニストにしてまた、現代アート(アバンギャルド、即興) のパフォーマーとして活躍している方のようです。

彼女のこのアルバムはJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータから第2番。その後にジョン・ケージの曲を持ってきています。

https://music.apple.com/jp/album/inside-out/1566371762

バッハの音楽とミニマルミュージックを並べたり、スカルラッティとリゲティを演奏するなど、バロックと現代曲を組み合わせているアルバムは少なくありません。

バッハは今でも実験的、挑戦的な音楽の使われ方をしていながらも、いささかもその本来の音楽の持つ力を失うことがありません。逆に、並べられた曲が逆照射されるような感さえあります。

この盤もそういう類のものかと思って聴いてみました。

以下は多少ネタバレ的になりますので、実際に聴かれてから解説を読むのが良いと思います。

さて聴いてみますと、そういう流行りとはちょっと違って、la Berge Drammは違う地平で音楽を捉えているように感じました。

この盤で意表を突くのは、シャコンヌに、なんと二人の女性によるボーカルが入ることです。これには予備知識なしで聴いたものですから、最初は何?なんかどこかから音が混じった?とさえ思ったものです。しかし一瞬にして、それがバッハの音楽と解け合い、今までに聴いたことのないような時間が流れていきます。バッハの演奏としては少しクセがあるのですけど、それはとてもボーカルとヴァイオリンの共鳴は感動的で、場所さえわきまえなければ、軽く涙してしまうほどです。

続くケージの音楽は多少厳しいものです。痩せた弦の掠れた音に、貧弱な音楽が連綿と続きます。結構つらい。彼女はケージなど現代音楽にも憧憬が深いようですが、自分的にはなかなか受け入れられないです。(彼女はボストンのニューイングランド音楽院で、卒業時には新しい音楽への貢献によりジョン・ケージ賞を受賞しています)

この苦行が続いたた後、最後に再び歌が入ります、どうやら彼女自身も歌っているようです。これが何とも美しい。何と歌われているかはわからねど、何か救いのような気持ちになります。

オランダのHet Paroolというメディアでは、バッハとケージの作品を結び付け、それが陰と陽のように機能する、音楽に儀式的な性格を与える」と書かれているます(Read More)。ケージの曲は苦手でしたが、アルバムとしては面白い試みであり、新鮮な風を浴びたような気持ちになりました。

La Berge Drammについては、あまり情報がないので、彼女の公式ページやYouTubeなどで情報を得ています。音楽家というよりはパフォーマーでしょうか、ヴァイオリンだけではなく、バスドラムやペダルオルガンなども演奏するようです。

昨日書いた、音楽の精神性とか深さなどを重視する方からすると、疑問を感じる部分もあるかもしれませんけれどもね。


  1. J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調 BWV.1004
  2. ケージ:チープ・イミテーション(1977)
  3. ケージ:18回目の春を迎えた素敵な未亡人(1942)
  • ディアマンダ・ラ・ベルジュ・ドラム(ヴァイオリン)
  • ミシェル・オルーク(歌:1,3)
  • カティンカ・フォウ・ヴィネリウ(歌:1,3)

Inside Out~J.S.バッハ、ジョン・ケージ

「裏返しに(Inside Out)」と題された、オランダのヴァイオリニスト、ディアマンダ・ラ・ベルジュ・ドラムのおそらく初めてのクラシックのCD。バッハとケージの作品を並べただけでも目新しいところですが、バッハの無伴奏パルティータ第2番は高度な技術でバッハの音楽をかなり自由に操って新鮮。そして有名な『シャコンヌ』にはなんと女声2人のヴォカリーズを加えています。この2人はケージの『18回目の春を迎えた素敵な未亡人』でも活躍。ラ・ベルジュ・ドラムはかなりアヴァンギャルドな音楽家といえそうです。ミシェル・オルークは、アイルランド、ダブリンで活躍する歌手。カティンカ・フォウ・ヴィネリウはデンマークの歌手。2人ともクラシック畑ではないものの素晴らしい美声の持ち主です。(輸入元情報)

これも海外メディアの紹介

Diamanda La Berge Dramm’s Violin Feels Like a Part of Her Body
By Benjamin van Vliet, translated by Louise Snape
27/05/2020

Violinist and singer Diamanda La Berge Dramm is one of the most notable arrivals on the Dutch contemporary music scene. The tiny, hyper-expressive musician is rewriting the rules of the classical music concert-world and is stringing genres together to make them sound as if they have always been closely connected.
The Low Countries

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