再びNAXOSのマルク・グローウェルスのフルートとピッコロを聴いています。このアルバムは「ロマンティック・フルート協奏曲集」と名づけられており、フランスの作曲家の作品が集められています。フォーレの子守歌やシチリアーノなどは有名ですが、ダマレの白つぐみなど非常に珍しい作品も収録されています。
しかし、よくもこんなにマイナーな曲ばかり集めたものです、さすがNAXOSですね。ダマレの作品はグローウェルがベルギー音楽図書館の地下室で見つけてきたものだそうで、行進曲風の管弦楽に乗って軽快にピッコロが歌う極めて明るく愛らしい曲です。メシアンの黒つぐみとはえらい違いです。
ラヴェルの小品は2分半の非常に短い曲ですが、独特の雰囲気を漂わせている名曲、聴いていると思わず19世紀末のフランスのノスタルジーに浸ってしまいます。
フォーレの曲は本来ピアノとフルートの曲ですが、このCDでは管弦楽編曲になっており、普段聴きなれた響きとはちょっと違っていて楽しめます。コンクールの小品は、確かパリ音楽学院の入学試験用の、幻想曲は卒業課題として作曲された曲だったはず、技巧的にも楽しめる曲ですね。ムーケの「パンの笛」は、静かで優雅でそして少し哀しげでアンニュイなか雰囲気の漂う名品、聴いてうっとりしてしまうというのはこういうことを言うのでしょう。
全ての曲の解説を書いていても仕方がないので止めますが、どの曲も肩肘張らず聴くことができ、本当に楽しめる1枚になっていると思います。18世紀後半から19世紀後半そして20世紀前半にかけて、フランスでフルート曲が多く生まれたのは、フルートという楽器の著しい進歩と、それに歩調をあわせたフルート技術の向上と無関係ではないことに改めて気付かされました。
��8世紀後半のフランスという時代を考えたとき、先日見に行った「モネ、ルノワールと印象派展」の時代とすっかり重なるのですよね。モネ(1840-1926)とフォーレ(1845-1921)がほとんど同時代を生きたというのも、結びつけて考えると感慨深いものがあります。時代は産業革命に始まる近代化の波に乗っていた頃です。そういう時代の前に向かって進む明るい雰囲気と曲調も無関係ではないのだろうなと思った次第。
この盤もあまり難しいことを考えたり肩肘を張ったり、解釈がどうだ、演奏の質がどうだなどと瑣末的なことを気にせず、音楽そのものを楽しむことのできる幸せなる盤だと思います。
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