2019年1月15日火曜日

マハン・エスファハニの「現在も過去も」

まさに驚くべきアルバムです。表題のとおり、現在も過去も自由自在に鍵盤の上を駆け巡ります。


 https://music.apple.com/jp/album/time-present-and-time-past/1452681134

最初はスカルラッティのラ・フォリアによる前奏曲から始まり、お次はほとんど電子音楽かと思えるようなグレツキのチェンバロ協奏曲です。グレツキの狂騒が終わったかと思えば、C.P.E.バッハと、フランチェスコ・ジェミニアーニが挟まります。その後、スティーブ・ライヒが入り、J.S.バッハのチェンバロ協奏曲第1番、そしてヘンデルのチェンバロ組曲第5番「調子の良い鍛冶屋」で締めとなります。

エスファハニの音楽を聴いていると、正統なバロック音楽を聴いているはずなのに、ミニマル・ミュージックを聴いているような気になってきます。いや、そもそも、バロックのアルペジオの繰り返しは、ミニマル・ミュージックと通ずるところが、もともとあったのでしょう。

音楽評論家の澤谷夏樹さんに言わせれば、「コンセプトに特段の深みはない」「「深みのなさ」=「ちょうどよい分かりやすさ」が身上」との評になるようですが、自分的には十分楽しめました。

エスファハニは、チェンバロを現代も通用する楽器として再構築したいという意思があるようです。時に攻撃的に奏でられるチェンバロの音からは、新しい時代の音楽が聴こえたような気がしました。

(参考)

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